中央改札 悠久鉄道 交響曲 感想 交響曲

「Last_Day-2」 とも



 「えーい!」

 「とどめッ!」

 女子寮。各階の特攻部隊の少女がいっせいに突撃し、見張り役の男達をねじ伏せていた。

 「四階、封鎖するよ!」

 三階への階段に、物置に置いてあったがらくたを次々と使って、強固なバリケードを作
っていく…特攻部隊を三階に送ってから。

 「それじゃ、みんな行くよ!」

 「了解ッ!」

 四階の特攻部隊隊長のトリーシャは、捕虜となった男達を引きずって階下の援護へとま
わっていた。比較的楽だったものの、油断は出来ないからだ。

 「トリーシャ、あそこ…!」

 言われた方向を見ると、三階の部隊が苦戦を強いられていた。しかし、男達はこちらに
背を向けている。

 「よし、いっせいに飛びかかるよ!!」

 次の瞬間…数人の少女にドツキ倒され、蹴りつけられている哀れな男達の姿があった。

 「ぶいっ♪」

 「案外簡単ね…」

 足蹴にされたテロリスト達は、これで四人。それらを縄でひとまとめにすると、数人で
引きずる。

 「三階、封鎖!」

 「OK!」

 トリーシャ率いる特攻部隊は、ほとんど障害もなく爆進を続けていた。



 一方、一階…

 「はん、所詮ガキだぜ。」

 見回りの片割れ。それの強さはとんでもなく、カレア率いる部隊は苦戦を強いられてい
た。

 「…なんて強いのよ…!」

 「どうするのよ、カレア。私達じゃとてももたないわよ?」

 この場にトリーシャか、もしくは彼女に匹敵する腕前の者がいればよかったのだが…作
戦が仇になったようだ。

 「…ま、抵抗したヤツらは殺せって言われてるしな…。恨むんなら、てめえの運の無さ
を恨むんだな。」

 ヒュン!

 「っ…!」

 ガキィ! ザクッ!

 凶刃が振り下ろされそうになった瞬間。異なる音が同時に聞こえた。

 「女の子には優しくするもんやで?」

 「間に合った…みたいだね。」

 恐る恐る目を開けてみると、すでに第二撃のナイフをかまえているリサと…手に着けた
ナックルガードで刃を押さえているアルザの姿が飛び込んできた。男の二の腕には、リサ
の物であろうナイフが刺さっている。

 「あたしの出る幕、なさそうね…」

 その近くには、傷ついた女子を介抱しているヴァナも見えた。

 「ほう…? 少しは出来る女が出てきたようだな…だが、所詮は女ごとき。何人いよう
が同じ事!」

 男の言葉を聞き、ヴァナとアルザが眉をピクッとさせた。

 「女ごとき…?」

 「…やて?」

 その、静かにして猛々しいオーラを感じ取ったのか、リサが戦いを譲る感じで一歩後に
下がる。カレア達も脂汗を浮かべ、ジリジリと後退していた。

 「ふん。あんま、女のヒスはよくないぜ、クソアマ共!」

 手に持つ剣で、男はアルザとヴァナに襲いかかってきた。が、二人は動こうとせずにた
だ立ちつくしている。

 「…我が内に流れし闇の血の証。いでよ、我が元に。」

 ヴァナの言葉に呼応するように、その手に一本の黒い棍が出現した。

 ガキッ!

 そのまま出てきた棍で、刃を受け止める。

 「なに?! 魔法は使えないはず…!」

 「お生憎様。これは、魔法なんて関係ないのよ。」

 ドカァッ!

 刃を受け流し、遠心力の助けを借りて、肩に渾身の一撃をぶつけるヴァナ。

 「そーゆーことや。相手が悪かったと思うて諦めとき。」

 ドゴォ!

 男の腹部で鈍い音がし、そのまま倒れ込んだ…痛々しいうめき声を上げながら。

 「ほんでもって忠告や。…女の怒り、なめたらあかんで!」

 「そう言うこと…鉄槌よっ♪」

 ガスガスガスガスガスガス…!

 …「女ごとき」と言われたのがそんなにむかついたのか…二人はトドメといわんばかり
に男を踏みつけまくっていた。



 「あ、こっちにいたんだ。」

 各階を封鎖し、トリーシャ率いる各階混合部隊がやってきた。お土産に、六人の捕虜を
引きずって。

 「…また、派手にやったみたいね。…こっちは散々よ……」

 「え〜。ボク達だって、大変だったんだよ? 二階にいた人、すっごく強かったんだか
ら。」

 「で、数の暴力に訴えたワケね。」

 転がっている男達の中で、ひときわ目立つ重傷の男…その怪我のしかたから言って、滅
茶苦茶ボコられたようだ。

 「数の暴力なんてそんなぁ〜…。ただ、ボク達はピンチだった仲間を助けるために…」

 「集団で襲いかかったわけ?」

 「う〜…それはそうだけど…。あれ? エルは?」

 「エルなら、男子寮に加勢に行ったよ。まあ、心配といえばエルの方だろうね。」

 含み笑いをするリサを見、トリーシャは?マークを浮かべた。



 そのころ、加勢に行ったエルの前で…

 「おい! エルさんが加勢に来てくれたぞ!」

 「何ィ?! よぉっしゃぁ!! 気合入れンぞ!!」

 「ああ〜! てめぇ、獲物横取りすんじゃねェ!!」

 「ぬぅおぉりゃぁぁぁぁ!!」

 「エルさん! 危険ですから下がってて下さい! でりゃぁ!!」

 男子寮の男共に、怪しい団結力が生まれていた(笑)

 「あ…アタシのいる意味…ある…のか…?」

 十分ある。彼らのビタミン剤というか、起爆剤というか…男は女にいいとこ見せようと
するからねぇ…。効果的はどうかは別として(笑)



 「??」

 「ま、わからないんならいいさ。あたしらはこのまま待機しておく。」

 「は〜い。そういえば、紅蓮さん達は?」

 思い出したように、カレアが尋ねた。

 「朋樹くんとコウくんは私達の部屋で準備中。紅蓮さんとデュークさん、アルベルトさ
んとフィドルさんはそれぞれ二手に分かれて別行動中よ。…聞いてなかったの?」

 カリアは、ちょっと冷ややかな目で妹を睨んだ。そう、戦いの前にすでに聞いていたは
ずだったわけなのだ。

 「ごめんなさ〜い…」

 「よろしい。それじゃ、ここの守りを固めてしまいましょう。お願いします。」

 そして。カリアの指示の元…女子寮は、難攻不落の城壁への道を着々と歩んでいった
(笑)




 「っと、ここね。」

 地図にあった場所についたリラとキャラットは、ぐるりと周りを見回す。と、一人の少
年が退屈そうに寝転がっていた。

 「…あんたがラティン?」

 「あ、リラさんにキャラットちゃんですね。は、はい。オレがラティンです。」

 ちょっと顔を赤らめ、リラに片手を出すラティン。それに苦笑しながらも、リラはその
手を握り返した。

 「よろしく。」

 「ラティンさん、よろしくね!」

 「よろしく。爆弾の位置はまかせて下さい。全部の位置は確認済みですから。」

 「…どうやって調べたわけ? 人間じゃ探すのは難しいでしょ?」

 「はい、こっちにはネコ部隊がそろってますから。」

 首をかしげるキャラットに対し、リラは思い出したようにポンと手を打った。

 「なるほどね。道理でネコがたくさんいたわけだわ。」

 「分かりましたか? 二人とも仲良くなれると思いますよ、メロディちゃんとなら。つ
いてきて下さい、案内します。」

 「了解。行くわよ、キャラット。」

 「うん!」



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