点火系を科学するぺえじ(点火プラグ編)

点火系を科学する(点火プラグ編)

今章から3章連続して点火の仕組みについて説明していこうと思う。 まずは1番最初に、点火プラグの役割とその構造を説明しよう。

#以下で、単に「プラグ」と書いてある場合、特に断りが無い限り点火プラグのことを指します。


●点火プラグの役割

ただ単に、プラグとも言いますし、スパークプラグとも言うかな?
ホントに簡単に言うと、 シリンダー内に送り込まれて圧縮された混合気を着火する役割をします。 普通は1つのシリンダーに1つのプラグが付いているのですが、 たまに1つのシリンダーに複数プラグが付いている場合があります。

#ロータリーエンジンにはひとつの燃焼室に2つプラグがついていますねー

昔はすぐにかぶったり、損耗して点火しなくなったりと、 こまめに点検、交換をしていたらしいですが、 プラチナプラグの登場により、10万Km無交換が当たり前となり、 プラグ交換なんてしたことある人のほうが珍しいんじゃないかな?

だからといって、プラグが楽な仕事をしているのかと言うとそうではなく、 ほんとはかなり過酷な仕事をしています。 それを知るには、もう少し燃焼室内のことを説明しなければなりません。

燃焼室内には混合気が入ってきて、プラグが着火するわけである。 そうすると混合気は燃焼(爆発)するので、当然、高音高圧となる。 プラグももちろんその影響を受けて電極部では約900℃まで達し、圧力も10気圧ぐらいにまでなる。
燃焼した混合気はエキゾーストバルブを通り大気に解放されるが、 その次の瞬間にはまた混合気が流入してくるわけである。 その混合気は約60℃で、1気圧。

この考えただけでも恐ろしくなるような環境で、 毎分何千回というサイクルで忠実且つ正確に着火を行っているわけである。 もちろんエンジン部品の中では最もきつい役回りである。


●点火プラグの構造

大体こんな感じである。とは書きましたがまだ絵ができていません。スイマセン。m(_ _)m

覚えていて損の無い部分は、電極部と絶縁ガイシ、ターミナルナットぐらいかな?


●点火プラグの熱価

点火プラグ内にある絶縁ガイシの大きさにより、 放熱の度合いが異なり、この違いのことを数値として表すために「熱価」という言葉が用いられる。

簡単に言うと、
熱価が高いと言うのは放熱量が大きいと言う意味でいわゆる冷え型、
熱価が低いと言うのは放熱量が小さいと言う意味でいわゆる熱型のことである。

なぜこのように、熱価を分けるのかと言うと、 プラグの温度を、正常な点火をする適正温度(約450℃〜870℃前後)に保たせるためである。

GT-Rを始め、スポーツカーのエンジンは出力が大きい。 エンジンと言うのは、熱エネルギーを仕事に変換しているため、 出力が大きいと言うことは、それだけ発熱量も大きいわけである。

逆に、カローラなどのファミリーカーは出力は低く、 また、常用回転数も一般的に比較的低く(これはドライバーによってばらばらだが)、 それ程発熱量は大きくない。

このように、エンジンの種類が多種多様であることから、 エンジンの発熱量も同じく多種類に及ぶ。 そのため、プラグを適正温度で働かせるために、 放熱度合いを変えてやり、 発熱量の小さいエンジンにはそれ程放熱しないプラグを、 発熱量の大きなエンジンには放熱しやすいプラグを用いる。

でないと、場合によっては 放熱しすぎてプラグの温度が低くてきちんと着火できずにプラグがかぶったり、 温度の上昇に放熱が間に合わず、電極部が溶融したりする。

ところで、どうやってプラグは放熱しているんだろう?
だってプラグは、エンジンに直付けされており、 頭は燃焼室に、お尻は電気が流れてくるプラグコードがささっている。 プラグコードから放熱することはあまり望めないので、 エンジン自体に熱を奪ってもらうことになる。

えっ? エンジンってもっと熱いんじゃないの?

いや、実はエンジン自体はそれ程熱くないんです。 混合気に着火した瞬間はそりゃー温度は高くなりますが、 それは局所的で、すぐに エキマニ → エキパイ とどっかにいっちゃって、 次の瞬間には大気とほぼ同温の新気が入ってきますしね。 それに、水冷式のエンジンなら、冷却液に熱を持っていってもらえますから。 常に高音の気体が通っている(タービンや)エキマニ、 エキパイなんかの方がよっぽど高音になります。

ちなみに、NGKや、DENSOのプラグの型番は数字が大きくなるにつれて冷え型で、 小さくなるにつれて熱型となる。
#海外のメーカーは逆の場合が多い


●点火プラグの点検方法

取り外して見る、ということはもうあまり無いとは思いますが、 手軽にできるメンテナンスですので、知っていて損は無いでしょう。 それにエンジンの状態をチェックするには点火プラグをチェックすることは欠かせません。 ということで、簡単に説明してみます。

点火プラグはエンジンのてっぺん(シリンダーヘッド)に付けられており、 プラグコードに繋がっています。そのプラグコードを引っこ抜き(結構力が要る)、 あとはプラグレンチを使って緩めてはずしてやりましょう。
言葉で言うと簡単ですが、実際にやってみても簡単です(笑)。

#ロータリーエンジンはそうもいかないのですが・・・(泣)

そして、電極部を見てあげましょう。

・真っ黒:
   かぶりぎみです。もっとエンジンをぶん回しましょう。
   もしくは、プラグを熱価の低いプラグに交換してはいかが?

・こんがりきつね色
   エンジン絶好調。

・真っ白:
   エンジンが壊れそうです。無理な運転をしていませんか?
   プラグを熱価の高いものに交換することも考えましょう。
の3つが良く言われるプラグの状態です。

あと、もしエンジンがかからなくなった時に、トラブルシューティングのため、 プラグからちゃんと火花が散っているかどうかを点検する必要が出てきます。

そんなとき、ある決まった方法があります。 それは、点火プラグを車体の金属部分にアースさせてセルを回(キック)して、 火花が散っているかどうか見る、という方法です。 (この時、もちろんプラグコードを付けてくださいね)
異常がなければ、電極部に火花が"バチバチ"と飛ぶことでしょう。


自動車を科学するメニューに戻る   TOPに戻る