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「NO-10 〜解き放つために〜」 とも  (MAIL)

 NO-10 〜解き放つために〜







 ドドオォォン!
 カーマイン・スプレッドが朋樹に当たる直前、それをヴァニシング・レイが射抜く。
 「なにボサッとしてんのよ!死にたいわけ?!」
 両手をかざし、ヴァニシング・レイを放ったヴァナが檄を飛ばす。三号のカーマイン
・スプレッドをヴァニシング・レイで相殺したのだ。
 「ご、ごめん!」
 「キシャァァ!ヴァニシング・ノヴァ!」
 キュォォォ!
 朋樹が謝ろうとしている最中、またも魔法を放つ四号。今度は両手から発し、二人別
々に狙っているためにお互いをサポートできない。
 「こいつの魔法力って底なしなの!?…………ヒート・シャワー!」
 ヴァナは舌打ちするとサッと詠唱をし、自分に当たる直前を狙って魔法を放つ。降り
注ぐ光を一定の範囲に集中させ、壁の役割を果たさせたのだ。
 「おおぉぉぉぉ!」
 朋樹は意識を集中させると、爪手甲で魔法を斬り裂く。斬り裂かれたものはその威力
を失い、次々と無に帰っていった。
 「なによ。やれば出来ンじゃない。最初ッからそーしてればいいのよ。ったく、無駄
な魔法力使っちゃったわ。けど朋樹、いったいいつまでこいつの相手しなくちゃなんな
いの?攻撃しないようにするのって、結構辛い…」
 魔法に耐えたヴァナは朋樹の行動を見、疲れたようにつぶやく。が、次の瞬間…!
 ドゴォ!
 「きゃぁぁッ!」
 ヴァナが朋樹の方向を向いた時、四号はヴァナに向かって突進していたのだ。ヴァナ
はそのまま二〜三メートル吹っ飛び、木に体をたたきつける。四号は一足飛びにヴァナ
に近づき、とどめを刺そうと腕を振り上げた…。
 「ヴァナ!」
 「グルガァァァ!」
 「朋樹く〜ん!ヴァナさ〜ん!」
 そこへ、ディアーナが笛を手に持って駆けてきた。四号はその声に反応し、ヴァナか
らディアーナへ対象を変える。そして、その手に笛を見つけて恐怖の色を見せ…
 「グルアァァ?!…ヴァニシング・ノヴァ!!」
 笛を持って自分に近づいてくるディアーナに対し、雄叫びと共にヴァニシング・ノヴ
ァを放つ四号。それはまるで、笛を自分のもとから遠ざけようとしているようだった。
 「ディアーナ!」
 朋樹は四号の放った魔法からディアーナを守るべく、一瞬のうちにかばうように前に
立ちはだかる。
 ドン!ドォォォン!
 「早く!早く笛使って!」
 「う、うん。い、今すぐ正気に戻って闘いをやめて!」
 ひゅぃ〜〜〜…
 「あ、あれ?もう一回…。」
 ひゅいぃ〜〜〜。
 朋樹が急かすのだが、ディアーナはヴァニシング・ノヴァを防いでいる朋樹が気にな
るのか、笛を上手く吹くことが出来ない。と…
 「…シネ…!」
 ゴオォォォォ!
 四号が言葉を発した途端、周囲がまばゆく輝きだしたと思うと凄まじい数の閃光が二
人に襲いかかる。
 「…ディアーナは逃げて!ここは僕がくい止めるから!」
 「でも…。」
 「いいから早く!隙をついてそれ使って…いいね!一か八か…賭だ!」
 『我が手に集うは滅びの閃光!
  ヴァニシング・ノヴァ!』
 朋樹の手の周りに閃光が現れ、四号の放った閃光を相殺する…が、詠唱の短縮を初め
て使った朋樹の魔法と、詠唱無しで軽々と魔法を放つ四号とでは威力、魔法を放つスピ
ード共に違いすぎる。最初は耐えていたものの、次第に押され始めてくる。
 「ディ、ディアーナ…。は・や…く…!」
 「だって…!」
 「…ヴァニシング・ノヴァ!!」
 「(…もたない…!)」
 追い打ちをかけるように魔法を放つ四号。それに耐えきれなくなりそうになり、朋樹
は意を決すると爪手甲を盾に突っ込もうとした。と、四号が放つ魔法の光の中。一人の
人間が護るように飛び込んできた。
 ズドォォォォン!!
 刹那、当たりに響きわたる轟音が起こる。当然、巻き起こる土煙。朋樹、ディアーナ
の二人は突序のことに呆然と立ちすくむ。そして、風でそれが晴れた時…二人の目には
 「まったく無茶をするな。二人でなら、魔法障壁で耐え切れるだろう?」
 障壁を張り、こちらを心配そうに見つめる族長の姿があった。
 「ぞ、族長さん…。」
 「…そうか…。」
 二人はヘナヘナと座り込む。障壁の外では、今だ魔法を放ち続ける四号の姿が見える。
思い出したようにヴァナのいるところを確認すると、四号の目には既に入っていないら
しく、トリーシャ達が何処かへと運んでいるのが分かった。
 「ちょっと待っていなさい…ホーリー・ヒール」
 辺りを光が包み、朋樹の傷が癒される。が、その効果は通常のそれとは遙かに違って
いた。見たところ、魔力増強の魔法を使っているようには見えない。
 「もしかして…!」
 「ああ、これが私達の狙われる理由だ。…朋樹よ、私と共に四号を止めよう。ディア
ーナは隙をついてその笛を使って欲しい。」
 「「はい…。」」
 二人同時に答え、四号の方を見る。すると、今まで疲れの色すら見えなかった四号が、
明らかに疲れてきているのが見えてとれた。魔法をあまり唱えなくなってきているのが…。
 「では…いくぞ!」
 「はい!」
 二人同時に障壁から出、それぞれ反対方向から突っ込んでいく。四号は一瞬焦るが、
「狼は殺すな」の命令のもと、朋樹から殺しにかかってくる。
 「グオァァァ!!」
 「魔法が使えないんなら…!」
 飛んでくるその拳を楽々とかわすと、四号の二の腕に手甲の刃を深々と差し込む。
 「グォォォォ!!」
 その痛みに雄叫びをあげる四号。そして族長も逆方向から腕に噛みつき、両腕が使用
不可能となった。
 「「ディアーナ!」」
 二人同時にその名を叫び、それに答えてディアーナは声の限り叫んだ。
 「もう…、もう、正気に戻ってこんな闘いやめて下さい!!」
 ピイイィィィィィ!!!
 直後響きわたる笛の音。そしてついに…
 「ボ、ボク…イッタイ…?」
 目に宿っていた狂気の光が無くなり、四号が正気に戻る。
 「…こんな物ぉっ!!」
 それを確認したディアーナは、思い出したように笛を高々とあげると、絶叫と共に地
面にたたきつけた。粉々になる笛。そして、それと同時に四号の魂が解き放たれ、在る
べき所…自分の体に舞い戻っていった。
 「た…大変だ!四号の魂が戻っちまったぞ!」
 「退け!退却だ〜!」
 「うわぁぁ〜〜!」
 それを見ていた男達は、口々に恐怖をあらわにしてちりぢりに逃げ始める。青年も、
いつの間にかその姿を消していた。







 後書き

 ども。ともです。今回、以外とディアーナが活躍してくれました。最後の方でも、族
長出てきてピンチ救ってくれたし。わてとしてはそこそこの出来だと思いますね。

闘いは今回で終了。次はちょっとシリアス入ってきます。でも、わての書くSSのお約
束というかなんというか…。やっぱお笑い入ってしまいました。はぁ…。

 では。ともでした。

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