NHK 技研公開・'07 レポート



 今年はこの時期にしては非常にめずらしく、晴天の中を技研公開へ行ってまいりました。昨年に続きまたしても展示規模が縮小ぎみで、上層階の展示がなかったり「これは!」という展示もなく今ひとつパッとしませんでした。

 今回は掲載が大幅に遅れましたが、それでも懲りずに全体のブースをまわりましたので、いくつか気になったものをご紹介していきます。




  NHK 教育テレビ!?の某番組収録に遭遇

 今年は運がいいのか NHK 教育テレビ「サイエンス ZORO」でお馴染みの安めぐみさんと、某担当アナウンサーさんをブースで発見しました。

 どうも私が撮影したときは本番中だったらしく AD さんに「撮影はご遠慮ください」としかられてしまいました♪(ボカスカ)。技研公開会場ではよく昼のワイド番組での中継や、ミニ番組・広報などでの収録には遭遇してきたのですがメジャー?な番組収録は初でした。

 写真では解りづらい(後ろ姿だし)と思うので解説用に、アップ写真もついでに掲載しておきます。安めぐみさんはテレビで見るよりずっとステキで、意外と小柄な印象を受けました。見かけたのは「フレキシブル・スピーカ」のブースだったのですが写真の一同は、締めのコメントを収録した後他のブースへ移動したようです。

 のっけから展示に無関係な話題で申し訳ありません(^_^;)。というわけで、本番収録中にご迷惑をおかけしてしまったので番組の宣伝をしておきます。

 ◎NHK 教育「サイエンス ZERO」
・毎週土曜 23:45〜
・毎週金曜 19:00〜(再)

 再放送は前週の土曜に放送されたものが流れます。見逃した場合や復習!?したいときに助かります。




 オールトランジスタ化された初期のポータブルカメラ

 今回もこぢんまりとですがいくつか古い物が展示されていて、目に止まったのが写真のポータブルカメラです。カメラ本体と信号処理回路や電源部が別れた構造で、右手前の大きな箱を含めて全部でカメラとして動作します。

 いつ頃の物かは失念したのですが(^_^;)おそらく「ソリッドステート」(固体素子の意味で真空管に対してトランジスタ等の半導体を指した)なる言葉が流行った頃ではないかと勝手に想像しています。

 もちろん ENG 以前の世代の物だと思いますが、いかにもカメラっぽい本体形状が目を引きついシャッターをきってしまいました。残念ながら展示のみで稼働してはいなかったのですが、どんな画が出るのか気になる次第であります。
 数年前の技研公開ではオール真空管の巨大なスタジオカメラが展示されており、実稼働展示されていて非常に感激したことがあります。全体的な雰囲気からはもちろん四角張った「NHK」のロゴタイプからも時代を感じさせてくれる一品でした。

 いまどき”オールトランジスタ“等といってもピンと来る方はほとんどいないでしょうが、真空管構成の装置はものすごい熱を発し大飯喰らいでしたし、時々”球切れ“ではありませんが構造的に故障しやすかったのです。しかしトランジスタ化によって信頼性があがり格段に小型化され、バッテリ駆動が容易になるなど当時のインパクトはすごかったのではないでしょうか。

 もちろんこの当時の撮像デバイスは撮像管なので、それも真空管そのものですから 100% のソリッドステート化ではありません(^_^;)。放送・業務用分野での CCD 実用化までは '86 年頃まで待たねばなりません。




 800 万画素単板式ハイビジョンカメラ

 単板式カラーカメラはカラーフィルタのため解像度が低下してしまいますが、それを補うため高画素の CCD を用いた小型カメラの試作品が展示されていました(写真左)。

 ハイビジョンでは一般的に 200 万画素程度の CCD を 3 つ用いる三板式が主流ですが、RGB の三原色を分光するためにプリズムが必須なのでどうしても大型化してしまいます。

 そのため民生用でお馴染みの単板式ならプリズムもいらず、光学系が小型化できるのでメリットがあるわけです。使用された CCD はスーパーハイビジョン(4Kx2K)用のものだそうで、それにカラーフィルタや処理回路を加えて単板カラーカメラとした物です。
 わたくし的に気になったのは試作機のレンズに、Ai ニッコール(ニコンのマニュアル・フィルムカメラ用)が使われていた点でカメラ好きとしては嬉しいような、嬉しくないような変な気分でした。

 肝心の単板式カメラの画ですがさすがに、3板式と比べてしまうと色再現性が若干落ちていましたが、解像度的にはパッと見た目には劣らない感じでした。展示では試作機・従来機ともディティール・エンハンサを切ってある旨の注釈がありましたから、単板式であることを踏まえればまずすずではないかと思います。

 またカメラと言えば写真を撮っていませんが(ボカスカ)、毎度お馴染みの SUPER HARP 管ハイビジョン・カメラもまたまた G ch の感度が 50% UP したとかで、展示されていました。G ch(緑色)は輝度信号に寄与する度合いが最も高いので、実質的な感度が上がったことになります。




  光 DPSK 伝送

 知らない間に光ファイバ伝送にも位相変調がかけられるようになっていました(^_^;)。
 資料によると二相 DPSK+NRZ によるもので、従来の光パルス変調(ASK に相当)に比較しノイズに強くなるため、無中継伝送距離が大幅にアップしたとのことです。

 写真は左側の測定器が送信信号のスペクトラム表示、中程は模擬伝送のための光ファイバ(50km x2 巻)右側の測定器が受信信号のアイパターンで、奇麗に開いたアイパターンが表示されていました。展示は 50km 巻の光ファイバ 2 巻ごとに光アンプが入る構成のようで、100km の無中継伝送が可能であることを示しています。

 光伝送の歴史?を振り返ると数年前、WDM(既に実用化)の伝送実験がはじまったころに少しワクワクしたものですがそれとは違う、妙なインパクトがありました(わけわか)。




  薄型透明スピーカ

 現在、実用化を目指しているフレキシブル・ディスプレイへ適用可能な、薄型透明スピーカが2方式展示されていました。
 写真向かって左の物が透明な振動板そのものの厚みが変化することで、音を発生するタイプ(圧電素子の様な動作)で右がアクチュエータによるものです。

 右のタイプでは透明な振動板の両端についた黒い棒状の部分(電磁コイルによるアクチュエータ)が振動し、それがディスプレイに相当する透明板へ伝わり音が発生する仕組みです。従来から様々な薄型スピーカのアプローチがありましたが、左側のようなタイプは初めてではないでしょうか。

 こうした周辺技術もキーデバイスとなる新型ディスプレイに並び重要です。なぜならば近年はやりの薄型テレビのような物にも、従来型のスピーカでは音質低下があったりするからです(容積がとれないため)。
 大方小口径のフルレンジを複数もしくは、2WAY 程度の小型ユニットの組み合わせなどでお世辞にも、良い音ではありません。

 限られた設置面積・容積で特性を出すためには、小型でも比較的特性の良い楕円形ユニットを採用するなど様々な工夫が必要です。




 やたらと更新が遅くて申し訳ありません。また新しいネタを探し続けたいと思います。