中央改札 悠久鉄道 交響曲 感想 交響曲

「Winter again...」 式部瞬  (MAIL)
ひらひらと、舞う。
見上げれば、乱舞する抜け落ちた天使の羽。
白く…白く…どこまでも、悲しい位に白く。
延ばした指先に触れ、煌めきとともに、その短い命を散らせてしまう。

雪は嫌いだった。
いくら降り積もったって、心の隙間を埋めてはくれない。
いつもあの空を舞台にワルツを踊り、広いけど小さな部屋に縛られる私に自由を見せつける。
ピアノや友達や自分のことで悩む私に、いつも孤独の寂しさをつきつける。

だから雪は嫌いだった。

いずれ溶けて消え去ってしまう運命なのに…
なのに一心不乱に大地を純白に染めようとする。
春の訪れと共に人々の心からさえも消え去ってしまう運命なのに、それでも滔々と降り続ける。

「あなた達は何の為に降り続けるの?」
「…“生きることの意味”なんて、誰も知らない。けど、“生きたいと思うことの意味”なら、少
しは解る…。」

生きたいと思うことの意味。

私は何で生きていたいの?
両親のため?
誰かのため?
それもある。でも違う。

讃辞の言葉が欲しいから?
生きた証が欲しいから?
違う、そんなものいらない。

愛して貰いたい?
それは、半分正しくて、半分正しくない答え。
その答えは…

「…寒くない?シーラ」
「…うん、寒くないよ。」
肩に回されたあなたの腕が、とても暖かいから。
生きたい思うことの意味を見つけたから。

「………。」
「………。」

舞い落ちる雪が白く染めていく。
草原も、山々も、街も、そして寄り添い合う私達をも…。

雪は、もう、嫌いじゃない。
愛されたいと思うのと同じくらい、誰かを愛したい。

そんな、私なりの生きたいと思うことの意味を見つけたから…。

温もりに溢れる、凍てつく純白の冬が、今年もまた訪れる…。


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