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「第二章〜古城への侵入〜」 とも  (MAIL)
 第二章〜古城への侵入〜


 紅蓮達があたし達の居場所を探してた時。あたしはあたしで苦労し
てたのよ。みんなが来るまでの三日間、きつかったのよ…。ティナは
引っ込んだまま殻に閉じこもっちゃうし。でも、引っ込んでて正解だっ
たかもね。その時…
 「待っていたよ、マイ・ハニー!」
 さすがのあたしでも引くほどの勢いのヤツがいたのよ。しかも、世
間知らずのボンボンがね。そいつは初めて顔を合わせたとき。
 「あ、あんた誰?」
 「君の未来の夫だよ。ティナ!」
 って、言うなり急にあたしに飛びついてきたわ。でも、あたしだっ
て知らないヤツにいきなり襲われるのイヤだもん。紅蓮なら別だけど♪
…というわけで…
 「こっちに…来ないでぇぇぇッ!!」
 バシィッッッ!
 「げはぁっっっ!」
 …べしぃっ!
 吹っ飛ぶくらいの力込めてひっぱたいてやったわ。ホントに吹っ飛
んで、壁に顔うちつけてたし。でも、そしたらそいつ、なんて言った
と思う?
 「マ、ママにも殴られたことないのに…。でも、そういうところが
また魅力的だ!僕は諦めないよ!」
 って、性懲りもなく飛びついてきたのよ?信じられる?あたし、思
わずグーで殴っちゃったのよ。しかも、これでもかってくらいに全力で。
 「イヤァッ!こないでぇぇぇッ!」
 バキィッッ!!
 「ぐはぁっっっ!」
 「いい加減にしなさいよ!あんた、あたし達のこと知ってるみたい
だけど。いきなり女性に飛びつくなんて!あんたみたいな最ッッッッ
低なヤツ見たことないわよ!」
 「それくらいにしておきなさい、ヴァナ。」
 あたしの怒鳴り声でも聞いてきたのか、ヴァルムのヤツが止めに入っ
てきたの。ああ、ヴァルムってのはあたし達の親父の事よ。
 「ルーン君に失礼ではないか。初対面でいきなりはたく事はないだ
ろう…?」
 「急に見知らぬヤツに襲いかかられて、黙ってるわけないでしょ!」
 「それだけお前達を好いてくれているということではないか。あん
な人間よりは…」
 バシィッ!
 その言葉を聞いた瞬間、あたしは無意識のうちにヴァルムのヤツを
叩いていた。
 「「あんな人間」?!じゃあ、母さんはどうなのよ?!紅蓮と同じ
人間よ!なんで…!」
 「お前に…。いや、なんでもない…。」
 何かを言いかけたヴァルムは、イヤなことを思い出したように顔を
背けるとクルリと後ろを振り向く。
 「ヴァナ。お前は少し反省していなさい。そう…三日ほどな。」
 いつの間にか、ルーンのヤツもヴァルムの傍らにいた。そして、二
人があたしのいた部屋を出た途端。ドアと窓全てに鉄格子がおりたの。
 「何のまね?!ちょっと!」
 「マイハニー?優しくするだけが愛情じゃないんだ。僕と会えなく
て寂しいだろうけど、我慢しててね?」
 ルーンが名残惜しそうにいった。あたしは、別に会えなくても全然
構わないからいいけどね。ただ、もう一発くらいは殴ってやりたかっ
たわ。ルーンとは、その時以来、会ってないもの。三日間、ずーっと
閉じこめられてたのよ。紅蓮達が来るまで、ね。

 「グルルアァァァ!」
 「ライトニング・ジャベリン!(×2)」
 バリバリバリィ!!
 「もろうた!」
 ドゴォォッ!
 揚雲とウェンディの魔法が炸裂し、アルザがとどめを刺す。俺やデュー
ク、カイルはそれぞれガーゴイルやゴーレムなんかを相手にしていた。
ティナ達がいる城に侵入したはいいけど、モンスターが多くてな。お
そらく、ティナ達の親父の差し金だろう。
 「くそっ!これじゃあ、きりがない!それに、一体何匹いやがるん
だ?!おい、紅蓮!何とかしろ!」
 いい加減倒すのに疲れてきたカイルが、俺に無理なことを言い始める。
 「カイル、無茶言うなよ。…。あ、そーだ。いいこと考えた。」
 「あん?なんだ、こいつら一掃してくれるのか?」
 俺のつぶやきに気付いたカイルが、かかってきたモンスターを吹っ
飛ばしながら面倒くさそうに答える。
 「ああ。危険だが、こうモンスターが多いと時間がかかってしょう
がないからな。ウェンディ、揚雲、カイル!デュークとアルザ中心に
魔法障壁を幾重にも張り巡らせてくれ!気を抜くなよ!…死にたくな
かったらな。」
 「分かりました!」
 「ふん、なんで俺が…」
 「カイルさん…お願いします…。(それに、紅蓮さんに借りを作っ
たことになりますから…)」
 「ん…。ま、まあ、そこまで言うならやってやろう。」
 即座にうなづくウェンディ。カイルはイヤそうだったが、揚雲の言
葉聞いて渋々障壁を作り始めた。揚雲もそれを見て、二人の後に続く。
やがて魔法障壁が完成し…極めつけとして、その周りに揚雲がモンス
ターを寄せ付けない陣を敷く。
 「…これでいいのですね?」
 比較的余裕の見える揚雲が俺の様子をうかがうように聞いてくる。
俺はその問いに無言でうなづくと、五人から少し離れたトコに歩いて
いった。そして、エーテル・マキシマム…まあ、エーテル・バースト
と同じもんだ…をかけると、軽く周りにヒート・シャワーを放つ。そ
ん時は具現化は使い慣れてたからな。詠唱の短縮で、モンスター達を
俺から遠ざけることに成功した。で、俺はあの時から研究していた合
成魔法を魔力全開で放つことにしたんだ。その威力を甘く見て、な。
 『右手に集うは荒き神々の怒り
  左手に集うは紅く降り注ぎし光 …我が身通じて一つとなれ!
  ライトニング・シャワー!』
 パリパリィ…
 合成した直後、俺の両手が急に放電を始めた。そして、次の瞬間!
 バリバリバリィ!…ドドドォン!!
 「グギャァァァァ!!」
 「グオォォオォオォ!!」
 空が漆黒の雲に覆われ、そこから降り注ぐ雷が次々とモンスターに
襲いかかった。ある者は一瞬で絶命し、またある者は消し炭と化して
いた…。運良く逃れられた奴らはちりぢりに逃げていった。俺は自分
が…合成魔法自体が少し怖くなったよ。魔力制御をしっかり出来る時
じゃなきゃ使ってはいけないと思った。まあ、こっちの世界のヤツし
か使えない(これは俺の直感だが)、と知ったのはその後なんだけどな。
 「…!何なんだ?!今の魔法は?!おい、紅蓮。貴様、いったい何者だ?」
 カイルは目の色を変えながら急に詰めよってきた。
 「はぁ?何寝ぼけたコト言ってんだ?異世界の住人、紅蓮だ。何を
今さら…」
 「そうじゃない、さっきの魔法だ!あんな魔法、魔族の文献でも見
たことがないぞ!」
 「見たことないって…。ンなコト言われてもなぁ…。これは、俺が
偶然作り出した合成魔法だ。なんだ?教えて欲しいのか?」
 教える気はさらさらなかったが、いたずら半分で聞いてみたんだ。
こいつだったら、絶対にのってくると思ってな。けど…
 「俺はごめんだ。そんな危険な魔法、こっちから願い下げだ。たと
え魔族の俺様だろうが、死んでまで会得しようとは思わん。死にたい
輩がやればいいだけのことだ。」
 と、プイッと顔を背けた。
 「なぁ、揚雲。威力はともかく…そんなに危険なのか?」
 これ以上、聞いても何も教えてくれないと思った俺は揚雲に聞いて
みることにした。
 「ええ…。詳しいことが知りたいのであればギルドで聞いた方がい
いのですが…。私が分かることといったら…。あなたがその魔法を使
うときは何もないようですが…他の方がその魔法を使用したいと思う
だけでも死相がくっきりと表れる、ということだけです。」
 あまり表情を表に出さない揚雲が、珍しく硬い表情になりながらカ
イルの顔をちらりと見る。どうやら、カイルの心が一瞬ぐらついたと
きに死相が見えたのだろう。
 「そっか…。でも、一応ギルドには顔出しとくか…。二人を無事に
助け出してな。」
 と、俺は古城を見上げた。すると、魔法の勢いでブッ壊れた所から
ティナ達の親父が俺らを見下ろしていたんだ。
 「ずいぶんと騒がしいと思ったら…かぎつけて来おったか、人間共
よ。ん…?魔族もいるようだが…。まあいい。ようこそ、我が城へ。
ティナとヴァナは私の所にいる。返して欲しければ、私の下僕を倒し
てみたまえ。待っているぞ、紅蓮。」
 と言い残したヤツは、かき消すように姿を消していった。
 「…救い出してやるさ、絶対に、な。」
 「ああ、やれるトコまでやってやるさ。」
 俺の言葉に、デュークはため息混じりに覚悟を決めてくれた。
 「ふん、まあいい。世界征服のためには障害がつきものということ!」
 「意気込むのはいいですが…。無理をしないようにして下さい…。」
 意気込むカイルと、それにくぎを差す揚雲。
 「私、許せません!父親だからって、こんなコトしちゃいけないはずです!」
 「よっしゃ!よく言うた、ウェンディ!うちも思いっきり暴れたる!」
 ティナの親父に怒りを感じるウェンディに、まだまだ暴れたくてた
まらなそうなアルザ。
 「んじゃ、城ン中に突入すっぞ!」
 「おお〜〜!!」
 そして、城の中にいる二人を求め、俺らは激戦が予想される古城内
へと入っていった。


 後書き

 ども。ともです。
 戦闘描写が相変わらず中途半端と言うか何というか…。まだまだです。
紅蓮、初めて合成魔法を使って見ましたが…威力凄すぎ(^^;
もうちょっと抑えりゃよかったかな、と思ってます。でも。魔力全開だ
し、合成すると威力が高くなるのは設定通りなので、あえて変えません
でした。

 では、また。ともでした。



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