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参加者: 計21名
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かつては市一番の賑わいだった駅前通り |
駅前の空地を市が買い上げ駐車場に |
駅前通り |
大正通りの味噌・たまり仕込倉庫 | |
●「歩いて暮らせるまち」というのは裏返せば「車では暮らしにくいまち」といえそうです。
スポット的に駐車場を整備することができても、そのような生活ができる人にないと(家の前に車がないと生活できない人ではなくて)、住むことは難しい。だとすれば、車を利用しない人か、その不便な生活を我慢できる人をターゲットにする必要があるのではないでしょうか。
前者は子どもと車を利用できない高齢者。大浜地区の資産である、社寺、港、倉庫、露地などは、子どもにとって魅力的な遊び場でしょう。しかし、子どもには親がつきもの。親が不便な生活を子どものためにどこまで我慢できるかです。
不便な生活をがまんできるかどうかの鍵のもう1つは、「地域に誇りを感じているか」ではないでしょうか。すばらしい資産を将来に残したいという思いがあれば、少しぐらいの不便さも我慢できるのではないでしょうか。
●まちづくりの方向としては、観光をねらうのではなく、住民にとってのまちづくりを進めることだと思いますが、外から多くの人が訪れることが、住民の誇りにつながります。碧南のよさをどんどんPRしていくことは重要だと思います。 |
| 海徳寺/本伝寺 |
| 寺楼が美しい西方寺 |
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旧大浜警察署 | |
●碧南は、漁業・海運・醸造で栄えた街らしい名残があり、楽しく拝見しました。寺社は、浄土真宗の西方寺と本伝寺、時宗の称名寺が、繁栄時の町民の財力を反映していて、なかなか見ごたえがありました。
●現在も、市財政や市民も豊からしく衰退した中心市街地という印象がなくうまく計画誘導すれば、「商店の緩慢な自然死による落ち着いた住宅地」に
なるように思えました。しかし、つげ義春の漫画にでも出てきそうな、海沿いの「よろずや」はノスタルジックな賛美にもかかわらず、消え行く運命にあるのでしょう。ただ、商店でなくなった「しもた屋」も、住宅としてそれなりの存在感がありました。 |
黒塀 | 民家 | |
| 路地/民家 | |
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●すばらしいまちの資産と士会の方々の熱心な取り組みがあれば、必ず、すばらしい街ができるのではないかと思います。「どうしようも無かったところが繁栄している」という杉浦さんの言葉が実現するようなまちづくりができるとよいですね。
九重味醂工場 路地 | |
◆見学会後の意見交換会◆
●まちづくりの方向
「歩いて暮らせる街づくり」の発端としては、商業の活性化をめざしたまちづくり推進協議会の活動がある。地域の素材としては、路地や旧区民館(旧大浜警察署)があり、また今後の構想としては、フィッシャーマンズワーフ構想、アクトピア計画、さらに商工会議所の移転計画などがある。今回の調査の中で、方向性 が示されることを期待している。
海はほとんど埋め立てられ、今やないに等しい。大浜港も風の関係で汚れている。市場にはそんなに定常的に魚が揚げられるような状況ではなく、フィッシャマンズワーフ構想といっても外から買い付けて売らないと成立しないと思う。
旧大浜警察署、赤煉瓦冷凍庫をどうするのか。こうした建築物が適正に評価されていないのではないか。
市としては保存の方向で考えている。
住宅マスタープランなどが策定されているが、その後に生きておらず、計画間の調整も不十分だ。
●住民主体のまちづくりと建築士会への期待
大事なのは計画を作ることではなく、住民の心に落ちる将来像を描くことだ。
まちづくりの方向は、住民自ら、若しくは市役所自身が主体的に考え、決めていくべきではないのか。
大浜地区のまちづくりを推進する母体となる組織がはっきりしない。
地区の住民がこの町に対して誇りを持てるような取り組みが必要ではないか。
祭りの時には、外から人が帰ってくる。そうした人のつながりは今もある。
この地区には、路地や価値のある建築物など、建築サイドから取り組むことのできる課題・テーマが多くある。建築士会碧南支部が住民活動のベースの役割を担うことができるのではないか。例えばニュースレターの発行など。
現在、ホームページを作成しアピールをしている。
●建築上の問題
●商業・観光
寺は観光資産にもなる良い素材だが、地域の商業がそれを生かしていないのはもったいない。
商業は思ったほど衰退していないし、小学校の学級数が4組もあることから、相応の人口もあることが伺える。かつてのような繁栄を望まなければ十分活気があると思う。素材も良いし、こうした地域に暮らしたいという心をおこすような仕掛けが必要ではないか。
コンビニの原型のようなよろず屋があったりして、懐かしい町の原型のようだ。寺は子供の遊び場ともなるし、地域の方たちが仲良く秩序だって暮らしている姿そのものが観光の題材ともなろう。
観光ずれしていない印象がある。また蔵が多くあるが、他の地区によくあるような不要品を押し込んだ死んだ蔵ではなく、企業活動に使われている生きた蔵が多い。
一見、まだ活気があるようだが、内実は後継者のいない店舗や檀家のいない寺などが多く、町としてはピークを過ぎた下り坂の町だ。
●住み続けられる街・住みたくなる街
観光とか商業活性化とかあまり急がず、高齢者の生活支援など、町の居住の下支えの仕組みをじっくりと作り上げていくことが重要だ。
このままでは高齢者は残るだろうが、若者は出ていってしまうのではないか。人をどうやって住み続けさせるかを考えることが必要だ。
地区の住民は、総じてよそ者嫌いの傾向があり、外からの転入を受け付けない傾向がある。
田原では、かつてはよそ者嫌いの様子も見られたが、今では疲弊しすぎて、住民がもっと外から受け入れようと言い出すようになってきている。
●街の整備・誘導手法
「海」「寺」「蔵」がこの地区のポイントだろう。これらをつなぐことが必要である。例えば「風」。例えばこれらをつなぐような休憩所を設けるなど。
この町の良さを生かしつつ、車社会に対応するためには、市がスポット・パーキングを積極的に整備したらどうか。
中心市街地において固定資産税の緩和をするなどの方策を講ずることが有効ではないか。
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