コモドとの出会い

私が始めてコモドに行ったのは2000年の秋だった。友人のムナディさんから「コモド行かないですか」と誘われて二つ返事でOKした。それまでにもバリ、ロンボクには何度も通っていた。いつも使う船はアデで、最初はお兄さんの経営するYOS、そして独立後はGT−1に乗っていた。まじめで一生懸命仕事をするアデが私は大好きだった。ところがバリもロンボクも年々プレッシャーからなのか釣れなくなってきた。だんだんと遠のいていったのもこのころである。最初バリで本格的にGTをやっているのはアデだけだった。それがどんどん増えていき、それに比して日本から押し寄せるアングラーも増えていった。釣れなくなるのは目に見えていた。
コモドは未開という魅力と「オオトカゲ」に会ってみたいと気持ちが重なった。昔からコモドオオトカゲには凄い関心があった。恐竜の生き残りといわれるオオトカゲを見たいのは子供のころからの夢だった。

そして夢がかなってコモドに到着。船はサーチャー号、凄く遅い船で秘境コモドを訪れるには一番似合うような船だった。これがスピードボートではあっという間に着いてしまうので喜びも薄れてしまうだろう。ポイントからポイントへの移動もゆっくりで1日にほんの少ししか回れなかった。これもコモドの魚たちを思えば、良いことだと思った。速ければ、それだけ多くの魚たちが傷つくのだから。長時間かけてコモド島が見えてきたときの感動はいまでも忘れられない。

私自身、このころからめっきり釣りをやらなくなっていた。釣りよりも世界の秘境に一つでも多く行きたい。多くの素晴らしい自然に触れたい。そんな気持ちの方が強くなり、1回の遠征で1匹釣れればよしとしようと思い始めていた。自分が釣った魚の数を自慢することがどれだけ自分勝手なことか。

 

コモドは世界遺産の島

レギュレーション
   
コモドは無断では入れないところなので許可を取って行った。それでも1回目は疑われて2時間ほど監視艇の取調べを受けた。正式な許可証でさえ偽造と疑われた。当時はリリースするということだけが決められたレギュレーションだった。以来5回コモドを訪れた。  
   
そんなコモドに新たに行きたい船が出現した。バリのカイザーである。その直前、5月か6月ごろに日本に来て私のところに挨拶に見えた。コモドもとうとう本格的に客を受け入れるのだなと思うと少し複雑な気持ちだったが、私が過去5回行ってわかっているGTポイントを地図を開きながら教えた。高部船長は凄く喜んでその地図を持ち帰った。

その後コモドにはたくさんの釣り人が行くようになった。釣果報告も凄かった。やれ50キロ、60キロと今まで上がらなかったGTが次々上がるようになった。あまりにも大きいので高部さんに「正式に計ったことあるの?」と聞くと「GTは過去に1回だけ計りました」という返事だった。1回であそこまで細かく推定できるのか?写真を見る限りは20パーセントは増えているように感じた。

昨年の夏ごろ高部さんはコモドのレギュレーションを考えてツアー会社に連絡した。それは以下のとおりでツアー会社に連絡が行った。バリやロンボクの二の舞を避けたいために高部さんが考えたものである。

GTキャスティング

オールキャッチ&リリース
メインライン:100lb以上
リーダー:170lb以上
フック:トリプルワンフック、またはシングルツーフック以下・バーブレス

ジギング
オールキャッチ&リリース
メインライン:70lb以上
リーダー:100lb以上
フック:トリプルワンフック、またはシングルツーフック、アシストフックOK

それを聞いた釣り人は1フックだけつけたポッパーでゲームをした。9月に訪れたA氏は釣行記にもそれを書いている。ところが10月に来たB氏はトレブル2フックを使って釣りをやっている。どうしてかと高部さんに尋ねると「レギュレーションは説明したけど守ってもらえなかった」と答えた。そこでカイザーだけのレギュレーションでは効力がないと判断してパークレンジャーに説明して、11月にパークレンジャーが決めた正式なレギュレーションとした。

さらにレギュレーションは壁にぶつかる。個人で考えたレギュレーションはやはり効力がないのだろうか。C氏「トレブルを2本使わせてくれないか」と強引に迫る。そこでメインライン150ポンド以上ならトレブルの2フックOKと変更になった。この方もGTの世界では影響力の強い人である。強いラインで短時間であげれば魚は元気だから生存率が高いということらしい。切れないラインはとても危険だと思う。ましてこんな強いライン常人では使いこなせないだろう。船べりから落ちるような事故がおきたら誰が責任取るのか。2フックを使いたいがために150ポンド以上のラインを巻いてくる者が増えたら危険である。
 

世界最大のオオトカゲ

そんなことが夏ごろから今年の1月まで決められていったようである。ところがコモドに4年前から行っている私にはなんの連絡もなかった。1月の中旬、コモドに行くという方からこのことで質問を受けた。「ソルトワールドに記載されているレギュレーションですが知っていますか」と。全然聞かされてなかった私は驚いた。すぐにカイザーにメールを送るとその日のうちに代理人を通してお詫びのメールが届いた。そして数日後に国際電話が来た。高部さんはすべて正直に話してくれた。

レギュレーションを決めることは凄く良いことだと思う。でもコモドという世界的なポイントのレギュレーションを個人で考えていいものだろうか。多くの方の意見を聞いて慎重に決めるべきではないだろうか。コモドの魚を守りたい気持ちはわかる。でもみんなが守らなければ意味がない。コロコロ変わるレギュレーションも効力はない。

いまからでも遅くない。みんなで意見を出し合ってレギュレーションを決めよう。

以下私の案です。ご意見を聞かせてください

【キャスティング】
1.メインラインはPE8号以上。リーダーは40号以上。
2.フックはバーブレス。トレブルフックの場合は1本まで。シングルフックなら2本まで。
3.オールリリース(リリースしてもあきらかに死んでしまうような魚はキープ加)

【ジギング】
1.シングルフック1本。
2.メインラインはPE6号以上。リーダーは30号以上。
3.アシストフックの場合、フックとの結束ラインは5センチ未満。
4.オールリリース(リリースしてもあきらかに死んでしまうような魚はキープ加)
 

2フックは擦れがかりが多くダメージも大きい

その後、アデもコモドに行けるようになった。12月に友人のD氏から「アデもコモドに行くよ」と聞かされた。そしてアデの船で1月に数組がコモドを訪れたようである。先日アデに会った「パークレンジャーが決めたレギュレーションを聞いている?」答えは「聞いてない」だった。パークレンジャーが釣りにまったく詳しくないのも事実である。各船が守らなければレギュレーションも効果が無い。  
   

 

2004年2月9日 茂木陽一