中央改札 悠久鉄道 交響曲 感想 交響曲

「Third-day」 とも  (MAIL)


 次の日、外部対策本部(笑)さくら亭。

 テーブルを挟んで対峙しているのは、対策本部長になぜかなってしまった紅蓮と、サポ
ート&幹部のアルベルト、フィドルの自警団サイド。と、侵入経路を駆使して情報をかき
集めている朋樹、ラティン、コウの学生サイドだ。

 「はい、これで全部だよ。」

 朋樹が置いたのは、でかっい紙の束。昨夜、カリア達四人がまとめたものだ。

 「おう、ご苦労。で、教師連中の脱出経路は?」

 「それも確保済み。…ちょっと学校壊すことになっちゃうけど。」

 「了承する。緊急事態だ、仕方ねェ。」

 朋樹の言葉を、紅蓮はあっさりと了承した。学生と学園を守ろうとしている人間の発言
とは思えない…とんでもない会話である。

 「了解。」

 「あと、学校にあるものでいろいろと。オレと、他数人で準備中です。」

 と、ラティンが何かの図面を出す。紅蓮達はそれを見ると、小さく頷いた。

 「ラティン、後どれくらいで出来る?」

 「今日の夕方には。」

 「わかった。コウの方はどうだ?」

 「今、ある薬品を作ってます。一時的な効果しかできませんけど…」

 「それでいい。特攻部隊の方はどうだ?」

 「ここに、リストがあるよ。リサとエルはどこから?」

 リストを渡しながら、朋樹が尋ねた。それに目を通しながら、紅蓮は朋樹に聞き返す。

 「女子寮の主力部隊はカレアとトリーシャだな?」

 「うん。」

 「なら、カレアを上に。トリーシャは下だ。」

 「へ? それじゃ、勢力が分散…」

 「いいんだ。それと、女子寮の方は人数が足りないな…よし、ティナ達を少し早めに助
け出しておこう。リラの行動パターンは?」

 「え〜っと…夜中に一人で見回りしてるらしいから、僕が接触してみるよ。」

 蛇の道は蛇というか…学園に関することは学生の方が熟知しているらしい。ご丁寧に簡
易地図までついた、リラの行動パターンが記された地図を朋樹が取り出した。

 「頼む、とも。ラティン。」

 「はい…?」

 「お前、メロディに出動要請をしてきてくれ。」

 「爆弾ですか?」

 「ああ。学園の図面から、だいたいの見当はついた。この図面を渡して、その通りに行
動してもらいたい。んで…」

 「情報は正確に…ですよね? まかせて下さい。」

 ラティンは、それを受け取るや否やすぐさま由羅邸に走っていった。

 「最後に…イヴの方はどうなった?」

 「イヴ? 紅蓮さん、イヴに何かさせようとでも…?」

 イヴが危ないことに関与していることを知ったフィドルが紅蓮につっかかってきた。自
分の彼女を心配することな当然だろうが。

 「大丈夫だ。危険な目には遭わせねェよ。ただ、ちょいとだけ協力してもらうだけだ。」

 「うん。アルザが行ってるはずだよ。イヴの了承もとったから、いつでも。」

 「そっちは明日の明け方。連絡は頼む。」

 「うん。じゃあ、ちょっと行って来るね。」

 「あ、朋樹! 僕も行くよ!」

 朋樹もそう答えながら、外へと飛び出していく。コウもそれを追ってさくら亭を出てい
った。

 「…紅蓮さん、いったいイヴに何をさせようとしてるんですか?」

 「大丈夫だ。フィドルが考えてるような、危険なことはさせねェよ。ちょっと、借り物
するだけだ。」

 「?」

 紅蓮はそう答えると、厨房の中へと入っていった。後には、書類を処理するアルベルト
と困惑するフィドルが残っていた。






 イヴの家…

 コンコン

 「ごめんくださ〜い。」

 「どうぞ。アルザさんも、もう来ているわ。」



 「あ、朋樹にコウやん。どや、なんか決まったんか?」

 二人が来たのを察したのか、部屋の入り口でアルザが出迎えた。

 「うん。いろいろとね。で、二人の体型に合うもの、見つかった?」

 「まかせとき! もう、ちゃんと用意しとる。」

 そういって、アルザは乱暴に2体の人形を引っぱり出した。

 「アルザさん! 父の形見を乱暴に扱わないで下さい!」

 「ひっ?! わ、悪かったわ。もうせえへんって。…(こわ〜…)」

 まれにみるイヴのでっかい怒鳴り声に、アルザは思わず身を縮めた。普段のイヴからは
想像できないその行動に、朋樹とコウも言葉を無くす。

 「日頃大人しい人が怒ると、ああなるんだね…」

 「納得…」



 「…で、明日の明け方。その時にお願いするね。」

 ちょっとしたメモを受け取り、内容を確認していたアルザはしっかりと頷いた。

 「わかったわ。」

 「人手は?」

 「そんなもん、いらんて。うち一人で十分や。」

 と、軽くガッツポーズを取った…

 「……アルザさん、くれぐれも乱暴に扱わないで下さい……」

 「は、はい!」

 イヴの雰囲気に気圧されしながら(笑)

 「あ、そうだ。」

 そういったコウは、何かの袋を出した。

 「これ、頼まれた服です。」

 「ああ、おおきに。これで準備は万全やな。」

 人形&袋を持ったアルザは、満足そうに言った。が、朋樹がそれを止める。

 「まだだよ。」

 「へ? まだ、なんかあるん?」

 「…助っ人の方は?」

 「ああ、そんなんもあったな〜。」

 「女子寮の戦力が足りないから、さっさと助け出してサポートして欲しいんだ。いい?」

 「ええで。…よっしゃ! 明日が楽しみやで!」

 一人歓喜するアルザ。イヴはやれやれと言った感じで、人形を布の中にしまい込んでい
る。一人で持っていけるよう、まとめているのだ。

 「じゃあ、僕はこの辺で。」

 「あ、僕も。」

 「なんや、もう行ってまうんか?」

 「うん、他のよるとこあるから。…じゃ、また。」

 「それじゃ。」



 「朋樹さん、コウさん。」

 「「はい?」」

 ギャラガー家の玄関で、二人はイヴに呼び止められた。

 「どうしたの?」

 「くれぐれも無茶はしないようにして下さい。…では。」

 イヴはそう言って微笑むと、きびすを返して歩いていった。

 「…ありがと、イヴ…。で、コウはどうするの?」

 「うん。僕は、学園に戻るよ。調整にかからなくちゃいけないから。」

 「そっか。じゃ、頑張ってね。」

 「うん。朋樹こそ。じゃ、後で。」

 そういって、コウは学園へ。朋樹はローズレイクへと歩いていった。






 学園内、男子寮…

 「結構集まったな…」

 「ああ…」

 ジークの部屋で、ジーク、朋樹のクラスの委員長、翔夜は特攻部隊の配置を考えていた。

 「しかし、委員長がここに来るとは意外だな。」

 「委員長じゃない。僕には、ロイファ・フリーダスという名前が…」

 「わかったって、ロイ。さっさと終わらそうぜ。ぼやぼやしてると、はじまっちまう。」

 「…わかった。で、この人はここの人と相性が悪いから、ここにして…」

 「お前、そんなこといつ教えてもらった…?」

 決して友人が多いとはいえないロイが、あらゆる人物の相性の善し悪しをみて配置して
いく中、翔夜が当然の疑問を投げかけた。しかも、その指摘は全て当たっている。

 「そんなもの、この学校生活の中で知るのは簡単だよ。みんな、そうじゃないのか?」

 「んなもんできるの、ロイだけだよ。」

 首をかしげるロイを見、ジークは疲れたように呟いた。

 「さ、後少しだ。気合い入れていこう。」

 それすら気付かず、ロイは二人を促して作業を再開した。





 そして、決起直前の夜へと時は進む…………




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