|
みんなが大好き、という気持ちと
何もかも無くなってしまえばいい、という気持ちと。
あたしの中にはどちらもあって、それが時々、思い出したように浮き上がって、また沈んでいく。
気が付かずに、苦しまずに、何も感じないように、誰かあたしを殺せばいい。
そんな風に。
思うこともある。
「それが思春期ってやつじゃないの?」
そんな自分が嫌になって、友人に相談したら、彼は少し遠い目をして言った。
「そう言う風に考える時期も必要だと思うよ」
あたしは、というと、なんだか情けなくなった。
思春期です、なんて胸を張って言える時期はとうに過ぎていて、じゃあ、あたしの10代はなんだったんだろう、とか、この訳のわからない鬱々とした感情が、そんな簡単な単語で、扱く当然のように片付けられてしまうのがくやしかったからなのか。
あたしって小さい。
そう思ったらまた落ち込んできて、ぐるぐる廻って、雪に埋まって、溶けて消えたくなった。
しんしんと、降り積もった雪は白くて、硬くて、重い。
真っ白な雪の上を、汚れた靴で踏みならして、倒れこんだ。
ひんやり。
全身から、ゆっくり、じわじわと、確実に奪われていく体温。
静まり返った街。音のない世界。
目を閉じると、自分がこのまま消えてしまうような気がして、息を大きく吐いて確かめた。
「あー…寒い」
なんだか、急に人が恋しくなって彼に電話した。
優しい声。
ありがとう。
少しだけ
世界が明るくなった。
|