憧れ?の GSM 圏旅行記

〜タイ・全国通信事情調査 Ver6.2C〜

  '04 年正月明け、かねてからの憧れ?だった GSM サービス地域である、タイへ一週間ほど行ってまいりました。北部は険しい山に囲まれ、東西はミャンマー、ラオスと接しており、南部は常夏の熱帯。南東部はカンボジアと接するという地域です(地図参照)。

 今回タイ国内を、北部国境から首都バンコクまで、のべ 1000Km 近くを移動中にいろいろな、GSM 基地局や公衆電話、各種アンテナ、通信設備などを調査してみました。

 タイは、南は北緯 6゜、北は北緯 20゜と南北に長い国土で気候もそれなりに、変化があります。私の訪れた 1 月は向こうの冬らしいですが、北部でも日本の 6 月くらいの陽気、南部のバンコクでは日本の真夏以上の暑さです。

 首都バンコクは、東経 100゜29'、北緯 13゜44'付近に位置し、東南アジア有数の都市で郊外の工業地帯には、多くの有名メーカー工場があります。私の使用している、IBM の HDD や富士通の MO ドライブもタイ工場製です(MADE IN THAILAND)。

 蛇足ですがタイのテレビ方式は PAL で、ホテルにあるテレビも PAL/NTSC の、マルチシステム・多言語仕様が多かったのが、とても印象的です。前面入力が解放されていたので、旅行者がビデオカメラなどをつなげる、というメリットがあり嬉しい限りです(^_^;)。

 現地の情報によると、タイでは多くのテレビ・ビデオがマルチシステムらしく、ビデオソフトなども NTSC/PAL の違いを気にせずに扱えるそうです。また、国内では絶滅危惧種である VCD も売られていたのが、いかにもアジアちっくな印象でした。


  GSM の概要

 GSM は、ヨーロッパで開発され現在、最も使用できる地域が多い事実上の世界標準です。お隣の中国や、台湾でも GSM ですし北朝鮮も最近、導入しました(韓国は CDMA のみ、日本は GSM 以外の PDC/CDMA 等混在)。

 方式的には GMSK 変調を用い、TDMA-FDD/S-FH CDMA を組み合わせたもので、基地局設備のコストを考慮し多重数は 8 となっています(ハーフは 16)。主に 900MHz 帯が使用されてており、その他にも都市部向けに 1800MHz 帯や、北米 PCS に対応するための 1900MHz 帯、と 3 バンドあるのが特徴です。
 ほとんどの端末機は、900/1800 のデュアルで 3 バンド機も珍しくありませんでした。この方式では、標準で国際ローミングが可能で(一部制限されている地域もある)200 ヶ国前後でそのまま使用できます。

 端末、地域により E-MAIL/WEB(WAP) サービスも受けられるので、このあたりは日本と似たような状況のようです。端末機は、全体的に非常に小さく薄型で、ストレートタイプが多いのが特徴でしょうか。のちほど、集めてきたカタログを別コーナーに載せたいと思います(^_^;)。
 また 3G に組み込まれた、GSM の高速データ通信規格 GPRS に対応したものも多く、実質で 40Kbps 程度のスループットが得られるようです。

 端末もほとんど電卓のような小さく、薄いものがあったのには少々ビックリ。国内でも売れるんじゃないかな、と思うほどです。近年、パカパカと折り畳みばかりの国内メーカも、少しは見習ったらどうでしょうか(車のような能なしデザイン横行断固反対)。
 本当に GSM/CDMA を問わず海外の端末機は、非常に個性的でバリエーションに富んでいます。全て右へ習えの日本とは違い、まったくうらやましい限りです。




  タイの GSM の基地局・端末機など


 タイで見かけた GSM の基地局は、国内に多い自立鋼管柱タイプは非常にまれで、ほとんどがトラス構造(ステー支持が多い)の小型タワーなのが特徴的でした(※右側写真参照)。

  ※写真は典型的なステー支持ビル上タワー

 大きさは、15-20m 程度のものがおおく都市部では、ビル上から 10-15m 程度の高さにセクタアンテナを取り付けたものが、多かったです。

 そしてアンテナタワーは必ず、赤白に塗られているのが特徴でしょうか。自立型、ステー支持を問わずこの色になっていることから、法令で定められているのかもしれません(^_^;)。

 GSM の基地局タワーではありませんでしたが、地方都市の大型のステー支持タワー(業務局・地上高は 30〜40m 位)ではそのステーにも航空障害灯が取り付けてあったのが、とても印象に残っています。

 おそらく、近くに空港とヘリポートがあること、そのヘリも目測で 200〜300 フィートと超低空を飛ぶためではないかと思われます。夜にこれを見つけたとき、なんで空に向かって斜めにイルミネーションがついているんだ?、と不思議に思いましたが明るくなってみたら、タワーを支持するステーワイヤーでした(^_^;)。

 なお、GSM のキュービクルは国内の PDC とほぼ同程度で、白く塗られているものが多かったです。なかには、超小型 BS らしきものもありこれに関しては、大きめの配電盤程度でした。

 またサービスエリアは、2004 年 01 月時点で半年ないし一年程度前に、全国網が完成した模様で非常に、広い地域で使えるのが印象的でした。ほぼ全国で、都市部から郊外〜山間部に至るまで、ほとんど使えるのがすごいと感じました(かえって都市部の方が穴があるそうで、いうならばドコモ PDC 並み?)。
 ただむこうでは、まだまだ携帯電話は高価で日本円にして、数万円はするそうです。手元のカタログによれば、安いもので数千バーツ、高いものになると二万バーツ程度となっています(1バーツ≒3 円程度・タイの月給は 八千〜一万数千バーツ程度)。

 また料金はプリペイドでは基本料金はなく、発信で 1 分あたり 3 バーツ(日本円で約 9 円)というのが標準的な通話料とのことでした。向こうでは、こちらと違い多くの人がプリペイドを利用しているとのことで、概ね 8 割程度がそうではないかとのことです。
 日本ではなじみ深い料金後払い(ポストペイド)では、概ね月額 1000 バーツ弱からのプランがあるとのことです。これらも、単位通話料、無料通話、割引の違いなどで色々と多彩なプランがあるようです。

 また、SIM カードは端末機によっては、購入時にサービスでつけてくれるそうで、そのままタイ国内のどの携帯電話会社でも、好きなものを選んで使えるそうです。

 メーカーは、ノキア、シーメンス、ソニーエリクソン、松下、三星、アルカテルなどが揃っており、どれも非常に小型でカラフルなのが、特徴的です。

  ※左側写真は地方部の、大型基地局の例。
   タワー根元にあるのがキュービクル

 また写真はありませんが、バンコクなど都市部に限り通常のセクタアンテナのほかに、ひとつだけを水平にとりつけたものがあるのが、良く解りませんでした(^_^;)(高速沿いの線的カバー用??)。
 それから都市部では、ビル上に国内のような鋼管柱タイプの基地局も、若干見受けられました。セクタアンテナに関しては、通常の筒型と都市部では平面型が多かったのが印象的です。

 その他、日本と異なるのは平屋の建物の屋上にも、GSM セクタアンテナが設置されていることです。まるで、コンビニの上にある PHS 基地局みたいな感じで、あの大きめなセクタアンテナが、ドンと構えている有様はなんとも異様でした(キュービクルは建物裏にあった模様)。

 あとは推測ですが、基地局付随の小型パラボラの形状・向きから都市部では、無線エントランスも多用されている模様です(^_^;)。このあたりは、もっとつっこんで取材したかったところです。

 なお、タイ国内には 3〜4 社程度の GSM オペレータ(事業者)があるようです。それから、'03 年より CDMA2000x1 のサービスが開始されたそうで、都市部などから順次全国網を構築中らしいです(タイ首相は反対らしい&au の国際ローミング可)。


  屋内小型アンテナ

 大規模な遺跡公園で有名な、スコタイのホテルでは屋内にエリア補完用とおもわれる、GSM 小型アンテナを見つけることが出来ました。これは、ホテルの建物が 6 角形で中庭のある構造となり、内側はあらゆる方向からも影になるためと思われます。


  ※エリア補完用と思われるフラットアンテナ。横面の取り付け注意シールの
   図からは、GSM ステッカーのある面が放射方向であることがわかる。

 このフラットアンテナは、ちょうど A4 程度で昔の小電力コートレスの、親機くらいといったらいいでしょうか(^_^;)。建物は、既述の通り完全に 360゜を囲まれる中庭をもつ構造のため、このアンテナが各階ごとの廊下に設置されていました。

 国内でも、地下鉄などの閉鎖空間で天井取り付けの、小型アンテナをみることがありますが、壁面取り付けのものは初めて見ました(国内にもあるのカナ)。ドコモの IMCS の様なものか、詳細はわかりませんがこれらがまとめて、小型基地局につながってるのかな?などという感じがします。

 GSM といえば、ハーフレートでも PDC のフルレート並みの、伝送レートがありますが通話品質の方はなかなかクリアでした。フル・ハーフの区別は不明でしたが、PDC の旧フルレートかそれ以上の印象です。また機会があれば、ぜひ使ってみたいものです。

  ※右側写真はビル上鋼管柱 GSM 3 セクタ局
   国内ではポピュラーだが、タイでは少数派のよう

 更に補足ですが、バンコクに限り PHS(PCT)サービスも行われており(主に DDI-P の輸出技術)、DDI-P もどきの四本ヤリやみかかコドモと、アステルのあいの子のような柱上 CS も見受けられました。こちらは、次章にてご紹介します。




  PHS サービス(PCT:Personal Communication Telephone)

 台湾に続き?タイでも、PHS サービスが行われていました。このサービスの行われているバンコクでは、同サービスの基地局を至るところで見ることが出来ました。(※サービスエリアはバンコク市街部のみ)

  ※右側写真はバンコク市街でみつけた
   PCT サービス小型/四本槍コンビネーション局

 また、意外なこと '98 年頃にはサービスが開始されていた、とのことで少々驚きました。ただ、正確なサービスイン時期は不明です。
 基地局形態としては、自立柱(電柱併用多し)およびビル上設置四本槍、 GSM 併設の四本槍、または柱上設置の小型局が多かった印象があります。小型局には大きな、「PCT」という青地に白文字のステッカーが張ってあり、識別しやすかったです。

 現在のところ、タイでの PCT サービス番号は 02 で始まる、バンコクと同じ市外局番がつくそうで、このあたりもおもしろいなと思います(国内とは若干システムが異なる模様)。そのほか、料金体系は良くわかりませんが、台湾の様に対応機種では国際ローミングが出来るそうです。

 ローミングでも、メールやデータ通信等もそのまま使えるそうで、こういった点はなかなか便利そうです。なおバンコクでのデータ通信規格は、現在のところ PIAFS 32Kbps に対応しているそうです。また情報によれば、国際ローミングは '03 年 12 月よりとのことで、始まったばかりのようです。

 バンコクでは電話屋さんに寄ることが出来ませんでしたので、端末機やエリアについてはよくわかりませんでした(PCT のカタログも欲しかった(;_;))。また少なくとも、開業当初の DDI-P よりは遙かに基地局密度は濃く、少し昔の東京位といった感じの間隔で、基地局を見ることが出来ました。
 基地局の間隔は、種類によらずけっこう短かったので、マイクロセルの特性をきちんと考慮した、置局法を実践しているのかな?などと、勝手に考えてしまいました。

  ※左側写真は王宮側船着き場付近の基地局
   アステルの CS に長いアンテナを付けた感じ

 それからサービス地域が狭いせいか、まだあまり売れていないらしく、現地の方の評判はパッとしませんでした。テレビ CM も以前は流れていたそうですが、最近は見かけないらしくビジネス的にも、厳しいようです。

 それでも滞在中の印象では、バンコク市街部でのエリアはほぼ、網羅されているのかな?という印象でした。その後の情報によると、バンコク国際空港のあるあたりまでは、エリアに入っているそうですから、結構広い印象を受けます。

 今後のエリア展開や、サービス展開については不明ですが、わたくし的には楽しみにしたいと思います。

 それにしても、数少ない日本規格の輸出なので、ぜひともがんばってほしいものです(3G はこれからですし)。




  汎アジア太平洋地域衛星・GSM デュアルモードサービス

 なんと、日本を含む汎アジア太平洋地域をエリアとした、衛星携帯と GSM 900 のデュアルモードサービスを見つけました。これは右側写真の、エリクソン社製デュアルモード端末を用い、非常に広いエリアを確保しているものです。

  ※右側写真は ACES サービスのパンフ

 システム的には、大型アンテナをもつ静止衛星を使用、24 の国にまたがるアジア太平洋地域をカバー。衛星モードではエリア内の、森林、山岳、海上は沖までカバーするとしています(パンフはほとんどタイ語のみですが、これは英語併記)。
 また、GSM モードでは各 GSM 900 サービス地域で、音声、データ通信が可能とのことです。それぞれ、衛星モードで 2.4Kbps、GSM で 9.6Kbps のスピードでデータ通信が、その他 G3 FAX 通信もサポートしています。

 なお GSM サービスは、国際ローミングのみとのことです。

 端末は店頭になかったので、さわることは出来ませんでしたが GSM モード、衛星モードで別々のアンテナを切り換えて使う点など、イリジウムのデュアル機に似ている点が多くあります。それでも、イリジウムも奇跡の復活をとげ最近では、かなり小型の端末もありますが、大型のアンテナ(ヘリカルっぽい)だけは共通しています。

 この ACES サービスは、通常の通話料後払い及び、先払い(プリペイド)の両方が利用できます。それからご多分に漏れず、このサービスも非常に”高い“そうでタイの方には、不評のようでした(^_^;)。

 例外的に GSM の使えない、日本などへよく渡航される方は、予めプリペイド端末を購入し利用するのが安くていいそうです。ホント、海外の方から見たら日本はなんで GSM が使えないんだ?、って感じでしょうね。
 もっとも、同じツアーに参加されていた日本の方々も、「なぜ日本製品は世界にあふれているのに、自分の持ってきた携帯は使えないのか?(海外で)」、と不思議がっていました。日本の鎖国政策の影響が、こんなところにも・・・(^_^;)。

 他にも中東地域などをエリアとする、衛星電話サービスもありますがこちらは、もっと普通っぽい端末でした(^_^;)。

  ※左側は ACeS エリアマップ

 それにしても、アジア地域にもこんな衛星電話サービスがあったとは、知りませんでした(^_^;)。みかかコドモの、WIDE STAR なんか目じゃないですね〜。

 それでも、大型高利得?アンテナや高性能な衛星を使用することで、こんなハンディタイプ端末でも静止衛星が利用できるなんて、技術革新ですねぇ。数年前、イリジウムではじめて通話したとき、結構感激したものですがあれは、低軌道周回衛星でしたからひと味違います。

 この端末も機会があればぜひ、通話してみたいものです・・・。もちろん、静止軌道を使用する関係上、音声のタイムラグは致し方ないところですが(^_^;)。




  有線系、放送・業務局等について

 少々蛇足かもしれませんが、有線系や放送についても触れておこうと思います。
 タイでは街角などで、比較的公衆電話をよく見かけました(ヘタすると日本より多い?)。ホテルや観光客の立ち寄るような店などでは、国際通話対応のクレジットカード電話機が、複数おいてありました。

  ※右側写真は標準的な公衆電話
   屋根が色違いだが昔の日本の物と似ている

 右の写真は、全国的によく見かけたタイプの公衆電話機です。詳細は不明ですが、テレフォンカードもあるようです。タイの公衆電話の中でも 5 バーツ専用機種は要注意です。
 スタートボタンというのがついているものがありつながっても、これを押さないといつまで経っても相手に声が伝わらない、と言う良くわからないシステムになっています。

 観光客がよく、これを押し忘れてつながらない!、とあわてるとか(^_^;)。またホテルの客室で見かけた電話機は、プッシュボタン式ながら電磁式ベル、というかなり古いものもありましたが新しいものは、国内のものと大差ない感じです。

 個人的には、GE の電話機が部屋にあったのが少し嬉しかったです。

 電話の柱上端子箱も、日本より小型でシンプルなものが多かったのが印象に残っています。銀色に輝いていたので、アルミかなにかかもしれませんが詳細は不明です(^_^;)。また地方や山間部でも、ちゃんと電話・電気がきていることから、有線通信事情は比較的いいようです。(少なくとも電話線が盗難されるような国ではない(ボカスカ))

 国番号は、66 でタイ国内から海外にかける場合も、001+国番号+地域番号+相手番号なので昔の KDD みたいです。また通話料は、市内通話で 3 分 1 バーツ(約 3 円)とゲロ安。

 1 分で \10 もとる、どこかの暴利独占企業とは、わけが違います(ボカスカ)。

 下記に各地で見かけた、公衆電話のバリエーションを示しておきます。写真は、左側の三つならんだもののうち、両端はクレジットカード対応、国際公衆電話で真ん中の物が、国内専用公衆電話でした。

 国際公衆電話機の受話器を上げ、手持ちのクレジットカード挿入すると、受話器からかすかに DTMF 音がしてしばらく待たされました。そのため、認証のためのダイヤルアップをしているのが解り、なんだか楽しかったです(^_^;)。

 また、いちばん右側のものは北部の街、チェンマイの山間部でみつけた公衆電話機です。市街地でよく見かけたものとは、違うタイプでしたので写真を撮っておきました。




  テレビなど

 タイではテレビ用割り当てに、VHF-LOW/HIGH 及び UHF まで日本並みかそれ以上に多くの帯域があるようです。
 民家のアンテナを見ていると、VHF-LOW/HIGH/UHF と 2-3 本立っている場合もあり、あなどれません(もちろん日本の誇る?八木アンテナばかり)。

 地方ではブームの支持棒がなく、やたらと素子数の多い UHF アンテナが多いのが印象的でした(20 エレ程度)。

  ※右側写真は衛星用パラボラ
    低緯度のため、日本人にはかなり
    上を向ているように見える。オフセット型は少な目

 ブーム支持棒がないため、ブームは自重でたわんでしまい、かなりしなっているのがタイっぽくて?笑えました(^_^;)。また郊外では、V・UHF 兼用のデュアルバンドアンテナも多用されています。

 また都市部や、田舎でもリッチくさい家、ホテルには衛星放送もはいっていて、バンコクや第二の都市チェンマイのホテルでは、NHK ワールドも見ることが出来ました(NHK が総合、BS 等からチョイスした番組を世界に配信している)。

 ラジオについては、ちょいと調査する機会がなく不明でしたが、テレビは日本と同じかそれ以上にチャンネル数があり、中国語専門の CCTV や、BBC ワールド、FOX ニュースなど地元以外のチャンネルも、地方を含めて放送されていたのがおもしろかったです(地元数 ch+CCTV+BBC の合計十数 ch 強という組み合わせが多かった)。

 中国語専門チャンネルについては、中国系の人が多いお国柄だからかな?という感じですがどうなんでしょう(^_^;)。地元タイのテレビ局では、夕方はニュース、夜はドラマ、歌番組、お笑い/バラエティ?と日本と似たような編成で、なかでも HEY^3 そっくりな番組があったのには、笑いました。

 また、フジテレビのドラマを現地語で放送(夕方や夜)するチャンネルもあり、非常におもしろく拝見してきました。ちょうど、私が訪れた際は「ショムニ」や「人にやさしく」が放送されており、セリフがまるで解らないのについつい遅くまで見入ってしまいました。

 むこうでは、台湾や中国、韓国ほどは日本のタレント人気はないようで、書店でもひっそりと(はしっこ)、日本のタレント雑誌が売られている程度でした。テレビでは、ドラマ以外日本の芸能人をみかけませんでしたが、実際のところ向こうでの評判はどんなものなのでしょうか(^_^;)。

 そのほか、むこうのドラマをチラホラみたり、テレビ雑誌もパラパラとみてきましたが、超イケメンや超かわいこちゃん(いまどき使わない!?)ばかりで、このへんは日本と同じのようです。

 あとは、北部の都市チェンマイの山寺では、修復前の寺院の様子を地元テレビ局が取材に訪れていました(近々修復工事があるので、修復前・後を収録するらしいとのこと)。機材は、ベータカム SP の DXC-637+PVV-3 そっくりなドッカブルカムコーダーでした(もち、PAL 仕様のはず)。
 このような諸外国(欧米を除く)では、このような取材以外にドラマロケにも、普通に業務機を使ったりするのがおもしろいです。コストの関係なのでしょうか、ちょうど国内の CATV 局みたいな臭いがぷんぷんします(ボカスカ)。

 それからこの国でも、ご多分に漏れず 150MHz 帯は各種、業務無線などに割り当てられているようで、テレビの帯域は VHF-LOW/HIGH に別れていました。確認した限りでは、地方の乗り合いタクシー業者が、149.02MHz(なぜか無線機は周波数表示だった)、離宮の警備が 156MHz 付近を使用しているのがわかりました。

 向こうでは、ゼネラル仕様無線機(ほとんどモトローラ/日本製)がおおいのか、チャンネル表記ではなく周波数表記で使用しているのが、非常に興味深かったです。バンコク王宮の警備では YAESU のハンディ機を、地方の離宮を警備する警察官は、ICOM の古いハンディ機(IC-02/03N そっくり)を使用しており、親しみがわいてきました。


  かわったコーリニア?を発見

 掲示板にも書きましたが、タイ全土で業務用コーリニアらしき、変わったアンテナを多く見ることが出来ました。最初に見たときは首を傾げましたが、近くから良く構造を観察すると、どうやらコーリニアらしいという結論になりました(^_^;)。

  ※左側写真はタイ北部でみつけた業務局

 アンテナは、ループエレメントのダイポールがマストに、何段も取り付けられた構造で、各種業務を始め警察・消防などの官公庁にも多用されていました。
 通常、この手のコーリニアは一般的なダイポールエレメントを、同一線上に並べた構造ですが、これはおのおのがループダイポールなのが極めて特徴的です。

 ループエレメントのダイポール(正式には折り返しダイポール)は、電気的に 1 波長ループと等価となり、利得が高いというメリットがあります。ただわずかに、支持ポールの影響があるので指向性が乱れるでしょうが、きっとそれを補ってあまるのでしょう(^_^;)。

 なかには、このエレメントをタワー側面の、2 方向(180゜対向)にとりつけたタイプも見受けられました。エレメントの大きさから、VHF〜UHF までの幅広い範囲で使われているようで、どうやらタイではポピュラーな型式のようです。

 もし、どなたか正式名称をご存知でしたら、ぜひともお知らせ下さいm(_ _)m。

 なおカンのいい方は解ったと思いますが、エレメント部分単体は国内でよく見かける、テレビアンテナの放射素子そっくりです。また、この形状のエレメントでは概ね 300Ωのインピーダンスをもつため、整合回路が必要と思われます。

 このアンテナのエレメントアップの写真も、下記に掲載しておきます。別の局のものですが、まったく同じ型式のものです。

 ※'08-02「Exposed Dipole Alley Antenna」(露出型ダイポールアレイ)という名称と判明しました。
  情報提供に感謝いたします。安価で高性能なため東南アジアはもとより世界的にも普及して
  いるそうです。

 その他、車載アンテナ等は国内と似たようなものが多用されていました。ただ、150MHz 帯が多いらしくエレメントが長いものが多かったです。メーカーも、「THUNDER ANTENNA」とか、地元?らしきものばかりでした。
 話によると、国内メーカーのコピー品らしきものもあるそうで、いかにもアジアくさい感じです(^_^;)。

  ※右側写真は?なコーリニアエレメントのアップ

 気づいた点は、ノンラジアルタイプっぽくない点でしょうか(^_^;)。そのほか首都バンコクのタクシー(これは近代的な乗用車タイプで、メーターもある)では、400MHz 帯と思われる小型アンテナが、トランク中央部についていました。

 たまたま乗ったタクシーの無線機は、モトローラ社製車載機でした。

 そういえば、ただ一つ取材しわすれたのが、タイでのアマチュア無線事情です。許可されているようですが、HF〜145MHz 帯以下までで最大 200W、VHF は 10W と若干制限が多い模様です。

 いくつか、ハムらしき 2m 2 パラの八木などを見かけることが出来ましたが、確証はありません(ボカスカ)。




  おわりに

 大変長々と書いてしまいましたが、最後まで読破していただき大変ありがとうございます。また、タイから直接メールを下さった方、掲示板で情報を下さった方々へ、この場を借りて重ねてお礼申し上げます。

 今回、非常に有意義な調査(観光)をする事ができ、またとない楽しい思い出となりました。また機会があれば、諸外国へ調査へ出かけたいものです(観光かな?)。


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