中央改札 悠久鉄道 交響曲 感想 交響曲

「終章 〜未来への…〜」 とも  (MAIL)
 終章 〜未来への…〜

 その後…どのくらいの月日が経ったのだろうか…。日のあたる丘公
園で、双子らしい女の子が遊んでいる。そのうち、片方のロングヘアー
の女の子が何気なく公園の一角に歩いていく。と、一人の吟遊詩人を
見つけ、少女はトコトコと近づいて行くと吟遊詩人に話しかけた。
 「こんにちわ。あの…あなた、吟遊詩人さんですか?」
 「ええ、そうですよ。それで、私に何かご用ですか?」
 青髪の吟遊詩人はその少女に笑いかけながら答える。
 「うんとね…、ステキな恋の物語教えて欲しいの!」
 「分かりました。では、こういうのはどうでしょうか?」
 ポロロン…
 吟遊詩人は、リュートを弾きながら語り始める。いつの日だったか…
ローラに聞かせた紅蓮とティナ達の物語を…。
 ポロロ…ン…
 やはりその時と同じように、余韻を残しながら静かに語り終える。
 パチパチパチ…
 「いいお話…。覚えたから、後でヴァナにも聞かせてあげようっと。」
 少女は拍手しながら喜ぶ。吟遊詩人は再び笑いかけながら、少女に
聞き返した。
 「ヴァナ?妹でもいるんですか?」
 「うん!私とヴァナは双子なの。お母さんの話だとね、私たちは曾
おばあちゃんにそっくりなんだって。私たちのお名前も、曾おばあちゃ
んからもらったんだって。」
 「そうですか…。」
 吟遊詩人は少女の頭を軽くなでる。少女は胸を張ってこう言った。
 「うん!私、お父さんも、お母さんも、おばあちゃんも、お名前も
らった曾おばあちゃんも、ヴァナも。みんな、みぃ〜んな大好きだよ!」
 その直後、四つ時を告げる鐘が鳴り響いた。
 「それはよかったですね…。をや?もうこんな時間ですか。さて、と…。」
 吟遊詩人は最後にもう一度、少女の頭を優しくなでるとゆっくりと
立ち上がる。
 「あれ?もう行っちゃうの?」
 「ええ…。でも、また来ますよ。」
 泣きそうになる少女に、吟遊詩人は優しく語りかけた。
 「…ホント?約束だよ?絶対だよ?」
 「分かりました。約束です。」
 少女は吟遊詩人と指切りするが、最後に二つだけ聞きたいことがあ
る、と服の裾をはなさない。
 「あのね…、お話の少年と少女。幸せになったの?」
 「ええ。もちろんです。すごく幸せだったそうですよ。」
 「私、ティナって言うの。吟遊詩人さん、お名前はなんていうの?
私、絶対忘れないから!」
 真剣な眼差しのティナ。吟遊詩人はその表情に気圧されしたのか、
意を決したように自分の名を告げる。
 「私の名前はロクサーヌと言います。では、また会いましょうね、
ティナさん。」
 と、ロクサーヌは手を振ってその場を去った。

 「ティナー!どこなのー!」
 ロクサーヌが去った直後。ティナの名を呼ぶ、ショートカットの女
の子がティナの元へ走ってくる。ティナはその少女を見つけると、自
分はここだ、と手を振って答えた。
 「あ、ヴァナ!あのね…!」
 ティナはヴァナと呼んだ少女に何事か話話し始めた。ヴァナはその
言葉を聞き、楽しそうにうなづく。そして、二人は手をつなぐと一緒
に走っていった。

…それを遠くから見ていたロクサーヌは、微笑みながらポソリとつぶ
やく。
 「幸せですよ、今でも。何せ、あなた達の存在自体がその証拠なの
ですから…。」


 後書き

 ども。ともです。とりあえず、これで完結となりました。
 まあ、前回も書いたとおり、一つの未来、とゆーコトで。
ここで一つ。なぜロクサーヌはこの時代にいるでしょう?…っていうか、
なんとなくそんな気がするんです。なんででしょう?(←って、聞いて
どーする。)それはそれ、これはこれ。でしょうかね。(笑)

 では、また…。ともでした。

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