中央改札 悠久鉄道 交響曲

「武闘大会 NO-1〜始まり〜」 とも
 武闘大会 NO-1〜始まり〜

 「…!…れん!ちょっと!紅蓮!起きなさいってば!」
 ゴスッッッッ!
 パティのフライパンの一撃が紅蓮を襲う…が、紅蓮はまった
く動じていない。むしろ、びっくりしただけのようだ。
 「ほえ?んん!ふぁ〜あ、よく寝た。おはよ。」
 「おはよ、じゃないでしょ!いくら午前中休みになったからっ
てここで寝ることないでしょ!」
 「いいじゃん。ティナとウェンディは孤児院が忙しいし、ア
ルザは由羅達とピクニック。デューク達は仕事だし…」
 指折り数えながらつぶやく。パティはそれを見てあきれるし
かできなかった。
 「それはいいから!あんたにお客さんよ。」
 その言葉が合図のように、三人の男が紅蓮とパティのいるテー
ブルにやってきた。
 「え?あれ?!フィドルじゃないか。それに…アルベルトに
リカルドさん?!」
 「どうも、紅蓮さん。お久しぶりです。」
 「初めまして、紅蓮くん。私の名を存じているとはな。」
 「ああ、デュークとの話でいつも聞くからな。」
 軽く一礼をするフィドルにリカルド。アルベルトはそっぽを
向いたままだ。
 「ん?アル、どうした。礼ぐらいせんか。」
 渋々礼をするアルベルト。
 「隊長。」
 「ん?なんだ、アル。」
 「本当にこいつやデュークを誘うんですか?」
 「うむ。そうだが?」
 「自分は反対です!今回の武闘大会は自警団内のもの。部外
者を入れるのは…!」
 どうやらアルベルトは、紅蓮らを参加させたくないようだ。
だが、リカルドはゆずろうとはしない。
 「まあ、お前の気持ちも分からんでもない。だが、自警団外
にも腕の立つ者はいるのだ。毎回同じ様な人員の組み合わせで
は腕が上がる者もあがらん。それに、今回は団長会議で一般の
人達も参加できるようになったのだぞ?」
 「……。」
 「分かるだろう?アル。それともなんだ?彼らが入ると勝つ
信がないのか?」
 アルベルトを挑発するような口調のリカルド。そして、それ
に首を振るアルベルト。
 「いえ!そのようなことは決してありません!」
 「…ならばいいな?彼らを誘うことは。」
 「うっ…。分かりました。もう反論はしません。」
 アルベルトとの話が終わると、リカルドは紅蓮の方へ来た。
 「すまんな、紅蓮くん。来る早々いきなり見苦しいところを
見せてしまったな。」
 苦笑いを浮かべながら言うリカルド。
 「いや、別に気にしてないから。」
 「そうか…。では単刀直入に言おう。どうだね?今度の日曜、
武闘大会出てみる気はないかね?」
 「う〜ん。それ、ルールは?」
 興味を持った顔つきで、たずねる紅蓮。
 「罠などは禁止だが、武器や魔法には特に制約はない。もっ
とも、君の攻撃魔法の合成は無理だが。」
 「当たり前。そんな反則はしないよ。でも、精霊系ならOKっ
てことだな。」
 「そういうことだ。練金系も使えるなら使ってもいいが。」
 「ん〜。魔法の具現化は?」
 「なに?!」
 驚くリカルド。が、フィドルにアルベルトは?マークを浮か
べている。
 「隊長!どうしたんです?!」
 「魔法の具現化…あらゆる魔法を無機質のどんな物にでも変
えることが出来る…。元となった魔法の性質を受け継がせたま
ま…。」
 「じゃ、じゃあ…。ヴァニシング・ノヴァを使ったら…!」
 「うむ。その術者にもよるが、使いこなせるとすれば魔法で
すら切り裂けるかも知れん。」
 「大丈夫。魔力制御で普通の刀より少しよく切れる程度だか
ら。」
 当たり前のように言う紅蓮。そして、リカルドは『刀』とい
うところに反応した。。
 「紅蓮くん、君は刀を使うのか?」
 「へえ。リカルドさんはかなりの物知りみたいだな。」
 「紅蓮!隊長に向かって失礼だぞ!」
 怒るアルベルト。しかし、紅蓮は動じず
 「べっつに〜♪俺はリカルドさんの部下じゃねーもん。」
 と言い放つ。
 「こ、このぉ〜。言わせておけば…!」
 さすがに頭に来たのか、愛用の槍を取り出す。
 「アル、止さないか!」
 リカルドの一言が飛び、アルベルトは仕方無しに槍をおさめ
る。
 「紅蓮くん、良かったら見せてくれないか?」
 「いんや、大会までのお楽しみにしといてくれ。今日は午前
中だけでも久しぶりの休日なんでな。悪ぃがゆっくりさせてく
れ。」
 「それはすまないことをしたな。そうそう、さっき、アルと
の話でも行ったと思うが、今回は君たちだけではなく、一般の
人達や闘技場の人達も自由に参加できる。話を聞きつけた他の
街の強者が来るかも知れん。それでは、そろそろ戻ろうか。フィ
ドルくん、アル。」
 「はい、ではまた!紅蓮さん。」
 「絶対倒してやるからな!紅蓮!」

 そして、その日の夕方、ジョートショップ…
 カランカラン♪
 「ごめん下さい。デュークくんはいるかな?」
 「あ、リカルドさんッス。アルベルトさんもいるッスよ。」
 「おっさんか。どうしたんだ?」
 「貴ッ様〜!失礼なことを言うな!」
 相変わらずのデュークとアルベルト。それをおさめ、リカル
ドは話を続ける。
 「うむ。実は、君に武闘大会に出て貰いたいのだが。」
 「おっさん、それは強制か?」
 「いや。だが、君の友人、紅蓮くんにもこれを話したところ、
参加してくれるそうだ。どうだね?日頃の成果を発揮できる言
いチャンスだと思うんだが。」
 「それって、確か自警団内のじゃないか。そんなとこに俺が
出てもいいのか?」
 デュークは思いだしたように言う。
 「かまわん。一般の参加も自由なのだが、君たち二人には是
非参加して欲しいのだ。もう、参加登録した一般の人達もいる。」
 「…。」
 「いいじゃないの。出てみたら?デューククン。」
 「そうッス!頑張って、シーラさんやシェリルさんにいいと
こ見せるッス♪」
 「あのなあ…。」
 困ったような顔のデューク。が、
 「ったく。仕方ない…分かった。俺も出る。」
 とリカルドに言う。
 「うむ。ありがとう、デュークくん。」
 「ちっ。お前もか…まあいい。紅蓮と、二人まとめて片づけ
てやる!」
 「ふん。吠え面かくなよ、アル。」
 「ア、アルって言うんじゃねぇ!」
 またしても怒り狂うアルベルト。デュークの時といい、紅蓮
の時といい、頭に血が上りすぎだ。
 「やめんか!アル!では、デュークくん。当日、グラシオコ
ロシアムで。」
 「まった!」
 「ん?どうした?デュークくん。」
 「おっさんは出るのか?」
 「…いや。私には少々やらなくてはいけないことがあってね。」
 「そうか。じゃ、またな、おっさん、アルベルト。」

 そして、リカルド達の帰った後…
 テディはもうわくわくしている。よほど楽しみらしい。
 「頑張るッス!デュークさんなら優勝も可能かも知れないッ
スよ!」
 「まあ、それが一番いいんだけどな。」
 苦笑いを浮かべるデューク。
 「でもね、デューククン。お願いだから無茶だけはしないで
ちょうだい。ここに来る前はどうだったかは分からないけど、
今のあなたには心配してくれる人がたくさんいるということを
…ね?」
 心配そうにするアリサに対し、その言葉に深くうなづくデュー
ク。
 「分かっていますって。絶対に無茶なんてしませんよ。」
 アリサは、デュークの言葉を聞いて安心したのか台所へと向
かう。
 「さ、二人とも。そろそろお夕飯にしましょう。」
 「ういッス!僕も手伝うッスよ、ご主人様!」
 テディも一緒に台所へと向かった。

 同時刻…祈りと灯火の門
 いつものように門の警備をしていたフィドルの前に一人の男
が現れた。
 「ここで…近く武闘大会が開かれると聞いたんだが…?」
 「ああ、大会参加希望の方ですね?今日はもう遅いですし、
よかったら…。」
 「宿の場所は知っているからいい。なんだ、まだ他にあるの
か?」
 「いえ…。では、エンフィールドへようこそ。」
 「……。」
 男は真っ直ぐさくら亭へと向かっていった。

 カララ〜ン♪
 「いらっしゃ〜い!あら?宿をご利用ですか?」
 「ああ…。」
 さすがはパティといったところ、対応をすぐに切り替えてい
る。そして、自分の代わりを頼むことも忘れない。
 「紅蓮〜!ちょっと宿のお客さん入るから。あとよろしくね〜。」
 「わかった!後は任せとけ!」
 すぐに答える紅蓮。もう、さくら亭の仕事が板に付いてきて
いる。
 「紅蓮…?」
 パティと紅蓮のやりとりを聞いていた男がふいに周りを見回
し、その眼…ティナとは違う、血を思わせるような真紅の眼が
…紅蓮をとらえる。
 「あら?お客さん、紅蓮を知ってるの?」
 男の視線に気づいたパティがたずねる。
 「いや…人違いのようだ。で、宿帳は…?」
 「あっ!ごめんなさい!今出すわね。ちょっと待ってて。」
 しゃがみ込み、あたふたと宿帳を探すパティ。そのかたわら、
男の眼には何ともいえないような異様な雰囲気がたちこめてい
た。しかし、さくら亭の仕事に忙しい紅蓮はまったく気づいて
いない。

 「ごめんね、待たしちゃって。はい、宿帳。なんか食事のリ
クエストとか、嫌いな物とかあったら書き込んでおいて。参考
にするから。」
 「………。今日はもう休む…部屋は?」
 「階段上って一番奥の右側の部屋よ。じゃあ、ごゆっくり!」
 「………。」
 男は無言で部屋へと向かう。パティはいつもの仕事に戻るべ
く、厨房へと急ぐ。
 「さあ、注文は?」
 「おっ、戻ったか。じゃあ…」
 そしていつものさくら亭の日常が続く。

 数日後…武闘大会前日の夜…様々な思いが交差し、エンフィー
ルドの夜は更けていく…

 「明日はどんなことが起こっかな…。でも、ティナの手作り
弁当(主にたこさんウィンナー)の方が楽しみだな。へへへっ♪
リサ…それに…アルザも出るっていうし…どっちにしろ、いい
日になるといいな…。」

 「紅蓮と闘えるかな…あん時から…さらに強くなってんだろ
うな…シーラやシェリルも見に来るっていうし…とりあえず…
やれるだけやってみよう…。」

 「くっくっく…まさかここで紅蓮が見つかるとはな…明日の
武闘大会は…くっくっく…あいつが認め、ヤツを潰したという
その力…生け贄をもってこの俺が見極めてやろう…!」

 「なんだかいやな予感が頭から離れない…デューククン、本
当に無茶だけはしないでちょうだい…私にとって…あなたは…
家族、いえ…テディと同様、息子同然なのだから…。」

 そして、当日…それぞれの意を胸に秘め、武闘大会の幕が開
く…

 後書き

 ども、ともです。
 今回は、戦闘シーンの描写ということの練習をかねたSSで
す。中盤、もしくは後半になりますが♪でも…なんか長くなり
そうな予感…。しかも勉強の合間にSSやってるはずが、SS
の合間に勉強やってる…(核爆)あう〜。ずりずりと蟻地獄ン
中に引き込まれてるみたいぃ〜。
 もひとつ。今回、「たこさんウィンナー」なる言葉が出てき
ましたが、これは悠久1st、エタメロどちらにも出てくる言葉で
す。しかも、悠久1st、エタメロ各一人づつのキャラのイベント
にのみ出てきます。これ、両方分かったらすごいですよ?
(ちなみに、わてはどちらもイベントほぼ見ました。特に悠久。
エタメロは途中で返した上、買おうにも見つからないので、ま
だ未達成です。悠久1st、2ndは見っけました。暇人やな。わて。)

 っちゅ〜ことで。
それでわ、また☆ともでしたっ♪


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