鉄道まめ知識

 

『標準』時刻表と書いてあるワケ

地下鉄の電車ってどうやって入れたか

車両形式のつけかた

列車番号のつけかた

山手線は実は環状線ではない?

複雑な千代田線の相互乗り入れ

 

Index






 複雑な千代田線の相互乗り入れ

 営団地下鉄千代田線とJR常磐線の相互直通運転は運賃計算が非常にややこしいことになっています。この両線の境界は綾瀬で、乗務員も綾瀬で交代しています。しかし、営団地下鉄からJRへの連絡乗車券を買うと、両者の境界は北千住として計算されるのです。

北千住付近の運転系統

 北千住〜綾瀬間はJRの路線であり、同時に営団の路線でもあるという二重戸籍区間となっています。直通運転が開始された際、国鉄は境界を北千住と定め、営団は綾瀬を境界としており、国鉄の原則が優先されたのです。この原則は現在もJR東日本に引き継がれていて、たとえば、営団千代田線の大手町から常磐線の亀有まで切符を買うと、大手町〜北千住を営団、北千住〜亀有がJRとして、運賃が計算されます。しかし、大手町〜綾瀬の切符を買うと、全区間が営団線として運賃が計算されるのです。北千住〜亀有の切符を買うと、実際には北千住〜綾瀬間は千代田線に乗ることになりますが、運賃はJRの原則通り、全区間JRとして運賃計算されます。

 では、北千住〜綾瀬間の運賃はどうなるのでしょうか。この区間の運賃は、両社の運賃のうち、安い方を適用するルールになっているので、切符の場合、JRの運賃を適用しています(JR130円、営団だと160円)。

 それにしても、ここの乗り入れ形態は感心しません。快速の止まらない亀有、金町から上野へでる場合、千代田線の北千住駅ホームからJR北千住ホームへ行かねばなりません。この乗り換え、地下3階の千代田線ホームから地上のJRホームへ行かなくてはならないのでかなり大変です。開業当時、その杓子定規としか言えない施行が批判を浴びています。地下ホームと地上ホームを歩いて連絡しろという発想があまりにも利用者無視であるということもあります。そして営団地下鉄がストをやると、綾瀬〜北千住間は電車が動かなくなってしまうので、亀有、金町両駅の利用者は一旦逆行して松戸へ行き、快速へ乗り換えないといけないのです。そのため、営団のストの日は松戸で乗り換えようとすると駅が混雑し過ぎて駅のキャパシティーを超えてしまうので一端改札の外へ乗客を案内して駅前の道路で待たせるということになってしまいます。綾瀬に快速ホームをつくれば多少は問題が改善されるのですが…。

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 山手線は実は環状線ではない?

 と言ったら「えっ」と思うでしょう。実は山手線は品川〜渋谷〜新宿〜池袋〜田端の区間だけが「山手線」なのです。

 JRでは戸籍上、1つの区間は1つの路線の所有とすることが決まっています(ただし例外はありますが)。その決まりに従うと、山手線は上に挙げた区間だけが戸籍上山手線所有の区間なのです。そして残りの区間の田端〜上野〜東京〜品川の区間の内、田端〜品川は東北本線、東京〜品川は東海道本線の所属となっています。すなわち田端〜上野〜東京〜品川の区間については山手線の電車が東北本線、東海道本線に乗り入れしている、ということになっているわけです。

 そんなことをいったら山手線がかわいそう、という声がきこえそうですが、山手線はまだマシ。京浜東北線や埼京線にいたっては戸籍上存在すらしていないのです(えっ?)。京浜東北線は根岸線の大船〜横浜間、東海道本線の横浜〜東京間、そして東北本線の東京〜大宮の間を直通して走っている電車に旅客案内上名称をつけただけなのです。埼京線も同様で、恵比寿〜池袋は山手線、池袋〜赤羽は赤羽線(そんな線ないよという人いると思いますが赤羽線は戸籍上存在しています。埼京線が走る前、池袋〜赤羽間を走る赤羽線という黄色い電車が走っていたのを覚えている人もいるのではないでしょうか)、そして赤羽〜武蔵浦和〜大宮はなんと東北本線という扱いになっています。これは何故かというと、この区間は新幹線建設の見返りとして、新幹線の線路に平行してつくられた在来線用の線路、つまり東北新幹線の付属品(といったら口が悪いかな?)なのです。で、その東北新幹線はあくまで東北本線の別線扱いとされているので、埼京線の電車だけが走るこの区間も東北本線の所属、となっているわけなのです。

 ついでに、横浜線新横浜駅の話もしましょう。この駅、何故かJR東日本ではなく、JR東海が管理しています(ただし篠原口はJR東日本が管理しているみたいですが)。駅の自動券売機もJR東海の機械になっていて、横浜線の他の駅と形やデザインが違っています。これは何故かというと、新横浜駅は東海道新幹線のためにできた駅で、新幹線との接続のために横浜線にもホームが出来た、という経緯からなのです。そのため、東海道新幹線を管理しているJR東海が新横浜駅も管理している、というワケなのです。

 話がそれましたが、山手線の電車のダイヤの扱いについて書いておきましょう。山手線の電車は、大崎発大崎行き、という扱いになっています。したがって、山手線の電車は大崎に到着すると、そのまま大崎発大崎行きとなって次の周回に入る、ということになっています。列車番号も大崎で変わります。なお、内回りが上り、外回りが下りとなっています。原則としては、東京に向かう電車が上り、ということになっているので東京駅を発車する上り電車はないはずなのですが、山手線には内回りという、東京駅を出る上り電車というのが走っているという訳です。ちなみに、京浜東北線も大宮方面は上りとなっています。東京発の上り電車という2つの例外です。

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 列車番号のつけかた

 走っている列車には列車番号がつけられています。時刻表にも載っている列車番号ですが、これまたいろいろ意味が含まれているんですね。

(例)3041M

 まず、下り列車には奇数、上り列車には偶数の列車番号がつけられます。そして数字の後に電車による列車ならMを、気動車による列車ならDをつけます。客車列車、貨物列車には何もつけません。従って例にあげた列車は電車が来ます。

 下2桁は1〜19が急行旅客列車、20〜49が快速、普通旅客列車、50〜69が高速貨物列車70〜はその他の貨物列車です。従って、例にあげた列車は普通列車か快速列車ということになります。

 100の位には線区別に決められた番号が入ります。ただし、特急と高速貨物は0が入ります。

 1000の位は0〜5が定期列車、6と7が季節列車、8と9は臨時列車です。定期列車の0〜5は100の位の補完的役割を担うこともあります。

 通勤列車区間ではこの法則とは別に、それぞれの線で個別の決まりによって列車番号をつけることが多いです。

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 車両形式のつけかた

 鉄道車両には必ず形式番号がつけられています。この形式番号、ちゃんと法則にのっとってつけられています。ここでは、その法則を紹介しましょう。以下は国鉄(現JR)の規則です。

電車

(例) クモハ103ー117

カタカナ記号

1文字目

  • ク=制御車(運転室のある車両)
  • モ=電動車(モーターがついている車両)
  • クモ=制御電動車(運転室とモーターがついている車両)
  • サ=付随車(モーターも運転室もない車両)

2文字目

  • ロ=グリーン車
  • ハ=普通車
  • ロネ=A寝台車
  • ハネ=B寝台車
  • シ=食堂車
  • ユ=郵便車
  • ニ=荷物車
  • ヤ=試験車、職用車

数字

  • 百の位=電気方式を示します。
    1〜3=直流
    4〜6=直流、交流両用
    7と8=交流
  • 十の位=車両の用途を示します。
    0〜2=通勤型、近郊型
    5〜7=急行型
    8=特急型(最近は急行型の新造車がないせいか、5も特急型の番号としてつかっています)
  • 一の位=基本的に登場した順に奇数番号が割り振られます。なぜ奇数番号かと言うと、例えば103系の場合、モハの車種が2種類あって、それぞれにモハ102型、モハ103型という割り振りをするためです。他形式でも同様の事情がありますので。

そして、ハイフンのあとの数字は製造番号です。ただしマイナーチェンジをしたときに見分けるためにこの製造番号に100とか1000とかの数字を追加することがよくあります。103系の場合、営団地下鉄東西線直通用に1200番台の製造番号をつけて見分けています。この車両を、103系1200番台という風に呼びます。

 従って例としてあげた車両は、運転室のついた電動車(制御電動車)で普通車、直流用の通勤型、ということが分かりますよね。

気動車(ディーゼルカー)

(例)キハ58 1105

カタカナ記号

 1文字目は必ず「キ」をつけます。気動車の「キ」です。2文字目は電車と同じです。

数字

  • 十の位=エンジンについて示しています。
    1〜4=小馬力エンジン1台
    5=小馬力エンジン2台
    6、7=大馬力エンジン
    8=特急型気動車
    9=特殊車
  • 一の位=製造順

従って例の車両はエンジン2台付きの急行型気動車の普通車です。

客車

(例)カニ24 8

文字

  • 一文字目=重量を示します
    ナ=27.5t以上〜32.5t未満
    オ=32.5〜37.5
    ス=37.5〜42.5
    マ=42.5〜47.5
    カ=47.5〜
  • 2文字目=電車と一緒ですが「フ」という記号がついた車両は車掌室と車掌用の非常用ブレーキがついています。

数字=形式番号が基本的に登場順につきます。

ちなみに例としてあげた車両は47.5t以上もある荷物車ということになりますが、実はこれ、ブルートレインの電源車で、ブルートレインの客車全部に電気を供給するための大きなディーゼル発電機が載っているため重いんですね。で、一角に荷物室があるため「ニ」の記号もついているわけです。

機関車

(例)EF58ー61

文字

  • 一文字目=電気機関車はE、ディーゼル機関車はDをつけます。蒸気機関車にはつけません。
  • 2文字目=動軸数を示します。C=3軸、D=4軸、E=5軸、F=6軸...。

数字

  • 電気機関車の場合
    10〜29=最高速度85km/h未満の直流用
    30〜39=   〃       交直流用
    40〜49=   〃       交流用
    50〜69=   〃    以上の直流用  
    70〜79=   〃       交直流用
    80〜89=   〃       交流用
    90〜 =試作機
  • ディーゼル機関車の場合
    10〜49=最高速度85km/h未満
    50〜89=   〃    以上
    90〜 =試作機

新幹線

(例)221ー12

  • 百の位 系列(ただし0系にはつけません)
  • 十の位 1=グリーン車 2=普通車 3食堂車 4=二階建てグリーン車 6=2階建て食堂車
  • 一の位
    1=パンタグラフ無し制御電動車
    2=パンタグラフ付き  〃
    3、4=制御車
    5=パンタグラフ無し中間電動車(編成の中間にはさまる電動車)
    6、7=パンタグラフ付き中間電動車
    8、9=付随車

 JRになってからも大体この方法で名付けていますが、必ずしもあてはまるわけではありません(とくにJR四国の新車は全くあてはまりません)。また、JR東日本は基本的にこの法則通りですが、最初にEをつけるようになりました(E351系とかE3系とか)。

民鉄の場合は各社それぞれの規則に沿ってつけられています。それを全て説明するといくらスペースあってもたりないので説明を避けます。

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 地下鉄の電車はどうやって入れたか

 有名な「地下鉄漫才」のように、本当に駅の階段から入れたと思うヒトはいない、と思いますが...。でも地下鉄の電車ってどこからいれたかちょっとわからないですよね。本当はどこからいれたんでしょう。

 地下鉄に限らず、鉄道車両の新車は、車両メーカーからJRの臨時貨物列車として運ばれてきます。と聞けば、東京の東西線、千代田線なんかは簡単ですね。JRと直通運転をしていますから当然直通運転のときと同じルートで地下鉄の線路に入ればいいわけです。JRと直接直通運転してなくても、その直通運転の相手の民鉄が大抵JRと線路がつながっていますからそこから入って来れます。

 東京の場合、難しいのが銀座線と丸ノ内線。この二つは他社との直通運転をしていないし、さらに線路の幅がJRとは違っています。

 そこでこの2線の新車は仮の車輪をはいてJRで都内の貨物駅へ運び、そこから深夜にトレーラーで道路を使って車庫(地下鉄の車庫は地上にあるんですよ)へ運ぶのです。車輪の方はトラックで別に運んできて車庫で車体に取り付けます。

 かわった例としては都営大江戸線の車両のように縦穴を掘ってそこからクレーンで地下に吊りおろす、なんて手もあります。営団地下鉄東西線も最初に開業した区間が高田馬場〜九段下と全線地下区間だったため、千代田区役所前の工事中のトンネルにクレーンで車両をつりおろして搬入しています。

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 『標準』時刻表と書いてあるワケ

 首都圏や大阪の通勤電車の駅の時刻表、よく見てみると「発車標準時刻表」というように『標準』の2文字がついています。あまり気にしていないかもしれませんが、実は、この『標準』の2文字、ちゃんと意味があってつけられているんです。

 分かりやすいと思うので、山手線を例にとりましょう(他の地方の方スミマセン)。山手線の場合、列車の時刻が〜時、ときっちり決まっているのは池袋、新宿、大崎など、一部の駅だけとなっています。では時間の定められていない渋谷なんかはどうするのかというと、例えば新宿から渋谷までの所要時間がこれくらいなので、渋谷の発車時刻はおおよそこのくらいの時間です、ということになっているわけです。

 しかし、列車の時刻表は実は10秒〜15秒単位で非常に細かく設定されていて、運転する際もどの列車もほぼ同じような速度で運転しているので、上で「おおよそ」とはいってもそんなに大きく時間がずれたりすることはなく、かなり正確に列車がやってくるっことになっているのです。 

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