中央改札 悠久鉄道 交響曲 感想 交響曲

「NO-4 「どっちも暴走中!!」」 とも  (MAIL)




 「やれやれ…どうにか連絡はついたな…。しかし飛ばされた先が俺らのいた世
界とは…おもしれェ偶然だ。とりあえず三人の衣食住の心配はいらねぇだろ。俺
の親父とお袋なら、必要以上にみてくれる。」
 「それならいいけど…」
 「な、なんだよ…!」
 思わず言葉を濁す紅蓮。いつの間にか、皆が紅蓮を取り囲んでいたのだ。皆の
目は好奇心の目、軽いジト目、ちょっとした睨み、など様々だ。
 「紅蓮ってば、本名をあたし達にまで隠してたなんて…非道いじゃない。ね、
ティナ。」
 「…ヴァナの言うとおりですよ?私達って…そんなに信用なかったんですか?」
 ヴァナが茶化し、直後入れ替わったティナが、ちょっと潤んだ目で訴えるよう
に言う。
 「ちょ…ちょっと待った!ただ言う機会がなかっただけだ!それに、いつかは
言うつもり…」
 「な〜んて。う・そ・で・す・よ♪」
 「へ?」
 ティナはからかうようにペロッと舌を出す。紅蓮に至っては、そのまま固まっ
ている。
 「ぷっ…あははは!なんや、ティナもやるようになったやないか!」
 「ほんとほんと。で、でも…っく…あはは!さっきの紅蓮の顔ときたら…!」
 パティの言葉をきっかけに、さくら亭は笑いの渦に巻き込まれた。一人、紅蓮
はその笑いに耐えている。
 「ティナぁ…。最近、ヴァナに性格似てきたぞ?」
 「当たり前ですよ。だって、ヴァナと私は二人で一人なんですから♪」
 「…そういうコト♪う〜ん、ティナもやっとあたしのノリについてこれるよう
になってきたわね♪」
 最近、あっさりと入れ替わるようになってきたティナとヴァナ。紅蓮やアルザ
はつきあいが長いからまだ判別出来るものの、他の面子はやや混乱気味だ。
 「ついていかんでいい!…でも…ま、それもいいかな…。酒だ、酒!三人の無
事が確認できた!それで十分だ!」
 「紅蓮さん?ご両親のことはいいのかしら?」
 「ああ、親父とお袋と話せたのもあったな。サンキュ、イヴ。ぃよっしゃ!俺
のオゴリで宴会だ!」


 「でも、今日はもう店終いしちゃってるんだけど。」
 「あ…。しまった…。」
 紅蓮の一言に、パティはジト目でクギをさす。そう、このためだけに店を早め
に閉めたのだ。
 「いいじゃない、パティ。お料理だったらボクが作ってもいいよ?」
 「ふみぃ、メロディもつくります♪」
 トリーシャが最初に名乗りを上げ、続いてメロディも手伝いを申し出る。
 「でも…」
 「いいじゃねぇか、パティ。さくら亭の店主の俺が許可する。…これで文句あ
るまい?」 さらに悩むパティを後目に、パティの父親はあっさりと許可を下す。
 「さすが親父さん!話が分かる!」
 「その代わり、きっちりと代金払えよ。そこのお嬢ちゃん二人分のバイト代も
な。」
 「へいへい。分かってますよ。あれ?代金?材料費じゃなくて?…じゃ、その
払えッちゅーことは…」
 「おう、俺も料理は作るぞ。嬢ちゃん二人だけに働けッちゅーのはちょっとば
かり酷だろう?それに、俺のプライドが許さん。」
 「いいねぇ♪じゃ…始めよう!!」


 と、紅蓮は宴会の開始を宣言する…が、隅っこの方でコウが一人で暗い空間を
作っていた。紅蓮はコウの元へ歩み寄ると、軽く肩を叩く。
 「ん?どうした、コウ。」
 「いえ…僕、朋樹達に謝ること出来なかったし…僕がこんな宴会とかに参加で
きることなんか…」
 ボクッ
 紅蓮は、無言でコウの頭を叩いた。
 「った!な、何するんですか?!」
 「お前、何でそんなに落ち込む?ったく…この際だからハッキリしといてやる。
お前がいじめられる原因の一つはそーゆー暗いトコだ。」
 「…」
 「お前、自分には何の才能も、他人より秀でてるところも何もないと思ってる
だろ?そりゃあ間違いだぞ。」
 「…僕に…僕に何の才能とかがあるって言うんですか…?そんなものあったら、
こっちが聞きたいですよ…。」
 紅蓮はその言葉を聞き、呆れたようにつぶやいた。
 「お前、まだ分かってないのか?魔法だよ。どこぞの爆裂お嬢様とか激烈王女
様と違ってな。」
 「紅蓮!あんたまでそう言うこと言うわけ!?」
 今回、説得されて仕方なくサポート組にまわされていたマリアが、その言葉を
聞き逃すはずもなく声の限り怒鳴り散らす。
 「おぅ、気にさわっちまったか。悪ィ悪ィ。…と、話の続きだ。あんな魔法陣
とかいろいろ複雑な魔法を見事、お前は成功させた。…まぁ、目的はほめられる
もんじゃないが。」
 「はい…」
 「魔力は並以上だし、その制御力は大したもんだよ。だから…俺は、この事件
はなかったことにしたい。」
 「え!?」
 紅蓮は、後半部を耳打ちするように小さくしゃべる。コウは、その提案に絶句
した。本来なら、魔術師ギルドで魔力を封じられてもおかしくない状況なのに…。
 「しっ!これはまだ俺だけの見解だ。他にもいろいろあるかも知れねぇ。が、
お前はその気になりゃまだまだ伸びる。そんな芽を俺は刈り取りたくない。もし。
このことをみんなが目をつぶってくれたときは…」
 「…」
 「学園で頑張った後、ギルドに入って頑張って欲しい。ま、お前がイヤだとい
っちまえばそれまでだが。お前がその気になれば、の話だ。後の判断はお前次第
だよ。」
 ポンポン、と紅蓮は再びコウの肩を叩くとさっそく酒を飲みに行こうと立ち上
がる。
 「紅蓮さん…」
 「おう?なんだ。」
 「ありがとうございます。僕、頑張ってみようと思います。」
 そう言ったコウの目には決意の輝きが宿っていた。紅蓮はそれを見ると満足そ
うな顔でうなづく。
 「そっか…しかしコウ。」
 「はい?」
 「お前、もうちょっと笑うとかしたらどうだ?んなことだから連中は面白がっ
ていじめたりするんだぜ?ほれ、飯でも食おうぜ。腹へっちまったよ、俺。」
 「…はいっ!!」
 答えたコウの顔には、今まで見せたことのなかった笑顔があふれていた。
 「それにな。」
 「え?」
 「お前、とも達に何も言えなかったって言ってたよな。それは俺がしゃべりす
ぎたせい。馬鹿親父やお袋としゃべりすぎたせいだ。気にすんな。あいつらには
帰ってきたときにでも謝ればいい。さて…酒だ、酒!」
 そう言うと、紅蓮はちょっと照れたのか、頭を掻きながら酒を求めて歩いてい
った。
 「(とも、こっちはもう大丈夫だ。後は…そっちのことまかせたぜ、とも。
…頼むぜ。)」




 一方、朋樹達は…
 「すぅすぅ…」
 「ん…むにゃ…」
 すでに、酔いつぶれて眠っている者達。ディアーナに由香である。実に幸せそ
うな寝顔だ。
 「みんな、いい具合に酔っぱらってるね〜♪」
 一番酒を飲みながらもほとんど素な者。もちろん朋樹だ。脇には一升瓶が5,
6本ほど転がっている。
 「おぅ、てめェら!飲んでるか!」
 「「「おお〜!!」」」
 勢いのついた者達。翔にレン、カズにユウの男連中だ。レン達の三人は、肩組
んで酒をかっ喰らっている。
 ゲシィ!
 「あなた…?羽目を…外しすぎないようにと言ったでしょう…?」
 酔いにまかせて報復(単なる、絡み酒による攻撃)する者。言うまでもなく彩
である。目は座っており、無言の威圧感がある。
 「?!(やばい、飲ませ過ぎた…!)おめェら、は、羽目を外しすぎないよう
に…な!」
 「「「…おお〜〜」」」
 「いい、クリスくん。男はね…じゃないとダメよ!で、…だから…なの。いい?!」
 「…誰か助けて…(泣)」
 絡み、絡まれる者…。レミアにクリスだったりする。皆、多種多様な壮絶模様
である。

 「こうなると思ってたけど…。実際は凄まじいものだなぁ…。んぐんぐ(←ま
た飲んでる。)」
 「朋樹ちゃん…、それくらいにしておきなさい…。あなたが一番飲んでいるの
よ…?」
 「げほっ…!は、はい!後はジュースでいいです!」
 音も立てず、彩は朋樹の真後ろに移動していた。その声から、怒気と忠告の意
志が入り交じっているのを感じた朋樹は、あっさりと酒瓶を手放す。
 「そう、ならいいわ。って…あなたっ!クリスちゃんに無理矢理飲ませないの!」
 バギィ!
 「うぎゃぁぁぁぁぁ!!」
 彩は朋樹に説教した後、翔に跳び蹴りをかます。朋樹の見る限り、まだ腕は衰
えてないらしい。(笑)
 「彩おばさん、ナイス!いいサンドバックがあるから衰えてないね〜。」
 「…サンドバック…言う…な………(黙)」
 しぶとくつっこみをいれた翔は、そのまま力つきた。


 数時間後…
 「で、結局こうなるの…?」
 酒に強い朋樹以外、全ての人間がダウンしていた。そこらには酒の臭いが充満
して、飲んでない者も酔いそうである。もっとも、朋樹のみ途中からジュースに
切り替えたおかげであまり酔っていないせいもあるが。
 いつもなら彩も起きているはずだが、今日に限って翔に酒を飲まされ過ぎたた
めにダウン中である。
 「また、こうなるのか…。」
 ため息混じりに呟くと、朋樹は忍び足で部屋から出ていった










 後書き

 ども。ともです。
 …どうしようもないな、こういうネタ。キャラは暴走するし、こういう部分
だけ早く書き上がっちゃうし。…前半のさくら亭の方がちょっといまいちだと
思いますね、わて。ちょっと強引な部分ありますし。
 朋樹達はそっちで盛り上がって(暴走して?)るし。…暴走ネタ、好きなの
かなぁ…。思いつくのもこれ系が多いんだった(爆)


 次は前半ギャグの後半シリアス。…なんか、ストーリーが曲がってそう(爆)。

 では、また。ともでした。

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