中央改札 悠久鉄道 交響曲 感想 交響曲

「NO-2 「それぞれの場所で」」 とも  (MAIL)





 「うわぁぁぁぁぁぁ!!」
 「助けてくれぇぇぇぇ!!」
 それを見るや否や、二人組はものすごい勢いで逃げ去っていった。後にはコウ
とアレフの二人だけが残っている。幸い、他に人はない。
 「ふん、これでぼくの怖さがわかったろ?」
 お前も消されたいか?と言わんばかりに睨み付けるコウ。
 「ああ、わかったよ。でもな…」
 いいながら、アレフはコウの肩を叩く。そして
 パタン
 急に倒れ込むコウ。アレフの秘技、眠りのツボである。アレフは体を支えてや
ると、ため息混じりにつぶやいた。
 「ほっとけるわけないだろ?…ったく、とりあえずさくら亭にでも行くか。そ
の後におっさんあたりにでも一応言っておいて…面倒なことになっちまったな…。」
 もう一つため息をつくと、アレフはコウを担ぎ直してさくら亭へと急いだ。



 …一方、消えた三人は
 「…ここは…?」
 「…さぁ…。朋樹くんは起きないし…もう少しおとなしくしてましょ。」
 「そうですね。とにかく、朋樹くんをベンチに寝かせますか。」
 クリスとディアーナが顔を見合わせたところは住宅街の中にある大きな公園の
林の中だった。彼らの上空では…見慣れない鳥の形をした大きな物体が大空を飛
んでいた。



 「さて、コウ。お前何をやったんだ?講義の時言ったはずだぞ。「危険な魔法
は使うな」ってな。」
 ギロリと睨む紅蓮の眼には、殺気立った雰囲気も含まれていた。コウはという
と、自分のしでかしたことにやっと恐怖を感じ、うなだれるようにイスに腰かけ
ている。
 「はい…」
 「で?効果が切れるとかはあるのか?」
 「ええ、4日で切れて、戻ってくるはずです。三人がどこへ飛ばされたのかは
知らないですけど、そこの時間で4日…96時間経てば。」
 「そうか。戻れるならいいんだが。」
 と、紅蓮は何か考え込むと、パチンと指を鳴らす。
 「そうだ!たしか布を通じて交信できる魔法があったよな。それ、使えないか?」
 「でも、あまり遠くても話すことは難しいですよ。それに、遠ければ遠いほど
大きな魔力が必要ですから。でも、それ以前に距離の概念がつかめません。」
 紅蓮の考えに、シェリルはあまり乗り気でないように答える。
 「それに、仮につながったとしてもそんなに長い時間は話せませんよ?それで
もいいのなら…」
 「かまない。じゃ、シェリル、お前に任せる。」
 「ええ?!わ、私ですか?!」
 「実のところ、俺はその魔法をよく知らない。それに、ここにいるヤツらの俺
の知る中で…シェリル。お前にまかせるのが一番いいと俺は思う。」
 言われてぐるりとみんなを見渡すシェリル。そして深く頷いた。
 「分かりました。出来るだけやってみます。」
 「よし。協力するし、俺の魔力もわける。頑張ってくれよ!」
 「なら、ボクも協力するよ!ボクの魔力じゃちょっと少ないかもしれないけど
…、ないよりはマシでしょ?」
 「…ぼくも協力させて下さい。」
 紅蓮やトリーシャが協力を申し出る中、コウも名乗り出る。
 「罪滅ぼしとはいかないかもしれないけど…ぼくのせいでこんなコトになっち
ゃったんですから…。」
 「よっしゃ。自分のケツは自分で拭くってのはいいことだ。お〜い、パティ〜!」
 「なに?行ってきてもいいけど、ラッシュの一時間前には帰ってきてね。待て
るのはそれが限度よ。」
 「…恩に着る。とりあえず、王立図書館だ。コウの使った魔法を調べる。それ
ともコウ、まだ魔法書持ってるか?」
 「はい、寮の部屋に…」
 「じゃ、学生寮だ。みんないくぞ!」
 「うん!」
 紅蓮はシェリル、トリーシャ、コウの三人を連れ、外へと飛び出していった。



 グォン!
 朋樹が目覚めるのを待っていたディアーナとクリスは、いつの間にか眠ってい
たのだろう、爆音にも似た音で目覚めた。それでもそんな長い時間眠ってはいな
いらしく、まだ日は高い。
 「…!」
 「おい、そこに寝てるヤツ…の顔。ちっとばかし見せてくれないか?」
 しかし、その目の前は、爆音を響かせる金属の塊のような二輪車にまたがった、
数人の少年少女達に囲まれていた。そして…リーダー格と思われる少年が、間近
に立っていた。

 「なぁ、頼む。そいつ、いなくなった親友にそっくりなんだ。ちょっとだけで
いい。」
 その少年は、懇願するように頭を下げる。
 「いなくなった…ですか?まさか…。」
 その言葉を聞き、ディアーナとクリスは顔を見合わせる。
 「?」
 「その消えた親友って…朋樹って言うんですか?それとも紅蓮…」
 「何で知ってるんだ?…まさか!」
 少年はそう言うと、目の前にいたクリスの肩を掴む。それと同時に朋樹の顔を
のぞき込んだ。
 「本当か?!本当なのか?!本当にそうなのか?!戻ってきたのか!?」
 「あわわわ…。ちょっと落ち着いて下さい!今、理由話しますから!」
 「あ、ああ。悪い。おれの名前は煉也(れんや)。みんなレンって呼んでる。」
 「僕はクリスっていいます。」
 「あ、あたしはディアーナです。」
 「そうか。よろしく。おい!みんなおりてこい!やっぱり…そうだ。朋樹だ!」
 レンがそう言うと、次々と面々が集まってくる。そのかたわら、クリスはレン
に自分の知りうる限りのことを話していた。レンの方も、自分らと朋樹らの関係
について話している。
 「やっぱりそうだったの?!」
 「…戻ってきたんだ…」
 「心配させやがって…」
 「こいつ、膝枕で気持ちよさそうに眠ってやがる。おら、いい加減起きろ!」
 レンの仲間が、ディアーナとまだ寝ている朋樹を囲む。その中の一人が、笑い
ながら朋樹をこづいた。
 「…ディアーナ、治療の練習上手くなってよぉ…」
 「か〜っ。こいつ、寝ぼけてやがる。」
 「にしても、ディアーナちゃんだっけ?こいつとつきあってんの?」
 「そ、そんなっま、まだそんなんじゃ…」
 「こら、ユウ。あんたひっぱたかれたいの?」
 ディアーナをからかうように話していた、ユウと呼ばれた少年を、近くにいた
少女が叩こうと腕を振りかざす。
 「お〜こわ。由香相手にすっと無事じゃすまされないからな。」
 「何ですって〜〜!!」
 由香と呼ばれた少女は、逃げたユウを追いかけてどこかへ行ってしまう。しか
し、他の仲間はいつものことのように無視を決め込んでいた。
 「紹介が遅れたな。俺は一弥。カズって呼ばれてる。」
 「あたし、レミア。一応ハーフなの。よろしくね♪」
 「よろしく。…皆さん、いつもこんなですか?」
 「ああ。あそこ走ってる二人なんか、許嫁同士のくせしていっつもああだぞ。」
 「「許嫁じゃない!親同士が仲いいだけよ(だけだ)!!」」
 見事にハモッた声で、同じコトを怒鳴る二人。
 「はぁ…。とりあえず、朋樹のこと起こすか。いい加減、起こさなきゃな。」
 レンはため息をつくと、今だ気絶中の朋樹を起こしにかかった。



 「なるほどな…。この液体によって飛ばされる場所はその時の時と場合と運、
そして月齢か…。」
 「複雑、ですね…。」
 「ま、変なトコに飛ばされてなけりゃぁいいさ。とりあえず、こいつ使って三
人の後を追うのは不可能に近い。幸い、同時に飛ばされた人間や物は必然的に同
じトコに行くらしいから…あいつらのうち、誰か一人にでも連絡がつけばいいさ。」
 紅蓮はホッと一息つき、イスに座り直す。
 「バラバラだったら、本当に大変なところでしたね…。不幸中の幸いです。」
 シェリルの言葉に、コウも少々ホッとしたようにうなづく。特にコウは気が気
でない。
 「っと…もうこんな時間か…。しゃーない、さくら亭に戻らなきゃいけねぇな
…。すまないが、後は二人で頼む。時間見計らって店に来てくれ。シスター・リ
ンには話を通しておく。…明日が休日で良かったぜ…話を通しやすい。んじゃ!」
 そう言うと、紅蓮は走らないように…しかも出来るだけ急ぎながら出ていった。
紅蓮もシスターが恐いようだ。
 「さ、コウくん。私達は私達の出来ることを…!」
 「…はい…!」
 二人はそれぞれ交信の魔法、三人を消した魔法について熱心に調べ始めた。










 後書き

 ども。ともです。…やっぱり混乱しちゃったかな…。一応、世界が変わるときの
場合は多めに行を空けてるんですけどね。

 次はちょっと暴走気味になります、キャラ達が。こういうのは好きなんですけ
どね、わて的には。んで、また新キャラ出ます。この話のみの一発キャラが。(笑)

 んでは、また。ともでした。

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