中央改札 悠久鉄道 交響曲 感想 交響曲

「NO-12 〜イチバンコワイモノ〜」 とも  (MAIL)
 NO-12 〜イチバンコワイモノ〜








 「じゃ、戻ろッか。エンフィールドに…っておわぁ!?」
 みんなを先導していこうとした朋樹の言葉を遮るように、頭に衝撃が走る。
 「朋樹、あたしを置いてっちゃヤダよ!」
 頭の上から聞こえてきた声はイリス。衝撃の正体はイリスだったのだ。
 「イリス!何のつもりだ?お前は、まだ誰かに仕えるには早いと言ったろう?!」
 族長はイリスを捕まえようとするが、それよりも早くイリスは
 「わからずや!朋樹、ちょっとゴメンね!」
 と言うと、いきなり朋樹にくちづけをする。
 「ちょ、ちょっと!いきなりなんなの?!」
 「お、遅かったか…。」
 「な、なに?!遅かったって?!ちょっ…ど〜ゆ〜コトォ〜〜〜?!」
 混乱する朋樹。その肩にのっかって一息つくイリス。ため息をつく族長。
 「私たちは、ある年齢に達すると異性の人間に仕えなければならない。そして、
その人間と契約のくちづけを交わすのだ…。そして、主となった人間の一生が終わ
るまで仕え続け、それを終えると一人前と認められるのだ…。」
 諦めたように話す族長。
 「撤回とか、取り消しとかは…?」
 「無理だ。古よりの掟で、いかなる理由があろうと撤回することも取り消すこと
もできない。本来ならば、双方の了解があって初めて行うはずだったのだが…。」
 「っていうコトは…?!」
 「そ!これからよろしくね♪ご・しゅ・じ・ん・さ・ま!」
 言いながら、またもやキスをするイリス。
 「……………。」
 「いいじゃない。可愛いペットが出来て。」
 「そうそう。」
 笑いながら言うディアーナ達だが、朋樹はしゃれになっていない、と言わんばか
りに肩を落としている。一方、イリスは顔を膨らませて反論を始めた。
 「違うもの!あたしはペットじゃなくて朋樹の恋人!」
 「ダ、ダメェッ!そんなの認めないッ!」
 「なによ!つきあってもいないじゃないの!」
 「………………。」
 「う゛っ……。と、朋樹くん、何か言ってやってよぉ!」
 「…………じゃ、そーゆーことで。」
 ディアーナ、トリーシャ、イリスの三つ巴のケンカの中、朋樹はボソリとつぶや
くと脱兎の如く駆け出す。
 「あ〜〜〜っ!に、逃げたぁ!」
 「ちょっとぉ!待ってよ〜〜〜!」
 と言ってる間に、朋樹は猿のように木の上によじ登るとその姿を消す。むろん、
荷物は持っていない。どうせ、後で取りに戻ってくるのだろうが…。
 「いいもん、あたしは朋樹のにおいたどって…。」
 ガシ。
 「イ〜リ〜ス〜?抜け駆けは無し、ね。」
 イリスの言葉も終わらないうちに、トリーシャはガッシとイリスを捕まえる。
 「そうそう。」
 かたわらで大きく頭を縦に振るディアーナ。二人の目は、少々マジモードが入っ
ていた。
 「ううう…。」
 ちょっと涙目にはなっているが、スキあらば抜けだそうとたくらむイリス。
 「平和ですね…。」
 「ええ、本当に…。」
 その光景を見ながら、疲れたように(実際疲れているのだが)つぶやくシェリル
とクリス。
 「幸せなヤツら…。三人とも〜。頑張って朋樹のコト手に入れろよ〜〜〜。」
 自分には無関係だからなのか、さらにケンカする三人をあおるデューク。
 「「デュークさん、無責任なこと言わないで下さい!」」
 クリスとシェリルは無責任なデュークの言葉に、声をハモらせてつっこむ。

 「だけど…。…異常な知識がある者がいちばん恐いのかしら…。あんなこと、そ
う簡単に出来るものじゃないもの…。」
 「う〜ん、うち、そないな難しいことは分からへんけど…。そうかも知れへんな
ぁ。実際、あないな合成魔獣作ってまうんやからな。でも、あないなおっそろしい
もん作るんだったら、美味いもんぎょうさん出てくるもん作って欲しいわ…。」
 ヴァナは闘いで精神的に疲れたのだろう、ティナと入れ替わっていた。アルザは
ティナの問いにグゥ、と鳴る腹をさすりながら力無く答える。
 「せやけど、トリーシャとディアーナも十分恐いと思うで。朋樹も災難やなぁ。」
 アルザの言葉で見てみると、何事かの言い争いが再発している。またイリスが何
事か言ったらしい。

 「どわぁぁぁぁ!!!」
 と、そこへ逃げたはずの朋樹の声が響きわたり、
 「こ、こっちこないでぇぇぇぇ〜〜!!」
 ドッカ〜〜〜ン!
 爆発の音と共に、スケルトンとスピリットが吹っ飛んでいくのが見受けられた。
朋樹が魔法で吹っ飛ばしたのだろう。
 ガサガサガサァッ!
 そして、朋樹が次の瞬間には茂みから勢いよく飛び出し、肩で息をしながら皆の
近くに倒れた。しかも、その顔はどこか青ざめて見える。
 「ど、どうしたの…?」
 「う、ううん。なんでも…ないよ。」
 「あっ、またスケルトンや。」
 その言葉を聞いた途端、朋樹はガバッと起きあがると、アルザが指した方向に魔
法を放とうとする…が、そこには何もいなかった。
 「あ、あれ?アルザ〜、嘘言わないでよ…。」
 朋樹はホッと一息つくが、アルザは意地悪そうな笑みを浮かべる。
 「あ、そうや。うち、ごっつうおっかない話知っとるんやけど…」
 ダッ!
 聞くや否や、いきなり逃げ出す朋樹。しかし、その首をアルザの腕がガッチリと
掴んで離さない。
 「ちょっと〜。なに?アルザ。そろそろ帰りの準備しないと…。」
 「んなもん、後でうちが手伝ってやるわ。それよりもな、これは揚雲って言う影
の民から聞いた話なんやけどな…。」
 「や、やだ!聞きたくないぃ〜〜〜!」
 ジタバタともがくが、いつの間にかデュークも押さえにかかっている。
 「いいじゃねぇか。な、アルザ。どんな話なんだ?」
 「うん、ある街でな…」

 終いには叫ぶ朋樹の口に猿ぐつわをし(笑)、耳をふさごうとした手を強引に押
さえつけ(笑)、端から見ると拷問にしか見えなくなっていた。(笑)
 「あ〜あ。かわいそう…。」
 「でも、朋樹くんにも苦手なものってあったんですね…。」
 「アルザも意地悪だなあ。ボクはあんまりああいうの好きじゃないから…。けど、
オバケが嫌いなんてかわいい弱点だね。」
 「って、そろそろ助けに行きません?僕、見てられませんよ。」
 しばらくのんびりと見ていたが、クリスの一言で助けに向かう四人。
 「…でな、……」
 「モゴ、モガムゴォ(もう、やめてよぉ)〜〜〜〜〜〜!(号泣)」
 しかし時既に遅く、朋樹の悲痛な叫び声が響いていたのだった。

 その後、無事に帰った八人は事の次第をリカルドに報告し、北の洞窟付近にはあ
まり人が行かないようにする、ということを約束してもらった。事実はごく少数の
関係者のみが知る、というとこで…。ついで、イリスを家に置くことも許可された。
 朋樹ら四人はトーヤ提供の資料もあって、レポートの制作は順調に進み、見事全
テストの2/3も免除になった。彼らが持ってきた中の灯火茸、それが非常に貴重
なキノコであったためだ。他にも結構珍しいキノコもあったためだ。(灯火茸は新
種ではなかった)レポートの出来具合は…。あえて伏せておく。
 デュークはいろんな薬草やら薬やらを調達してきたが、どれもアリサの目を治す
ことができるようなものではない、とトーヤが全ての物に結論付けた。しかし、ど
れも貴重な代物ばかりなので、魔術師ギルドや自警団、トーヤのあいだでかなりも
めたという。

 その後…
 ドンドン!
 「おーい。朋樹〜。どっか遊び行こうぜ〜。」
 朋樹と共に時々学園を抜け出すメンツの一人、ラティンがドアを叩く。
 「はいはい。」
 ガチャ
 「…あ、ラティン。いいとこに来たね。」
 「え?また何か食わしてくれんの?」
 その言葉で、ラティンが嬉しそうに笑う。遊びに来ると、時々お菓子なんかをご
ちそうしてくれることがあるからだ。
 「ごめん、そうじゃないんだけど…。ま、それよりどっかに早く行こ!」
 ラティンの背中を押しつつ、なぜか急ごうとする朋樹。そして…
 「いい加減にしてよね!」
 「いいじゃない、あたしの勝手でしょ!」
 トリーシャとイリスの怒号が響きわたる。
 「…原因はあれか。」
 「そ。おちおち昼寝もしてらんないんだ…。」
 疲れるように肩をすくめる朋樹。ラティンは苦労が分かるように肩を叩く。
 「じゃ、さくら亭にでも行くか。」
 「うん、そうしよう。」
 うなづきあうと、そそくさと逃げるように二人はさくら亭へと向かう。
 「大変だな、お前も。」
 「うん、クリスの苦労がなんとなく分かるような気がするよ…。こう毎日うるさ
いと、疲れてどうしようもないからね。」
 二人が雑談しながら橋を渡る途中、冬の冷たい風がその間を駆け抜ける。が、そ
れもすぐにおさまり、太陽が暖かな光で全てを包み込んだ。
 「もう冬だってのに結構暖かいな。神様の気まぐれ…かな?」
 「うん、そうかもね。でも、あの二人、相当大きな声で言い合ってるね。風に乗
ってここまで声聞こえるよ。これは神様のイタズラ、かもね。」
 「……!」
 「……!!」
 抜けるような青い空のエンフィールド。そこでは、きょうも平和な日々が始まっ
ていた。そして、日常茶飯事な受難もまた続く…。







 後書き

 ども〜。ともです〜。
…終わったァァァァァ!!やっと…!てーか、これ長過ぎですね。いったい何時間
かかってんだよ、わて。(^^; 容量も書いた中でダントツにでっかいし。

 でも、次のヤツも着々と作成中だったりします。(笑)こりないなぁ、わても。
(^^; いい加減一話完結物でも挑戦すればいいのに…。しかしそれが出来ない
わてだったりします。

んでは。こんな長いの読んで下さった方々。ありがとです!m(_ _)m

ともでした!!


中央改札 悠久鉄道 交響曲 感想 交響曲