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「交換派遣〜『愛の戦士トリーシャ!vs希望の槌使いルーティ!』」 春河一穂  (MAIL)


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悠久幻想曲 Parpeturl Evergreen

交換派遣・・・・・・エンフィールド編2〜ルーティ・シェールの場合

『愛の戦士トリーシャ!vs希望の槌使いルーティ!』

トリプルマリアの恐怖!!〜来る者拒まず去る者瞬殺〜

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「トリ〜〜〜〜〜〜〜〜〜シャチョ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!!」

がちいいいいいん!!!!!

突如の不意打ちチョップはるーてぃはんまーの一閃によって失敗に終わった。

「やるねぇ・・・・・キミ。」
「あなたもね・・・・・・・。」

背後から現れたのは、2メートルほどの大きな手形付きの棒を軽々と構え、ポーズを決めている
女の子だった。

「ボクの名はトリーシャ。愛の戦士、トリーシャとはボクのことだよ、明智君。」

「・・・・・・・・・・明智君じゃないんだけどナ」

るーてぃはんまーを構えたままのルーティのツッコミが空しく辺りに響き渡った。

それがトリーシャとルーティの出会いであった。
真っ赤な太陽が二人の姿をシルエットとして浮かび上がらせていた。

「噂には聞いていたよ、キ○ガイチョップ魔がエンフィールドにいるって。」
「待てぃ・・・・だれが○チガイだって、だれが!!!!!」

がくがくがくがくぅ・・・・・・・

ルーティの胸ぐらをつかんでゆさゆさ揺さぶる。

「ままっ・・まじっ・・・やめっ・・・やめてぇ・・・・・・・」

半分脱力状態のルーティーの手からハンマーが滑り落ち・・・・・

ごち。

トリーシャのつま先を見事に捉えた。

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ぁぅ・・・・」

結局、自分の業物に救われたルーティである。

その隣には、つま先を抱えながらぴょんこぴょんこと跳ねているという、
海外アニメのようなわかりやすいリアクションをしているトリーシャの姿があった。

                       ★   ★   ★ 

「で、君が幻想君の部隊に加わってくれるわけか・・・・・」

リカルドのおっちゃんが口を開く。

 数分後のリカルド家。つま先のダメージによってしばし再起不能と化したトリーシャに変わり、
ルーティがリカルド家の台所に立っていたのだった。
これからお世話になりますという挨拶を兼ねて、シープクレスト料理を作っているのだ。
 伊達に炊事当番を経験してはいない。慣れた手つきで一品ずつ料理を作り上げている。

「はい。お待たせしました。リカルドさまのお口に合うかどうかは解りませんが。」

と二人の前に並べられたのは、どう考えても3人前とは思えない量の料理だった。
お皿の上にどかんと盛りつけられた料理の山。それが6皿近くもあるのだ。

「ルーティくん・・・・この量は・・・・・・」

リカルドの言葉に、暫く何かを考え込んでいたルーティだったが、ぽんと手を叩いて一言。

「あ、ブルーフェザーの分量で作っちゃったぁ・・・・・」

ブルーフェザーは約9名の大所帯である。親娘2名のリカルド家とはワケが違う。

結局、アルベルト、クレア、幻想ら、自警団の主要メンバーにゆん達も加わってのパーティと
なってしまったのである。

シープクレストの料理は港湾都市ということで、おもに魚介類がメインだった。
エンフィールドは高原都市のため、おもに畜肉や野菜、ハーブなどがメインであった。
もちろん、ローズレイクの川魚も名物の一つであったが。

「これ・・・プリプリしていておいしい〜」

ゆんの故郷エインデベルは、マリエーナのさらに南方に位置する貿易港湾都市である。
故郷の味に似たルーティの料理にちょっぴりだけど懐かしさを感じていた。

「これはクウバのカルパッチョです。マリエーナに入国した港で買ってきたんですよぉ。」

旬のクウバは適度に脂がのっていて美味しい。それをハーブ主体にあっさりとまとめ上げているのだ。

「この酸味が何とも言えないよな。何か、もっと食べたくなってくる。そんな味だよ。」

幻想が言うと、

「ああ、そうだな。」

と、アルベルトもうなづく。

                       ★   ★   ★ 

「ねぇ、ルーティ・・・・・」

あらかたお皿の上が片づいたところで、トリーシャがきりだす。

「キミも才能あるんだから、この際一緒に極めてみない?」

この場合、トリーシャが極めさせようとするモノはもちろん、トリーシャチョップのことである。

「でもあたしにゃこいつがあるから。」

ぶんっと、大槌を振り回す。るーてぃはんま〜である。

「甘いんだなぁ・・・・・チョップ棒はこんなにスリムでパワフル!!」

ぶんっと振り上げたのは大きな手首のあしらわれたチョップ棒である。

「スリムでパワフルなだけじゃるーてぃはんま〜様には勝てないってば。」
「甘いね。ボクのチョップは天下無敵。エンフィールド自警団の最終兵器だって言われているんだからぁ。」

誰も言ってないって。

トリーシャとルーティ・・・業物使いとしての意地の張り合いの始まりだった。

                       ★   ★   ★ 


「マリアだぁ!!!マリアの魔法実権が始まるぞぉ!!!!!」

 朝のエンフィールドはその一声から雰囲気を一転させた。
路を行き交う住民達は足早に目的地へ向けて立ち去っていく。

そして・・・・・旧市街は人っ子一人いなくなってしまった。

ズンタカター
ズンタカター
ズンタカタッタッター

ズンタカター
ズンタカター
ズンタカタッタッター

 軽快なマーチに合わせてざっざっざっと足並みそろえてやってきたのはマリアとレミット、それに
嫌々引きずり出された(というより拉致された)シェールである。端から見ればマリアが3人。
ある意味無茶苦茶危険な状況である。

「ぜんた〜い、とまれっ☆」

ざっざっ。

「・・・・・・・・で、マリアさん、一体何をするつもりなんですか?」

道中の街の人たちが自分らをさけようとする行動をとっていたことについて、疑問を感じたシェールが
恐る恐る聞いた。

「いい質問だね、ビリー君」

「違うってば。」

 このネタ、前にもやったぞ(笑)

「冗談だって。これから始まるのはね、趣味の魔法研究だよっ。」

(しゅ・・・・・趣味って・・・・・・・・どういう趣味してるのぉ・・・・・・・・・)

と、シェールが考えるよりも早く、レミットがいきなりシェールを縛りだした。

「エンフィールドの魔法は攻撃魔法だけじゃないんだよ。その効能は身をもって知ってこそ、会得の近道だもん。
お師匠様もそう言っていたんだよ。」

「それははいいが、マリア、そなたに師匠なんておったのか?わらわは初耳じゃぞ。」

レミットがシェールを縛りつつもツッコミを入れた。

「いるわけないでしょっ。言葉のアヤってやつだってばぁ☆」

この状況はまさしく・・・・・・・・

(人体実験だぁ・・・・・・・・・)

シェールは、この自分を取り巻く状況から導き出された、ある一つの最悪な結論に達した。
そう、人体魔法実験のモルモットにされていたのである。
しかも、魔法は独学らしい。ということは確実に発動する保証はないと言うことであり、
それは高確率での自分の身の危険を暗示させるものであった。

「今日は気分がいいから、かなり難しいこんな魔法にチャレンジしてみようと思ってるのっ!!」

と取り出した電子グリモワール。キーを押す手が止まる。

「決定!!入れ替え魔法ぉ!!!」

グリモワールで魔法陣シールを2枚印字して、一枚を青ざめたシェールのおでこに貼る。

ぺたっ。

シェールはいよいよ自分の身の危険をひしひしと感じていた。目の前に自分の墓標がくっきりと
現れるくらいである。ある意味で危険だったのだ。

                       ★   ★   ★


「シェールがいないっ!!!!!」

青ざめたゆんがリカルド家に電話してきたのは、その少し前の事であった。

「え?何だって!!!で、何か手がかりは?」

「・・・・・・ある。足下にあった紙切れ。アレ・・・・・・心当たりあるんだよ。
あのサイズでしかも感熱シールだった。アレ使ってるの、電子グリモワールだけ。
必然的にマリア達に拉致監禁されたことになるよぉ!!!」

「拉致監禁!?」

電話を受けたのがトリーシャだったのが悪かった。リカルドならまだ善後策をとれたものの。

すちゃっと傍らのチョップ棒を構えて臨戦態勢だ。

「これは大事件だ!!愛の戦士を呼ぶ声が聞こえてくる!!!ボクの出番だね!!!」

「ちょ、ちょっと、トリーシャ・・・・あんたが出てきたらややこしくなるんだってば
だいたい相手がマリアでしょ?相当準備をして慎重に対処するのが・・・・・・・」

ちんっ。

ゆんの説教が長引くと感じたトリーシャは、電話を切って、「拉致監禁」以降のフレーズを
聞かなかったことにしてチョップ棒を軽々と持ち上げると・・・・・

「トリ〜〜〜〜〜〜シャ〜〜〜〜チョォ〜〜〜〜〜〜〜ップ!!!!!!」

ルーティに目覚めの一発を喰らわせる。

ぼっくぅうっ!!!!!

決まった。
ルーティは気絶した(笑)

「寝てる場合じゃないんだって!!」

違う。トリーシャチョップが決まって気絶しているんだが。

「シェールが危険なんだよ。マリアに人体実験されているんだって!!
とにかく、正義の使者の出番だよっ!!!」

ずりずりと伸びたままのルーティをるーてぃはんまー共々引きずって、トリーシャは旧市街へ向かった。

                       ★   ★   ★

「こちら自警団・・・・ゆんちゃんか・・・・え?シェールがマリアに拉致された!?」

ゆんはあれから自警団事務所にトラブルコールをしていた。トリーシャよりは安全な選択だ。

「解った・・・・。幻想とアルに向かわせる。ゆんちゃんもマリアを捜し出し・・・・と言うよりは
うちのトリーシャの暴走を食い止めて欲しい。お願いだ。」


かちゃり。

電話をおいたリカルドは、第3部隊に緊急招集を命じたのである。

マリアの人体実験を阻止できるか。
友人を救い出すことが可能か!!

いけ、トリーシャ!!
目覚めろ、ルーティ!!
阻止せよ、ゆん!!!

3者の長い一日が始まったのである。

<続く>


* ルーティ・シェール編 次回予告 *

マリアに拉致監禁されてしまったシェール。
ゆんのトラブルコールがトリーシャとルーティに届く!!
トリプルマリアとなった連中(+シェール)を黙せるのは果たしてチョップか、ハンマーか!!!
ゆんも慌ててトリーシャの暴走阻止にリオと共に走る!!
幻想とアルベルトは果たして間に合うのか。

次回、愛の戦士トリーシャ!!『友、暁に没す』
あなたのハートにトリーシャチョップ!!!!(違)


* シリーズ次回予告 *

第3弾は更紗と由良のライシアンとメロディの気ままな日常をお届けします。
同族ということで心を開いた更紗。メロディをおねぇちゃんと慕い、雷鳴山麓の
橘温泉でゆっくり毎日を謳歌する。そんなほのぼのとしたお話に。

ご期待くださいね・・・・・・とはいえ、今回もノリノリだったなぁ・・・・
ギャグの盛り込みに失敗したけど(笑)


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