点火系を科学するぺえじ(システム全体編)

点火系を科学する(システム全体編)

点火の仕組み、第2段です。
今章では点火系全体についての説明です。


ガソリンエンジンは、ディーゼルエンジンと違い混合気を着火して燃焼させなければならない。 (ディーゼルエンジンは自己着火である)
そのため、点火システム(イグニッションシステム)を構築しなければならず、 ガソリンエンジンでは大変重要な役割を担っている。

点火系は以下の各パーツから成り立っている。

・バッテリー
・イグニッションスイッチ
・イグニッションコイル
・イグナイタ
・ハイテンションコード
・ディストリビュータ
・プラグコード
・スパークプラグ
いつものように下手な図(4気筒エンジンだと思って)でも見てください。

下手な図

では、電気が流れる順に説明していきましょうか。


●バッテリー

電気を蓄えておくものですね。 また今度詳しく書くつもりなので、ここでは簡単に・・・。
乗用車は12V(ボルト)で、一部の外車や、トラックなどは24Vのものもありますが、一般的ではないです。 原付などは6Vのものもあります。


●イグニッションスイッチ

カギんとこですね。ONにすれば通電します。


●イグニッションコイル

昇圧装置のことで、 12Vのバッテリーの電圧を、電磁誘導により一瞬のうちに約2万ボルトまで高める。
ちなみに、

 「バッテリー」
→「イグナイターユニット」
→「イグニッションコイル昇圧前」

までを1次側電圧と言い、

 「イグニッションコイル昇圧後」
→「ディストリビュータ」
→「プラグコード」
→「スパークプラグ」

を2次側電圧と言う。


●ハイテンションコード

後述のプラグコードと同義で使われたりもします。 なので必ずしも上の図のように、ディストリビュータ上流がハイテンションコード、 ディストリビュータ下流がプラグコード、というわけではありません。

ちなみに又の名を2次コード、高圧コードなどとも呼ばれており、 イグニッションコイルで発生した高圧電流をスパークプラグに流す働きをする。
このコードに求められる条件は意外に厳しいもので、 まず、2万ボルトといった超高圧電流をロスをできるだけ無くして流せることや、 エンジンルーム内の熱に負けないこと、ラジオやオーディオにノイズを乗せない様にすることなど、 結構がんばりやさんである。


●ディストリビュータ

和訳すると「分配機」または「配電機」となるが、何に分配するかと言うと、プラグコードに高電圧電流を分配する。 車のエンジンは大抵4気筒とか6気筒と言った、マルチシリンダーとなるので、 各気筒にタイミング良く電流を供給しなければならず、 それを機械的、もしくは電子的に行う働きをする。

一昔前は、クランクシャフトから直接駆動させていた(ちょうどカムシャフト等と同じように)が、 最近はクラセンを内蔵して電子的に分配するのが主流の様である。
(クラセンだけでなく、イグナイターまで内蔵するものまである)

電子的にディストリビュートできるようになると、大きなメリットが 2つ出てくる。


●プラグコード

前述のハイテンションコードと働きは同じです。 ただ、こちらの名前のほうが良く聞くんじゃないかな?

ところで、よく雑誌に社外品のプラグコードに交換したら低速トルクがアップした、 とかなんとか書いてる記事を見ますが、それまで付いてたプラグコードが劣化していただけです。 純正新品のプラグコードに換えても同様の違いがわかります。 社外品のプラグコードと純正のプラグコードの違いがわかる人なんて、 そうそういませんってば。

ちなみに、ディストリビュータレスな点火システムだと、 イグニッションコイルからプラグコードが直接接続されます。


●スパークプラグ

こちらを見て下さい。


●イグナイタ(イグナイターユニット)

イグニッションコイルに電流を断続的に流すスイッチの働きをする。 スイッチ開閉のタイミングは、昔はクランク角センサーに直結していたが、 今は電子制御式燃料噴射が主流になっているので、 ECUからの信号でスイッチのタイミングが決まる。

「クランク角センサー(クラセン)」とはクランクが今どこ(どの角度)にあるかを教えてくれるセンサー

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