パケットと回線交換の違い・概要

〜携帯における通信モード・両者の違いとそのメリット〜



 リクエストを頂きましたので、突貫工事ではありますが(^_^;)、パケット通信と回線交換の違いなどについて、非常に簡潔に解説したいと思います。



  回線交換

 これは、当初の EZ アクセス(C20x シリーズ)や通常の PDC デジタル通信モードが該当します。回線交換とは、ユーザーと通信相手とのエンド to エンド間で、一定速度かつ一対一の通信回線を確立することです。

 身近?なものにたとえると、一定速度で動くベルトコンベア上を物(データ)が流れているようなものです。

 たとえば、PDC デジタル通信モードを例にとると、ユーザー側ではプロトコルコンバータ([通信手順変換器]通常は PC カード型アダプター)により、シリアル(RS-232C 相当)信号が変換され、無線回線をたどることになります。

 しかし、通信相手は従来通りのモデムなどに限定され、結局電話網より手前でデジタル・アナログ変換が行われて、やっと相手につながることになります。これは、プロバイダ側の対応がいらない分、ネゴシエーション(接続時の諸手続)に非常に時間がかかり、イライラする原因となっています。

 PDC デジタル通信モードや、従来の EZ アクセスの接続が非常に遅いのは、このためです。



  パケット

 これは言うまでもなく、i モードや DoPa が該当しますし、cdmaOne でも packetOne というパケット通信サービスを、近々開始する予定です。おおざっぱな話、インターネットプロトコルである、TCP/IP もパケット通信方式としては、最もポピュラーなもののひとつです(これは有線ですが)。

 回線交換での大きなデメリットは、通信中にデータを送受信している間はよいのですが、まったくデータのやりとりがなくても、通信時間により課金が発生してしまうことです。

 このように一定の通信速度が常に得られる、というメリットはありますが実転送データ量の少ない、メールの送受信などを考えると、いかに無駄が多いかわかります。

 そこで、パケットの利点が生まれてきます。それはパケット通信では、データをある一定の大きさごとに区切り、送受信するという特性を生かし、データ量に応じた課金方式となっている点です。具体的には、i モードや DoPa では 128bytes/1 パケットとなります。(1byte=8bit=半角文字 1 分)

 かなりおおざっぱですが、下記のような感じでやりとりをします。

  A:「B さんデータ送ります」
  B:「いいですよ」
  A:「データは下記の通りです。xxxxxxxx〜。以上です」
  B:「はい、正しく受け取りました。次のデータどうぞ」

 概ねこんなあんばいです(^_^;)。そして、相手の応答がなかったり、通信エラーが発生すると、再送要求をすることになります。この再送要求や、エラー訂正は通常パケット単位で行われます。

 パケット通信モードとして、一番ポピュラーと思われる i モードでは、AL/TL という簡易プロトコルを使いヘッダーなどを、軽くしているそうです。おそらく、WAP にも類似の工夫が凝らされているかと思いますが、これらは一般には公開されておらず、詳細については残念ながら不明です(^_^;。

 また通常、PDC では 9600bps の通信速度ですが、i モードや 208 シリーズのパケットは、TDMA スロット 1 つしか使用しないので、従来通り最大で 9600bps。DoPa では TDMA 物理スロットを 3 つ使用することにより最大で、28.8Kbps を実現しています。

 PacketOne でも、下りの論理チャンネルを複数束ねることで、通信速度を高速化しています。

 またこれらを例えると、回線交換では普通のベルトコンベアでしたが、パケットではそのコンベアの上に、128bytes の大きさの箱が流れており、そのなかに自由なタイミングでデータを放り込んで、相手まで届けてもらうというイメージに近いものがあります。いうなれば流れずし式、とでもいいましょうか(^_^;)。

 つまり、流れずしでは食べた皿の数の分だけ、料金を払います(料金の違がう皿がありますがそれは無視して、全部一定料金と仮定します)。それと同じく、使った箱(パケット)の数の分だけ料金を払う、ということになります。

 パケットの例えによく、小包(Packet:小包/本来の意味)の様だとかある一定の大きさにまとめる、というゆえんはここにあります。また、通常パケット方式では送受信されたデータはデジタルのまま、サーバーやインターネット網に接続されます。

 ですから、発呼時からの接続が非常に早く現代人のニーズに、マッチしていると言えるでしょう。また、回線交換と比較すると、移動時などで一時的に無線回線のリンクがたたれても(電波状況が悪いとき等)、一定時間後に再度通信再開要求を出すので、モバイルには適していると言えます。

 回線交換ではこの場合、比較的簡単に通信が切断されてしまいます。

 また、同じパケットである DoPa と packetOne の違いについてですが、料金・サービス面などはもとより、最大の違いは通信速度とその対称性でしょう。

 記述の通り DoPa では最大、28.8Kbps になりますがこれが上下回線(送・受信とも)対称になります。しかし、packetOne は下り(受信)は 64Kbps 相当になりスピーディーですが、上り(送信)は従来通り 14.4Kbps のままですので注意が必要です。

 これらを踏まえると、イントラネット上のグループウェアの操作、Web の閲覧など Web ベースのことでしたら受信側速度が早いメリットがあります。しかし、メールの送受信やデータ送信に関しては、DoPa に分があるといえるでしょう。

 ただし、料金面で DoPa(通常のパケットを含む)は個人ユーザー向けとは言い難く、よりリーズナブルなプランの登場が強く望まれます。



 以上、かなり急ぎ足でしたがわかりづらい点など、ご指摘がありましたらぜひお知らせくださいm(_ _)m。