中心市街地すまい研究会

●研究会の発足経緯
 社団法人日本建築学会東海支部都市計画委員会では、地域における研究活動を活性化させるために、毎年3部会程度の研究部会を設置して、部会活動を行っている。研究部会は、この地域でそれぞれのテーマに関心のある人が、日本建築学会の会員非会員に関わらず自由に集まれる緩やかな組織で、都市計画委員会から若干の活動費補助がある。
 住宅部会は、豊橋技術科学大学の三宅教授などを中心にした、住宅地見学会を母体にしていて、その後10年ほど前に、都市計画委員会の研究部会が制度化されたのに伴い、住宅部会として発足し、1993年の建築学会の名古屋大会の際には、研究協議会「高齢社会の到来と公共住宅の課題」を主催するなどの取組を行っていたが、ここ数年少し活動が停滞していた。
 それを打開するため、1999年の1月頃、川端、三宅らが協議を行い、県職員の尾崎氏を主要メンバーに加え、市町村職員なども交えて実践的なテーマに取り組んで行こうということをもくろんだ。
 住宅部会のテーマとしては、尾崎氏の問題意識を発端に、近年衰退傾向にある地方都市の中心市街地に焦点を当て、住まいという視点から居住施策を考えていこうというものである。
●研究会の成立と研究助成の申請
 第1回の住宅部会を1999年3月30日に開催され、各参加者の問題意識を交流し、田原町の讃岐氏から、田原町の中心市街地の人口が、ここ30年ぐらいの間に半減して、「骨粗鬆症のまち」となっていることなどの報告があり、当面、中心市街地というテーマで市町村の担当の人に報告してもらい、議論を進めて行くことが、参加者の間で確認された。
 ここで、集まった参加者の顔ぶれや話される内容が興味深く、住宅部会としてはまずまずの展望が確認されたが、これをさらに内容の濃い成果を目指すため、1999年度にあっては、(社)地域問題研究所の研究助成100万円を申請し、幸い採択を得ることができ、当初もくろんだ「施策実験」をなんとか実施することができた。
●活動の特色
 本研究会活動の特色として、次の2点を上げることができる。第1には、実践的に進めるということで、各市町村で中心市街地のまちづくりに関わる人に積極的に参加を呼びかけたこと、研究成果が学問的な成果に止まることなく実際の施策に反映されていくことを期待して、市町村の調査でもできるだけ多くの成果を市町村に返すこととしていることなどである。
 第2には、研究成果をインターネットで順次公開していること、各メンバーの意見交換や情報交換にEメールを活用したことなど、最新技術を行使したことである。
 1999年度の研究活動は、報告書でまとめることで収束することになるが、2000年度はこれらの成果を基にさらなる発展をめざしていきたい。