世界のアナログテレビ方式と動画の基礎



 本稿では世界のアナログテレビ方式を簡単に紹介しながら、テレビ動画の基礎中の基礎(SD/HD 共通事項)についても触れたい思います。放送やパッケージメディアもデジタル全盛の時代ですが、テレビについての基礎が解っていないとデジタル・ビデオデータを扱う上でも混乱をきたしがちです。

 デジタルビデオ信号(データ)を扱う場合も、その規格や意味が解っていないと理解は難しくなりますから、何事も基本が大切ということでしょうか(^_^;)。
 近年では、PC 上でも手軽にデジタルビデオ信号を扱うことができます。しかし、映像信号の大まかな仕組みが解っていないと、いろいろとつまらないことで悩んだりするものです。
 私も日頃テレビの基本について疑問や質問を受けることが大変多いので、ここで簡単に解説してみたいと思います。

 また巷では日々、テレビ放送の海外ニュースなどで、様々な映像を目にしますがそれらは各国の方式から、日本方式へ変換されています。このような素材は、画質が荒れた物が少なくありませんが、コピー、伝送手段によるもの等のほかに方式変換による劣化もあるわけです。




  方式の世界分布(525 本と 625 本系)

 まずは各国の方式分布を地図でご紹介します。

 世界的に大別すると、主要なカラー方式は PAL、NTSC、SECAM の3方式となります。そして走査線別に見ると日本でなじみ深い、525 本と 625 本との2種類になります。このことは白黒方式としても2種類あったと言えるのではないでしょうか。


 ベースバンドで 525 本では 4.2MHz の帯域幅になりますが、625 本系では 1 MHz 程度多く必要となります。フレーム周波数も 525 系の 30 枚/秒に対し、625 系では 25 枚/秒という違いがあります。
 もっともなじみ深い NTSC カラー方式では白黒との互換性維持のため、29.97 枚/秒になっており、放送が HD 化された今もなお踏襲されています。

 625 本系では、走査線数が多いため 525 系と比較して、精細度がアップしますがそのままでは必要帯域幅が増加するので、たフレーム数が削減されています。

 25 フレーム/秒では必然的にちらつき(フリッカー)も増えてしまいますが、625 系のヨーロッパ諸国では比較的部屋を薄暗くして、テレビを見る習慣があるそうでこの場合ちらつきはあまり目立ちにくくなります。

 これらを踏まえ、政治的、歴史的背景が複雑にからんで、各国のテレビ方式が決まっていったのです。




  カラー化の経緯など

 我が国のカラー方式が NTSC であることは多くの方がご存知かと思います。この方式は一番古く米国の RCA 社が開発したもので、525 本系を採用する国ではほとんどこの方式になっています。
 規格として制定されたのは 1953 年で米 National Television System Committee の頭文字から、NTSC と呼ばれています。

 NTSC は、米国、日本を始めカナダや中南米などに採用されています。しかし、例外的にブラジルだけは 525 本にもかかわらずカラー方式には PAL(M-PAL)を採用しています。

 また世界的に見ると PAL が多いのですが、この方式は旧西独のテレフンケン社が開発したもので、NTSC を改良したものになっています。PAL は、ヨーロッパ、中国、オーストラリア、アフリカ、大西洋側の南米などに採用されています。

 次に SECAM ですが、フランス、東欧、ロシア、中東などに採用されフランスで開発されたものです。実際にはさらに、20 種類近くに細分化されます。




  各種カラー方式

 従来より白黒方式にて放送を行っていたところへ、カラー化するには当然白黒方式との両立性(互換性)を持たせることが必要でした。互換性がなければ既に普及していた白黒テレビでは、放送を見ることができなくなってしまうからです。

 次章以降で各カラー方式ごとに簡単に解説したいと思いますが、その前に世界のカラー方式を大別した一覧表を掲載しておきます。

世界のカラー方式
NTSC PAL SECAM
走査線数 525 本 625 本 625 本
フレーム数/秒 29.97 25 25
垂直同期周波数
(フィールド数/秒)
59.94Hz 50Hz 50Hz
水平同期周波数 15.734kHz 15.625kHz 15.625kHz
色副搬送波
周波数
3.579545MHz 4.433619MHz 4.40625MHz(R-Y)
4.25000MHz(B-Y)
色差信号搬送方式 直角二相振幅変調 直角二相振幅変調
ライン毎位相切換
線順次周波数変調
無線占有帯域幅 6.0MHz 7/8.0MHz 8.0MHz
映像-音声搬送波 +4.5MHz +5.5/6.0MHz +6.0/6.5MHz
主な採用国 アメリカ
カナダ
日本
韓国
台湾
メキシコ
フィリピン
ドイツ
イギリス
オランダ
デンマーク
など EU 諸国
オーストラリア
ニュージーランド
中国(香港含む)
タイ
フランス
サウジアラビア
など中近東諸国
ロシア
キューバ
東欧諸国




  走査線とインターレスの関係について(フレームとフィールドの関係)

 ここで、走査線とインターレスについて、簡単に触れておきたいと思います。基本的にはどのアナログ・テレビ方式もインターレス走査を行っており、1 フレーム(コマ)を二回にわけて走査する事で、1 枚の画面を伝送します。これがいわゆる、2:1 インターレス方式です。

 それでは NTSC 方式を例にとって下図で説明したいと思います。この 1 フレームを二つに分けたものを、それぞれフィールドと呼びひとつずつの飛び越し走査なので、奇数フィールド→偶数フィールドの順(それぞれのライン数は走査線数の半分)に伝送され、一つのフレームが完成します。

 方式が違っても、2:1 インターレスではこれらフレームと、フィールドの関係は同じです(SD/HD 問わず共通)。


※あくまでイメージ図。走査線そのものは実際水平であり斜めには表示されない。


 NTSC 方式では、走査線数が 525 本と奇数のため奇数フィールドの終わりと、偶数フィールド始まりにそれぞれ 0.5 の余りがでてしまいますので、(625 本でもこれは同じ)図のように、それぞれ画面の半分で終わって、半分から始まるということになります。

 走査線が画面左上からスタートする、と言う点も方式に関係なく共通しています。また飛び越し走査により、走査線を順番に表示する順次走査(プログレッシブスキャン)よりも、半分の水平走査周波数で済む、また放送での伝送帯域幅(占有帯域幅)も同様に削減できる、等のメリットがあります。


 余談ですがテレビ信号には実際に画面に映らない部分があり(SD/HD 共)、それらにはフィールド毎に垂直同期信号および、垂直ブランキング期間があり、走査線毎に水平同期信号および水平ブランキング期間が設けられています。

 これらのうち、垂直・水平同期は正しいタイミングで走査を行うための基準信号であり、垂直・水平ブランキング期間はブラウン管における帰線消去のためのものです(この期間は電子ビームによる輝点を消去する)。

 ブラウン管では磁界による偏向回路によって画面上を、電子ビームが走査しますが右端から、左端にもどるのに(垂直帰線期間では、画面右下から左上)時間が 0 と言うわけには行かないからです。

 故障したテレビの症状に帰線がでてしまう、というのがありましたがもうこれも大昔話ですね(^_^;)。

 また蛇足となりますが NTSC の同期信号は負同期と言って、マイナス方向に振れるパルス状の波形です。これが周期の長いマルチパス(反射波)により画面上に複数の縦線となって現れるのが、いわゆるブランキングゴーストです。
 非常に悪質なもので通常のゴースト以上に画質に多大な影響を与えます。高層ビルや送電線の鉄塔などの林立する地域で、発生することがあります。




  デジタルテレビとパソコンでの動画について

 デジタル放送では 480p/720p などのいわゆる、59.94 フレーム/秒のプログレッシブモードも定義されています。実際にこのモードが放送されているかはまだ、未確認ですがが単に 29.97 フレーム/秒になっていないのは、動きのなめらかさが失われてしまうためです(BD では映画など 1080p 収録があるが 24fps 相当)。

 480i/1080i でも撮影するカメラの基準シャッタースピードは、1/60 秒です。なぜならばフィールド周波数に合致するからで、フィールド間にも動きは存在しているわけです。
 ビデオや DVD 等の一時停止がブレる理由でもありますが、前項の「走査線とインターレスの関係について」だけでは、静止している被写体のときのイメージしかつかめないのではないでしょうか。

 前項を踏まえた上で下図をご覧下さい。これは動画におけるインターレースの模式図で、480i/1080i 系の映像においては走査線方向(1/2)に間引かれながらも、約 1/60 秒ごとに異なる画像が伝送されてくる様子がお解りいただけるかと思います。


※写真は離陸する飛行機が高速で手前に向かってくる様子。

 インターレースは約 30 フレーム/秒という制約のなかで、映像信号の伝送帯域を増やさずに(すなわち情報量据え置き)倍の数の画像を伝送することで、スムーズな動きを再現できる方式なのです。
 動きのある映像では人間の目の解像度が落ちる、という特性をうまく利用しており動画伝送を主眼としたテレビ・システムにおいては、極めて合理的なものです。

 しかしパソコンでテレビや DVD 等をみていて、動きがぎこちないとお嘆きの方もいらっしゃると思います(^_^;)。それはパソコン上では通常、動画を約 30 フレーム/秒のプログレッシブスキャンとして扱うからで致し方ないことです。
 特に古い PC ほど動きのなめらかさも画質も安物テレビにさえ劣るのでぜひ、ちゃんとしたテレビでご覧になることを強くお勧めします(最近のデジタル放送対応モノなら昔ほど問題ないが…)。
 どんなにいいパソコン・モニタでも、画素形状の違い(SD では PC は正方形、TV は縦長の長方形。FULL-HD はほぼ正方画素な分 SD よりマシ)、疑似プログレッシブ変換や画素数変換のため、見た目の解像度はかなり落ちます。また素直に色差→RGB 変換をしていても、明るさの階調も色相も PC 上では微妙に狂いがちなのが難点です。


 これらは、パソコンに”テレビの様に高画質“な動画を求めることが、いかにナンセンスかを物語っていると思います。これらの理由の根底には、本来動画を素直に表示するためにできたテレビと、文字や静止画をチラつきなく表示することに主眼をおいてきたパソコンとの違いの歴史が刻まれているのです。
 しかし現在の民生用 FPD テレビは不要な I/P 変換が必ず介在するので、映像信号が本来持つ質感が大きく失われてしまい、PC 上で見るのにより近くなっています(FPD テレビメーカはわざと画質を落として何がしたいのが意味不明>FPD のアラを隠すためかと邪推中〜!?)。

 もっとも I/P 変換だけにとどまらず、スケーリングを含めてインチキな補完がいかにワルい画質かは、映像に詳しい方なら説明するまでもありませんネ(民生用ハイビジョンテレビのインチキ・アップコンバータがよい例です。どのメーカ・機種も NTSC はとても見れた画ではありません)。

 わたくし的にはハイビジョン対応テレビを売るためにわざと、NTSC の映りを悪くしているのではないか!?、と勘ぐってしまいます(ボカスカ)。

 真面目な話として大画面では動きのある場合にインターレース妨害が目立ちやすくなる、という問題があるため I/P 変換が介在するのです。
 しかし実際には最適視聴距離を守っている限り、そんな物が見えたらその人は目が良すぎて逆に遠視ではないでしょうか(視力 3 ポイント台近く?)。

 元来、通常視力を持つ人間の目の分解能を考慮しても走査線が目立たない(最適視距離のとき)ように、1125 本という走査線数が決められたはずなのです・・・。


 閑話休題。かなり話が脱線しましたが、次項から本題に戻ります。






  カラー方式の詳細・NTSC 方式

 各アナログ・テレビ方式では、カラー放送を行うにあたりどのようにして色の情報を伝送するのか、という点に各方式の違いが現れています。

 右図は NTSC 信号の波形をオシロスコープで観測し、見やすいよう二値化・加工したもので、ちょうどカラーバー信号の走査線 1 ライン分になります。
 最初に水平同期があり、その次に色の基準であるカラーバースト(色副搬送波)があり、そのあとに輝度と、色相を表す信号が並んでいます。

 左から白、黄色、シアン、緑、マゼンタ、青、黒となっています。白黒信号では白は変わりませんがその他の色は、階調が次第に暗くなる方向で表現されます。
 輝度信号は単純に明るさと振幅が対応していますから、白黒の波形を見た場合、単純に右に向かって下がる階段状になりますが、NTSC カラーでは色差信号が重畳されているので、図のように見えるわけです。

 既述のようにカラー方式では明るさを表す輝度のみでなく、色を表す色差信号を伝送しなければなりませんが、NTSC 方式ではこれをカラーバースト(色副搬送波=約3.58MHz)に対する、位相と振幅にこの情報を載せることで実現しています。
 色差信号はカラーバースト信号の 0゜ を基準位相とし、そこから何度であるかで色相を表し、同時にそのポイントの振幅(ベクトルの大きさ)で色の濃さ(色飽和度)を表す形を取っています。

 また余談になりますが、NTSC カラー方式では輝度信号の振幅は、1Vp-p(Peek to peek)、カラーバーストが 0.286Vp-p と規定されています。

 シロートが何も知らずに二股アダプタで、ビデオ信号を分配し「暗いなぁ」とか同期のかかりが悪くなったとか嘆いているのは、振幅が足らなくなったり同期信号の波形がなまってしまうからです(ボカスカ)。

 白黒テレビでカラー信号を見ると、色副搬送波が妨害として現れてしまいますが、実際には非常に細かい粒子状に光って見え、しかも1ラインごとにそれが交互にズレて表示されるので、それほど目立ちません(※周波数インターリーブによる→後述)。
 もっとも、現在では白黒テレビ自体がないので通常、見ることはないと思いますが。

 またもともと R(赤)G(緑)B(青)の三原色であるカラー信号を、カラーテレビ方式では Y、R-Y、B-Y(前者を輝度、後者 2 つを色差信号という)の3つとして扱っています。これは RGB のをそのまま伝送するのでは効率が悪いからです。

 映像信号の元になるテレビカメラの撮像素子で得られる RGB 信号を Y、R-Y、B-Y に変換することをマトリックス処理といい、下記のような計算に基づき処理を行います。

  Y=0.3R+0.59G+0.11B
  R-Y=0.7R-0.59G-0.11B
  B-Y=-0.3R-0.59G+0.89B

 こうして得られた信号のうち、Y はそのまま輝度信号として使用し、R-Y を用いて色副搬送波を平衡変調する事で、0.5MHz の帯域をもつ Q 信号を、色副搬送波の位相を 90゜進めたものを、R-Y で変調する事で 1.5MHz 帯域を持つ I 信号を得ています。この IQ 信号を加算することで、色差信号をつくることができます(HD のマトリックスは若干異なる。色度座標系も NTSC とは異なり CRT 蛍光体の特性に合わせて決められている)。
 また R-Y、B-Y 軸と IQ 軸の関係を、図に表しておきます。これらの信号のうち、Y、R-Y、B-Y 全てが加算されたものを、コンポジット信号(複合信号)、Y、R-Y、B-Y それぞれに分かれたものを、コンポーネント信号と言います。

 このようにして得られた各々の信号は各信号が混合され、コンポジット信号となり最終的には 1ch 分の電波に乗せられます。そして放送などを通じて伝送されたのち、受像機内で逆マトリクス処理(カラーデコーダとも言う)され、再び RGB 信号に変換後表示デバイスに映し出される、というからくりになっています。

 余談ですが民生用ビデオ機器に使用されている S 端子は、Y(輝度信号)と R-Y、B-Y を加算した色差信号(C)の二つに分けたものです。参考までに HD では色差信号生成にあたり G 信号が主である事にかわりありませんが、既述の通りマトリックス式が若干異なっており下記のように処理されています(※709 システム)。

  Y=0.7152G+0.0722B+0.2126R
  PB=(B-Y)/1.8556
  PR=(R-Y)/1.5748

 下記に NTSC 信号のスペクトラム分布図を示しておきます。


 このスペクトラム分布のうち振幅に関しては実際、輝度信号と色差信号のピークが交互に現れるように工夫されています(周波数インターリーブ)。輝度信号は水平同期周波数の倍数ごとにピークが、色差信号はその谷にピークがくる感じです(※下図参照)。
 この特徴的なスペクトラム分布を利用して Y/C 分離など各種信号処理を行っています。






  PAL 方式

 PAL 方式の大きな特長は、走査線毎に色副搬送波の位相を切り換えていることでしょう。PAL の呼び名も、Phase Alternation by Line からきています。その他では大きな違いはなく、そのため波形は NTSC と似通って見えます(信号源がないので波形観測不能(^_^;)。

 これは受信機側で色信号の歪みを相殺するためで、アナログビデオで行われている隣接トラック間の干渉低減とは、違った意味合いを持っています。PAL では受信機で 1 ライン分のディレイを使い、1 ライン前の色信号と加算・平均をすることで歪みの相殺を行っています。
 また、この方式ではガンマ補正をカメラ側のほうが、受像機側よりも少なくしている点も特徴的といえるでしょう。理由はこうしたほうが全体として、画質を良く保てるということのようです。

 このあたりは後発の規格だけあって NTSC にはない特徴です。色差信号の位相切り換えは、ちょうど NTSC の時の IQ 軸(R-Y、B-Y、IQ 軸の関係参照)ベクトルを上下対称にしたような形になっています(ベクトルスコープの写真があれば良いのですが、持っていません(^_^;)。
 また NTSC では -B-Y 軸にでてくるカラーバーストも、-B-Y 軸を中心に左上 45゜、左下 45゜という具合に2カ所にでるようになります。これは当然のことながら色差信号と一緒に、バーストも位相が切り替わっているためです。




  SECAM

 この方式は FM 変調した色差信号(R-Y/B-Y)をそれぞれ、1 ラインごとに切り換えている点が大きな特徴だと思います。つまり 1 走査線毎に R-Y 、B-Y とどちらか一方ずつの色差信号を重畳しているわけです。

 下図(現在作成中(^_^;)に SECAM 方式 2 ライン分の波形を示しますので参考にされて下さい。この方式では色差信号が FM 変調であるために、ノイズや歪みには強くなっていますが逆に、FM であるために色が付かない様な部分にも、色副搬送波が存在してしまいます。
 これはデメリットではありますが、このような部分では周波数インターリーブによる効果がないので、色副搬送波を中心周波数付近で下げる様なフィルタを用います。そのため図のように FM にもかかわらずレベルは一定ではありません。

 また 1 走査線毎に R-Y/B-Y の色差信号を交互に伝送するため、もう一方の色差信号は 1 ライン前のもので代用します。同時に送れないのは単純に帯域が足りないため、ということになります。





 以上簡単に世界のアナログテレビ方式をご紹介しながら、動画についての最も基本的な部分を解説しました。テレビ方式もそれぞれ実際には細かい違いなどを含めると数十種類にもなります。
 しかしここでは大分類ということで3方式をご紹介してあります。

 また本稿を熟読すれば解ることですが、正確な編集作業に I/P 変換は邪魔者でしかありません。動きのある一時停止(スチル)は正常に見ることさえ出来ないし、当然フィールド間の動きや場面の切り替わりも正常に見ることも出来ません(I/P 変換の方式・設定の如何により見え方が変わってしまう)。

 すなわち市販の FPD テレビによる編集は完璧なつもりでも、正しく映像信号を表示できないが故に困難を伴うのです(I/P 変換を OFF できないため)。近年では安価な FPD 業務用ピクチャモニタにも、もれなく I/P 変換がおまけで付いてくる体たらく(ここまで来ると狂っているとしか言いようがありません)。

 悲しいことですがこれが現実です。


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