中央改札 | 悠久鉄道 | 交響曲 |
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誰かに会いたい そんなささやかな願いが叶わないもどかしさ 今私が居るのはエンフィールドではない シーラ・シェフィールドは小さな下宿の窓を押し開いて月の光を浴びる。 ふわり 夜風がシーラの黒髪を優しく愛撫するかの如く撫で上げ、頬に絡み付かせる。 「会いたいよ…………くん」 シーラはジョートショップの青年を想い、そっとつぶやく様に願いを月に捧げる。 月は柔らかな光で少女を抱擁する。 言葉に出来ない愛情をそうする事によって少しでも伝えようとする恋人の様に 夜風は優しく少女の涙を拭う。 悲しむ事は無いと諭しながら側に居てくれる恋人の様に 自分の想いが確かなものだと今ならハッキリと解る 次に会うときにはきっと、一番に言えるはず…… 私は今も、これからもずっと奏で続ける 貴方への素直な気持ちを…… …ぱたん 静かに閉められた下宿の窓から明りが消えても月は光を投げかける ずっと、ずっと、悠久の時を経てもなお 優しく人を抱擁するのだ Fin 09.15.1998 Koori.Himuro
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