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 SR22 Project  ◆

〜2006.3月某日〜

前々から考えていたボアアップ計画。
これまで色々なパーツを試していたけれど、非力なSR20DE+重いヴァリエッタではどうにも満足出来る走り(勿論待ち乗りユースで)が出来ず、やはり抜本的なチューニングを施さないと改善は不可と思い、常々3通りの方法を考えていた。

1. ターボ化(ターボエンジン載せ換え)
2. S/C(スーパーチャージャー)搭載
3. 排気量UP(RB等に載せ換え含む)

これらの中で最も現実的かつ安価に出来るのは、恐らくS14あたりのSR20DETエンジンを載せる事。
しかーし! SRにターボなんてありきたりすぎ!ヴァリエッタオーナーでもターボ化をやってる人は結構居る(重要)。やはりレアな車に乗っているのだからありきたりな事やってもね! 何よりターボでは低速レスポンスが悪く、排気音も下品になりがちなので、個人的にはターボ化は無し。

S/C。良いですねぇ・・・。低回転よりラグの無い加給。SRに積んでる人は皆無(というより市販してない・笑)。NAチューンパーツがほとんど生かせる。正直コレがあれば何も問題無いのですが、Bee★Rで開発中であるものの、今現在市販されているものは無いため、残念ながら選択肢には入らない。(後に載せる事になるが・笑)

となると残された道は排気量UP化。RB25DEあたりを載せる事も考えたけど、ミッションやコンピュータも変えなければいけない、それとやはり設計的に想定されている以外のものを搭載するというのは、何が発生するか分からないため、怖くて手を出す気になれない。エンジン丸ごとという大物になれば尚更だ。
SRエンジンの排気量UPはこれらの選択肢の中では最も高価かつ、パワーアップも小さいが、方向性としては決して悪くない。もしかしたらこれだけでも十分に満足の行くレベルにはなるかも知れないという淡い期待、そして昨年末に株で一儲け(笑)したので、その資金を投入してSR22化を決意!

- ショップ選び -

そうと決まれば次にやる事はショップ選び。流石に排気量UPとかとなるとディーラーやオートバックス等に頼む事は出来ないので、信頼して頼めるお店探しです。
選定方法はやはりインターネット。県内、市内で良さそうなショップを探します。候補に挙がったのはS-Power,AGASTHIYA(現ライトニング),TESTAROSSA

恐らく全国的に有名なのはテスタロッサでしょう。以前Bee★Rへとスーチャーの話をしに行ったときにも、もし発売した際の代理店候補としてテスタロッサの名前を挙げていました。ただ、このお店は基本的にはGT-Rのお店である事、有名店であるが故の不安。数多くの車を手がける中で自分の車をどこまで丁寧に接してくれるのか?そして超個人的にここは距離的にやや遠いのであえて候補から外す(笑)

次にS-Power。ここは冷却パーツで有名なARCの創始メンバーの一人、鈴木 力さんが経営するショップ。今回候補に挙がった3店の中では最も我が家から近く、実力的にもインターネット内での評判は良好。壊れない、とのもっぱらの評判。それと同時にお値段も良いとの噂も・・・?; ちょっと気になる事と言えば、やはりここも絶対的なパワーを追求する方向性のお店(もっとも、大半の店はそうでしょうけど)なので、自分のような絶対的なパワーではなく、訳の分からないこだわりを持って自分の考えでやりたい人の意見が通用するのかが不安ではあった。
とりあえず一度話をしてみようとお店を訪ねたのだが・・・・・・店が見つからない(T△T;
ここだろうと思われる場所を3-4往復したのだけど、どうにも見つからない。。。おかしい。。。
(後に発見したのだけど、何故分からなかったのか自分でも謎; 完全な思い込み?灯台下暗し??)
見つからないものはどうしようもないので、最後の候補店、アガスティアへと赴く事に。

アガスティアは近所で唯一のTOMEIのフルコン、REYTECの正規代理店として以前から知っていて、過去に一度行ってみようと思ったのだけどここもやはり入り口が分からず一度は挫折していたお店。(自分が方向音痴なのか?;)
ここは180SXを中心としてSRエンジン主体のお店。実績としてはTOMEI REYTECの代理店の他、2001年のオートサロンにデモ車出展、オートバックスのガライヤ製作にも関わっていたらしい?そして、個人的に何より気になっていたのが、 ターボエンジンのNA化。あるお客さんの希望でターボを卒業してNAチューンをするという計画に、大変興味を持って熱心に取り組んでくれたという店長さん。この人ならば、自分の特異な趣向に賛同して接してくれるかも知れない・・・。

今回はあっさりお店の入り口を発見し、相談をしに突撃! 店長のOさん(仮)と2.2Lにしたいとの相談をすると、やはり自分の感は的中♪とても興味を持って相談に乗ってくれました。あとこれは個人的に感じた事で、Oさんは仕事面以外の細かい部分での気遣いが良く出来ている人で、この人ならばいい加減な仕事はしないだろうと思わせてくれる方です。

- チューニングメニュー決定 -

ただエンジンの排気量を上げただけでは低回転のみ良い、吹け上がりの悪いエンジンになってしまいます。いくら低速レスポンスを重視する自分でも、それでは面白くありません。したがって、自分の目指す走りを実現するためのパーツをどうするか、後々S/Cの導入を視野に入れ、圧縮比をどう設定するか。簡単には決まりません。

3週間後、最終的に決定した仕様としては、低回転をやや削り、高回転の伸びを増やす方法としてTOMEIのPONCAM TYPE N(260°11.2mm)をチョイス。これならば極端なハイカムと異なり、低速も十分生かしつつ、高回転の伸びを期待出来ます。アイドリングもこれくらいなら全く問題ないでしょう。
圧縮比はOさんと十分相談し、鍛造ピストンで加給圧0.5k程度であれば圧縮比11あたりまでなら大丈夫だろうという事で、 ヘッド及びブロック面研0.2mm+メタルガスケット1.8mmを組み合わせ、圧縮比10.9と決定!これならばNAのままでもそこそこパンチ力のあるエンジンとなりそうです♪
これらをトータルに考え、目標値としてはノーマルを165PSとすると200〜210PSあたり。低回転も純正+αあたりの力を持ち、高回転では比較にならない伸びを目標とします♪

- チューニング前の健康診断 -

まずはエンジンチューン前にエンジンを含め、車のトータルチェックを行います。勿論、アガスティアさんで行いました。
ここで問題発覚!エンジンの圧縮が異常に低い!?要オーバーホール!?(T△T;;

シリンダ#1: 10kg・mm, シリンダ#2: 9.8kg・mm, シリンダ#3: 10.1kg・mm, シリンダ#4: 10kg・mm

通常、NAであれば13以上あってもおかしくないこの数値。明らかに圧縮漏れが発生しています・・・。
実はこれはターボ用EgベースのNAだったのか!?
・・・・んなわけないか・・・。

これが理由ではないけれど、今回のエンジンチューンは車両預け期間の兼ね合いより、アガスティアさんで保管してあった良好な状態のS15NAエンジンを使用してパーツを組みます。

- チューニング前の体力測定 -

折角エンジンに手を入れるのだから、チューニング前後でのトルクカーブ及びピークパワーを測定しておこうと思い、スーパーオートバックス静岡店にてダイナパックに乗せて体力測定。

ん〜。。 121PS、14.6kg・m・・・。
ダイナパックは元々厳しい数値が出るとは聞いていたけど、カタログ値165PS、19.6kg・mに比べ、40%近く低い値とは・・・。
とりあえず、これはチューニング後の比較値として使用するので、ここでの絶対値には大した意味はありません。(と自分に言い聞かせます。。)

- エンジンメイキング -

チューニング作業の細かい内容はアガスティアさんのHPでも取り上げられている為、ここでは作業単位での細かい紹介はしません(^-^;
アガスティアさんのHPでの作業紹介

今回使用したSR20DEエンジン。完全ノーマルのキレイな体?の状態♪
下ろされる元自分のエンジンは一体どうなってしまうのでしょうか・・・?

バラバラにされたエンジン。
まだ走行距離2万キロ程度のエンジンだそうですので、全体的にまだまだキレイですね。

左が純正クランクシャフトで右がTOMEIの2.2L用。これだけでパーツ代20万円くらいします♪
ぱっと見は純正は加工面が粗く、粗雑な印象を受けますが、設計者の立場から見ると興味深い部分が随所にあります。まず目に付くのが中央付近の肉抜き。純正では大きく肉抜きされていますが、TOMEIのものはされていません。TOMEIのものは500PS以上の大パワーも視野に入れているため、強度確保の為に抜いていないのでしょうけど、純正では軽量化の意味か、はたまた粗材費を浮かすためか・・・しかし、よくよく見るとフロント側の中央肉抜きは大きく取ってあるけれど、リア側の肉抜きはあまりされていません。恐らくは強度バランスか、重量バランスの問題だと思われます。このレベルでのバランス調整は手計算では分かり得ないと思うので、SR、少なくともS15のエンジン設計ではFEM解析か何かのCAE技術が使われている事が予想されます。

次に目に付くのが、TOMEI製のもののカウンターウェイトの幅広さ。通常この幅は90°以上の角度を付けてもバランス率の向上はあまり見込めないため、軽量化の意味も含めてあまり幅を大きく取らないのがセオリーですが、TOMEI製のものは明らかに100°以上の角度が付いています。効率が悪いとはいえ、大きくする事でバランス率は向上するのですから、TOMEI製のクランクシャフトでは滑らかに回転数が上がっていく様が想像されます♪ そして、カウンターウェイトの肉厚そのものは純正よりも薄い。トータルウェイトはTOMEI製の方が1kgほど重いです。この事から予想される設計思想として、 純正品は必要最低限の強度を確保した上で出来る限り軽量化し、カウンターウェイトのバランスやバランスがあまり良くないように思える肉抜きから予想するに、低速トルクを重視(カウンターウェイトのバランスや軽量化重視より)し、高回転ではシャフトが暴れ、アンバランスな応力が発生する事が予想されます。クランクシャフト一本の形状からも、SRエンジンが高回転向きのユニットでない、高回転を考えて設計されていない事が見て取れます。 一方、TOMEI製のものは重量やカウンターウェイトのバランスから想像するに低回転はあまり得意ではなく、高回転を目指した設計思想である事が形状より読み取れます。

コンロッドのオイルキャッチ部です。今回は極端なハイパワーを目指すわけではないという事と、ターボ用コンロッドでは重くて嫌だった、あとはコストの面よりNAの純正コンロッドをそのまま使用します。純正コンロッドではオイルキャッチ部が出っ張っており、効率良くオイルを受けるような形状になっているのですが、2.2Lキットを組む上で、鍛造ピストンとの干渉が発生してしまうので、この出っ張りを切除します。・・・本当に良いのでしょうかねぇ・・・?

2.2Lキットと組む上で、随所にこのような切除部位が発生します。

SRエンジンでは写真の部位に段差があります。設計者として信じられないくらい、左右の部品で形状が合っていません。。純正のヘッドガスケットはここの段差を黙認しているかのように、合わせ部にシール材がたっぷり付いています。ですが、それくらいで完全に埋まるわけも無く、純正のSRエンジンではこの部位からオイル漏れが発生しているものが多数あります。・・・正直信じられません。。。オイル漏れなんて発生したら、品質保証部から物凄いどやされるのに・・・(つдT ;)
・・・愚痴失礼・・・。

今回はこの部位は合わせた状態でヘッド面研するので、この段差は完全に無くなります。

面研後のヘッドです。とってもキレイ♪
ヘッド部分に良く見ると2という数字が彫ってありますが、これはランク分けされているボア公差のナンバーです。エンジンシリンダ内径などの公差の厳しいものだと、ラインで一発で狙った数字が出ないため、特定の公差づつ分けて番号を振っているのです。ピストンにも同様の数字を振ってあり、公差の合うものを選んで組んで行きます。ちなみにこのエンジン、全ての番号が2番、と凄い精度で出来ていました(^-^;

左が純正状態、右が2.2L済み状態。純正ピストンはピストンヘッドが真平らです。2.2LNA用のピストンはヘッド部が盛り上がっており、バルブリセスが彫ってあります。いかにもハイコンプピストンって感じで良いですね♪そして何より、面研、ボーリングした事より、見るもの全てがピカピカで気持ち良いですね♪

バルブも再研磨して新品のようにピカピカに♪

ほぼ組みあがった状態。完成までもう一歩!

ここで外装のお化粧♪ピカピカに♪♪

タペットカバーもボディと同色のブリリアントブルーに塗装してもらいました♪

完成! SR22DE! か・・・・カッコイイ!!!

かっこよすぎて鼻血出そうです。。。やヴぁい。。

 

- 断熱,防音塗料塗装 -

今回、エンジンを下ろすついでに、折角なので前々から施工したかったバルクヘッドの防音塗料を塗装してもらう事にしました。

今回使用したものはシスタコート。細かい仕様はHPにて参照下さい・・・。
色はどれも淡い色なのでそのままむき出しでは浮いてしまうので、どうせ上から色塗ってしまうつもりでいたので何でもよかったのですが、なんとなく出来るだけボディカラーに近い色を選びました。(今にして思うと中途半端に青い(水色)色よりも白か灰色の方が良かったかも・・・?)

左から順に、塗装前、シスタコート塗装後、上塗り終了後。
シスタコートはかなーーーり分厚く塗ってあります。スプレーで3-4回上塗りしてもらいました。場所によっては2-3mmは厚みあるかも・・・?
塗装中横で見ていたのですが、この塗料、マスクしていても吸ってると物凄い眠気が襲ってきます。危険なので塗るときは十分な対策をして下さい!

インテーク関係も塗ってもらいました。こちらは東亜システムクリエイトのイオンヒートカット。
吸気の大敵、熱をシャットアウトするのが主な目的ですが、ついでにマイナスイオン効果なんかも得られたら良いな、なんていう色気も考えて選んでみたり(笑
こちらは粒子が物凄く粗く、すぐにダマになってしまうので、茶漉しなどを使って塗装していただきました;

断熱、防音目的でボンネットにも塗りました。

更にはアンダーフロアにも!?個人的にもやや暴走気味だったな、と思える目に見えない部位のオールペン(苦笑
費用もかなり凄い事になってるので、人には絶対に勧めません(汗

これらの効果として、アイドリング音が物凄く静かになりました♪
どれくらいかと言うと、最も弱いエアコンの音が普通に聞こえてくるくらいです・・・。
ただ、アイドリング時の音が元々10だったのが5になったとすると、ある程度以上の高回転域では100ある騒音が95になったという感じで、高回転になるとやはりあまり変わったように感じません。でも、アイドリング及び低回転では明らかに静かになったのでかなり満足です♪

- 車両搭載 -

ハンガーを用いてエンジンを搭載します。
この時初めてエンジンマウントというものを見たけど、たったの2箇所のネジでエンジンが固定されているという事実にびっくり。
あれだけ振動するわけだ・・・。

搭載完了!やはりカッコイイ!!

感動のエンジン点火♪
シャラシャラ・・・ん?何の音だろう?
初めはハイカムか低粘度オイルのせいかと思ったけど、どうやら搭載したばかりのエンジンだと、タペット上部にまでオイルが上がってきていないために、メカニカルノイズが発生するようです。

そして約1000kmの慣らし運転の後、コンピュータセッティングとなります。

- e-manege Ultimate -

エンジンの内容がガラっと変わったので、当然コンピュータのリセッティングを行います。
これもOさんと散々相談しました。ECUを書き換えるか、REYTECで行くか、はたまた別の市販コンピュータを使うか・・・。
自分自身ROMチューンには興味があり、環境さえ整えば自分でセッティングをやってみたいという気持ちがあったため、家庭用コンピュータで書き換えの出来るREYTECはかなり魅力でした。ですが、それと同時にフルコンは純正のフェールセーフ機構なども殺してしまうため、乗り味としてはやはり粗雑になりがちで、いざという時に対応出来ないコンピュータになってしまうとの事でかなり躊躇していました。なので、初めはECU書き換えで、という話をしていたのですが、Oさんから思わぬ提案が・・・!

「良いものがありましたよ!TRUSTのe-manage!これなら純正ECUを生かしつつ、自分でセッティングも出来ますよ!」

願っても無い提案ですよ!!いや、正直自分の頭の中にはe-manageというのはあったのだけど、アガスティアさんはREYTECの正規代理店でもあったから、まさか当人からこんな提案来ると思っても居なかったのでこれは嬉しい誤算。

というわけで、搭載と簡単なセッティングのみ頼み、深い部分は自分でやる事にしました♪

搭載の様子はアガスティア(現ライントニング)さんのHP参照下さい・・・。 (手抜き)

細かいセッティングに関しては別途ページを作成します。。。

- チューニング後の体力測定 -

再度スーパーオートバックス静岡店へと赴く。チューニング後のフィーリングとしては、下は以前よりもちょっと良い感じ、上の方は良く回るには回るけど、圧倒的に速くなったという実感は無い。果たして数値的にはいかがなものだろうか?

141.3PS,16.1kg・m。前回比+16.6%。排気量的には8%UPだから、やや高回転振りのセッティングにした事を考えると妥当な数値なのかな?
ちなみに、前回の数値をカタログ値の165PSだったと仮定すると、190PSとなる。当初の目標値、200〜210PSからするとやや寂しい感じもあるけど、ほぼ狙い通りである。

前回と今回の補正後の値を重ね合わせてみると、下は前回よりちょっと上、5000RPM以上では前回より結構高い値となっているのが分かります。これは正に狙い通りでしょう(笑

 

- 総評 -

今回のチューニングは自分の狙いからするとほぼ狙い通り、成功したと言えるでしょう♪
ただ、これで満足行くか?と言われるとやや疑問符が・・・?
姉のRX-8と比較しても、かなり近づいた感はあるものの、まだ劣っていると思うし、やはりもう一踏ん張り欲しい所ですね。
だけど、今回のチューニングで今後S/Cを取り付けるにしても素晴らしい下地が出来たので、自分的には良かったと思います。:-)

 

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