2004/ 7/24



参加者:計8名
 
JR幸田駅          幸田駅駐輪場・駐車場(区画整理用に町が先行取得)
  
駅前道路を挟んでツイン再開発ビル構想         駅前広場に至る町道(12m拡幅計画)            県道・鉄道に平行する一本奥の町道
(右側のビルはかつて映画館。今は町が建物とも先行取得)
  
奥の町道の様子(区画整理計画で建替が止められた老朽家屋、区域外の建替えた新住宅、バブル期に建設されたマンションなど)
  
県道沿いの様子(昭和40年代の共同建替事業によるゲタバキビル、元郵便局のまちづくり会館、拡幅計画で下がった住宅と従前のままの建物)
  
なぜか多い介護ショップ         中央公園管理棟(旧三菱レーヨン事務所を再利用)          公園内の池とポンプ施設
 
パークサイドアベニュー桜坂と中央公園                   中央公園と町役場
 
 中央公園の400mトラック         パークサイドアベニュー桜坂内の緑道・水路     
   
パークサイドアベニュー桜坂(クルドサック、宅地前でカーブを描く緑道水路(自動車は個人宅地内)、緑地と井戸)
  
パークサイドアベニュー桜坂の入り口                       近くで工事中の分譲住宅(敷地裏にフットパスを設置)
【見学後の感想と意見交換 1】
 行政主導の積極的なデザインコントロールの結果、パークサイドアベニュー桜坂においては、少し価格は高いけれどその環境に購入者は満足、事業者も売れて満足、行政も人口が増えて満足という大団円、相見ニュータウンについても、きつめのデザインコードで多少収益は減ったでしょうが、将来性のある土地に出店できて出店者は満足、地権者も大して頭を使うこともなく日銭が稼げて満足、行政も都市発展が図られて満足の大団円と言える。
 しかし一方、パークサイドアベニュー桜坂では、南欧風の街並みが幸田に必要・適しているのか、分譲とすることで居住者が住宅を建築する喜びなどから疎外されたのではないか、町にとっては意匠を凝らした道路や公園の維持管理が後世の財政負担として生じるのではないかといった疑問。相見ニュータウンについては、地域混乱要因に配慮したデザインコードの指導はされたものの、大手チェーンストアによる今風の軽薄なデザインでしかないこと、また郊外開発は中心市街地の空洞化を促進しているのではないかといった疑問を感じた。
 結局、これらの開発は、将来まで見越して、幸田町にとって本当によい社会インフラをつくっているのだろうか。

 相見区画整理は、あくまでも副次核のツールです。あまり前例のない「駅前郊外型店舗を核とした新世代住民エリア」と考えています。
 本町の総合計画では、4つの中心核(幸田駅、三ヶ根駅、相見駅、ハッピネスヒル(町民会館))をつくることとしています。これは、住民の多くが、社会的サービスを、自己居住地に近い隣接都市(岡崎市、蒲郡市、西尾市)に依存しており、これを踏まえ、自己完結型市街地整備ではなく、依存エリア毎に背伸びをしない中心核をつくる方が効率的であるという理由からです。
 町の文化施設はハッピネス、行政サービスは幸田駅前に近い役場周辺、蒲郡の北玄関を目指す三ヶ根駅、岡崎の南玄関を目指す相見駅と大枠の役割を果たしながら、来る中三河市構想に準備したいと思っています。

 田舎に不つりあいな南欧風の家並みですが、現在の住宅取得層である30代の方は、家を建てるものでなく自動車感覚で購入するものと考えているようです。このため、ハウスメーカーの開発を認めた時点で、地域風土を守ることは放棄せざるを得ませんでした。市街地化調整区域で地区計画手法による伝統工法を守った町並み形成も実施したいと考えています。

 南欧風のデザインには、「ああいうものに人気があるのか…」と、改めて感じ入りました。あれもデザイン、これもデザインというのが私の感想です。住宅産業の過渡期的現象なのか、それとも末期なのかいろんなデザインが出ていますが、何でも手に入るが何が良いのか分からない時代を反映しているようです。今や住宅取得者の主力は駄菓子屋のおばあちゃんの店でキャンデーを買った一昔前の世代から、自販機世代(無言世代)へと完全に移行しています
 
相見区画整理地区(左画像の正面が新駅誘致地)
 
相見区画整理地区内で先行整備された商業施設(ホームセンター、飲食店、ゲームセンター、衣料店など)
【見学後の感想と意見交換 2】
 幸田町の事例は、「行動力のある行政マンが、土地利用詳細や土地処分等の実務まで積極的に関わり、特徴的な都市開発を実現させている」という好事例であり、その行動力は高く評価されるべきだと思う。
 一方で、3〜5万人以下の行政への全面的信頼がある市町村では、こうした行政マンは発生しうるとも言える。しかしこうした「お上に一存」状態は大きな危険も孕んでいるわけで、幸田町の場合も、どれだけ市民の意志がこれらの都市開発に反映されているのか、気になる。
 「中央公園に400mコースが必要か」という疑問は、中三河市構想が実現されるとすれば、中心部にこれだけの規模の土地が確保されているということは、非常に意味のある将来を見越した計画とも言える。
 教訓は、市民による将来イメージの共有がいかになされているか、ということではないか。

 都市計画への住民参加については、門を閉ざしている訳ではありませんが、積極的に導入している訳でもありません。
本町は、田舎風土である地元の顔役を通じて地元から提案を頂きながら行政をすすめている古い体質が多く残っています。ご指摘のとおり、小さな町であるからこその手法です。これは、幸田町の良い意味(顔の見える行政)での個性ではないでしょうか。

【見学後の感想と意見交換 3】
 幸田町は10周遅れのトップランナーです。今から10年が開発のピークであり、多くの先輩自治体の失敗を教訓にしたいと思っています。
 スローな都市整備を本来はしたいのですが、どうしても目の前の経済情勢に応じた開発を推進せざるを得ません。都市開発のスピードダウンによる成長の阻害の方が恐ろしく感じているようです。
 児童減少が続く他地区でも、同様な手法による区画整理(立地条件の良い土地をハウスメーカーと連携して保留地処分を行い、役員は飛換地を受け入れる)が進んでいますが、人口増のために地元の意志が統一され、行政が全面的に信頼されています。また新市街地の街並みに対しても、新規居住者にまかせるというスタンスです。
 この方式が、まちづくりとして必ずしも適当ではないという自覚はあります。よって、今の急ぎすぎる手法はあと10年だけだと思っています。行政的な体力(産業と人口)をしっかり蓄積してから、成熟型のまちづくりを展開したいと思っています。
 住宅地開発と企業誘致を推進することは、自然(風景風靡)を願う人々からは疎まれていることでしょう。しかし、自然(農地を含む)のサンクチュアリ・ゾーンは決して犯さないようにし、良識ある住民と企業が、永住したくなる幸田町になるよう、努力をしているつもりです。

 幸田町の中心市街地を拝見して、人口増加の可能性の高さをうらやましく感じました。
 役場に隣接して三菱レーヨン所有地があり、工場撤退跡地を使って住宅開発や公園整備が行われ、市街地の真ん中で空洞化対策が行われている。しかも民間デベロッパーで分譲され、人気も上々で完売されています。さらに隣接地でも関連土地を分譲中。一方で、大規模な区画整理事業が着々と進められ郊外型の商業施設が集積されていて広大な駐車場はほぼ満車状態。そして、いよいよ宅地造成が本格化しようとしてます。
 「10周遅れのトップランナー」と謙遜していますが、これだけの住宅地需要があるというのは当節、特異な存在です。交通の便の良さに加え、土地に割安感があるためではないかと推測します。
 ハッピネス幸田(ホール、図書館、プールなど)