〜アンテナ百選・NO.16〜17



  No.16 業務用・カージオイドアンテナ

 特定の方向へ、感度を取りたくないとき使うのが、カージオイドアンテナです。
 名称は、その指向性(カージオイド曲線)からきているようでちょうど、栗の実の垂直断面のような感じになっています。

 写真の物は、1/4λグラウンド・プレーンベースのカージオイドで、150MHz 帯業務局のものです。

 特徴的なのは、反射器となる垂直エレメントが、ラジアルと一体となる構造になっていることでしょうか。このほかにも、反射器が T の字を横にしたような、まるで垂直ダイポールのようなものや、ベースとなるアンテナがコーリニアの物など、意外とバリエーションに富んだものがあります。
 また、感度を取りたくない方向によって、反射器の取り付けられる方向は様々で、みなさんもこの種のアンテナを見つけた際は、よく観察しその局のエリアと照らし合わせてみると、その理由が解るのではないかと思います。

 この種のアンテナは、地形的に背後に山などが迫り、その方向へ電波を飛ばす必要がない場合や、基地局の立地条件が想定する、無線エリアの端に位置する場合等に効果的です(市区町村境に近い場合等)。

 一般的な業務局より、警察・消防無線や水道局など管轄するエリアが、明確に決まっている公共ユーティリティ局の採用例が多いのが、特徴でしょうか。




    No.17 50MHz 帯用自作 AWX アンテナ

 AWX アンテナは元来 HF 帯用の広帯域ワイヤアンテナとして考案されたものの、その構造から HF 帯での実用化は難しいものがありました。

 写真は水平偏波モード用としてアルミパイプで自作した 50MHz 帯用のもので、前後の方向にゆるい 8 の字指向性を持ちます。
 垂直偏波モード用として作れば無指向性として(指向性は真円ではなくわずかにゆがんでいますが誤差みたいなものです)動作しますから、モービルを相手にしたい場合や無指向性が得たい場合都合がよいでしょう。

 エレメント 1 辺は 1.5m 近く(1/4λ)にもなりますが構造を工夫したため、大型台風のほぼ直撃を受けてもビクともしないのが特徴です。アンテナは電気的な構造のみならず機械的構造も、よく考えて設計・製作しなければならないというよい例でしょう。

 他形式のアンテナでは 50MHz 帯だとなかなか、広範囲にマッチングさせることが困難です。従って通常主に利用する周波数付近で調整し使うことになりますが、AWX はもともと広帯域なためバンド中心に最良点をもってくれば、全帯域で SWR1.5 程度以下に整合させられるほどの特性があります。

 更に調整を工夫すれば 2m との 2 バンド化も可能なようですからチャレンジされてみてはいかがでしょうか?。