NHK 技研公開・'05 レポート



 性懲りもなく今回も毎年恒例?の、NHK 技研公開へ行ってまいりました。掲載が大幅に遅れて申し訳ありませんが、時間が空き次第順次掲載しますので、よろしくお願いします。
 今回は特に、スーパー HARP 管カメラ(超高感度カメラ)を開発された方と、話が盛り上がってしまいました。



  世界初の電子走査式テレビ(再現モデル)

 かの有名?な高柳博士による、世界初の電子走査式テレビが実演されていました。今回はモックや模型ではなく、実稼働する再現モデルというところがミソです。

 実際にリアルタイムで撮像、それをそのまま丸いブラウン管(初期のテレビもまるかった)に映しています。撮像中の「イ」、という文字のところへ手をかざすと、粗い走査線ながらきちんと、手の影が再現されていて感激してしまいました。

 この「イ」の文字は当時、実際に高柳博士が実験で映された文字だそうで、その手の文献では必ずと言っていいほど出現する、有名なものかと思います(^_^;)。

 機械走査式の受像機を用いた物も、実験した日本人(NHK 連続テレビ小説[凛々と]参照)がいたと思いますがコレは、現在のブラウン管式テレビと同じ原理、というところが大きなポイントです。

 次の写真はこのテレビの撮像装置(カメラにあたる)で、既述のように実際に撮影している様子を見ることが出来ました。

 構造的には、走査の為の回転円盤がありそれには、小さな穴がうずまき状にならべてたくさん空いています。レンズを通った光は、それを通して”走査“され光電管(撮像素子にあたる)にあたり、光電変換され映像信号の元となります。

 これがいわゆる、”機械走査式“の原理です。デモ機では、かなり強力な照明が当てられていました。

 もちろん後に実用化されたテレビでは、※アイコノスコープと呼ばれる一種の真空管が用いられ、電子ビームとその偏向による”電子走査“を行っている点が違います。

  ※アイコノスコープ:現撮像管以前の物で扁平ブラウン管に構造が似ている。
   最大の相違点はターゲットが蛍光面か、光電変換膜かという点。



  統一 I 型 VTR オープンテープ(^_^;

 これは感激です(ボカスカ)。いまから三十数年前に、実際に民生用としてはじめて開発された、”統一I型“ 1/2 インチ VTR テープの現物が展示してありました。

 ご存知の方はほとんどいないような気がしますが、本当に国内数社からこの規格の VTR(VCR ではない!)が発表されたこともあったように記憶しています(リアルタイムではありません)。

 1/2 インチのオープンテープというと、コンピュータ用(大型汎用機)の標準磁気テープが同幅だったように思います。この VTR も、オープンテープとう性格上テープがドラムに巻き付くだとか、掛け替えが大変だとかいろいろと問題点が多く、流行らないうちに U-マチック(3/4 インチテープで世界初のカセット式ビデオ)が出てきてしまいました。

 またもしも、リクエストがあればこの方式の VTR 本体写真も、超古い文献に載っているはずなのでアップします。とにかく、L カセットのごとく不運なフォーマットとしてぜひ、ご紹介したかったのです。

 実際に民生用として普及するビデオは、後の 1/2 インチカセット('75 年β方式・|76 年 VHS 方式)を用いた物になるわけですが、まさか技研公開でお目にかかれるとは思っても見ませんでした。

 この VTR も 1/2 インチテープ(オキサイド系)を用い、ヘリカルスキャンを行う点など最も基本的な部分は、概ね似ています。




  フレキシブル液晶ディスプレイ

 昨年、簡単なパターン表示だけだった、フレキシブル液晶ディスプレイも今年は、小さいながらも動画が表示できるようになっていました。

 写真では若干見づらいですが、画素は 96x64(6144)で一昔前の、携帯くらいしかありませんし画質も、初期の液晶テレビ(STN)くらいといった感じでした。

 また、今年は”紅白“をデモ表示しているこの手の試作ディスプレイ目前には、必ず「著作権のため撮影はご遠慮下さい」、の文字がありました。残念ですが、昨年と同じソース('03 年紅白の一部)でしたので、よしとしましょう。

 液晶も実用面ではプラズマの独壇場と言われていた、大型パネルでも遂に 65 インチフル HD パネルが量産されるなど、苦手だった大型化も進んでいます(いつまで経っても量産できないどこかの国とは違う)。

 逆に小型ディスプレイでは、以前から液晶が幅を利かせています。更に応用範囲を広げる可能性のある、フレキシブルディスプレイではどの方式が、最初に実用化されるのでしょうか。




  ハイビジョン・ディスクカムコーダ(XDCAM ベース)

 昨年、目を引いた物の中の一つです。今年は既に商品化目前?、と思いきやコーデック等を含め、フォーマットの詰めがまだとのことで、商品化は未定とのことでした。残念!。

 従って、コストのかかる専用 LSI 化がまだで、写真では分かりづらいですが”ヒモ付き“のままでした(^_^;)(裏にプロセッサ BOX が別途ある)。また非常に気になる、振動・衝撃耐性ですがテープで問題ない程度なら、OK とか。

 でも、実際問題として”爆破テロ発生の瞬間“等のような、テープでも記録が一時的に乱れるような場合、はたしてどうなるのかとても気になります。
 XDCAM のメカデッキは、ダンパーによる 4点懸架になっており、これと衝撃によるオフトラック時に記録停止し、バッファメモリを活用することで短期の衝撃等には、耐えるようです。

 ただ、連続的な振動や衝撃への耐性には??です。タンデムローターの大型ヘリにでも乗せて(とても振動が激しい)、連続撮影してみたらその辺の特性も解るかもしれません(ボカスカ)。




  みかかコドモ FOMA コンセプトモデル

 技研の開発ものではありませんが、みかかコドモの外部委託?会社らしきところが作った、HDD レコーダ連動・動画録再付き FOMA 端末(実稼働)です。

 少し前にテレビニュースなどで、何度も報道されたのでご存知の方も多いかと思いますが、クレードル付きの TVチューナ内蔵 HDD レコーダがセットになっていて、そこから必要なコンテンツを抜き出し、端末機へ転送して楽しむというものです(MPEG-4/H.264)。

 既に端末機単体での、動画録再に対応した物はいくつも市販されており、面倒ながらも MPEG-4 でエンコードすれば、短いビデオクリップ程度なら楽しむことはできました。

 このコンセプトモデルでは、番組そのものを HDD レコーダで録りだめし、丸ごと転送してモバイルで楽しむ、という点が違います。特に PC なしでもお手軽に番組などを、端末へ転送できる点が特徴です。

 既存の MP3 プレーヤの多くが、PC での DL/リッピングを必須とし、結果としてユーザの敷居を高くしているのは、皆さんも異存のないところでしょう。音楽を含め、このような端末機(もしくはプレーヤ)はやはり必要かと思います。

 メーカもアホだと思うのですが、ネット経由の商売を重んじるあまりか、このようなカセットテープ並みにお手軽なモデルを、あまり積極的に出そうとしません(マネシタが SD メモリの変なコンポを出していた気はするがマイナー)。

 いわゆる、”おぢさん“・”おばさん“やそれ以上の方々には、未だにコンパクトカセットが欠かせません。なにしろ、オヤジ車と言われる国産車には、未だに純正カセットデッキの設定があるくらいです(超ボカスカ)。

 これらの世代は、結構自由になるカネを持っているのですから、もっとメーカも市場ニーズを認識しろと言いたいですね。自動車メーカの方が、その辺を解ってらっしゃるあたり家電業界の、”寒さ“を実感しています。




  おわりに

 最後までご覧頂き、ありがとうございました。いつもながら連載が、非常に遅れて申し訳ないです(^_^;)。