1.音の種類と用語


音の種類
 「音の種類」といっても様々な観点による分類ができますが、ここではそのうちのひとつとして、音の高さ(ピッチ)がはっきりわかる音と、そうでない音という分け方を取り上げます。これらの正式な呼び方があるのかどうかわかりませんが、ここでは仮に前者をピッチ音、後者を非ピッチ音と呼ぶことにします。

ピッチ音
 ピッチ音の周波数成分は、foを基本周波数として、その整数倍(2×fo, 3×fo, ...)の倍音成分が上に並ぶ、右図のようになります。合唱(人の声)では母音および有声子音の部分がピッチ音となります。各倍音成分の高さは以下のようになります。
 foがC(ピアノの中央ハ音)だとするとfoに対して...
 2 × fo (2倍音) オクターヴ上のC
 3 × fo (3倍音) オクターヴと5度上のG
 4 × fo (4倍音) 2オクターヴ上のC
 5 × fo (5倍音) 2オクターヴと3度上のE
 6 × fo (6倍音) 2オクターヴと5度上のG
 7 × fo (7倍音) 2オクターヴと7度上のBb
 8 × fo (8倍音) 3オクターヴ上のC
 9 × fo (9倍音) 3オクターヴと2度上のD
 ...以下省略

上の表からもわかるように、音が1オクターヴ高くなると周波数が2倍になります。一方同じ高さの音でも、人が違うと声質が違う、同一人物の声でも母音によって音質が違う、あるいは楽器の違いにより音色(音質)が変わるのは、各倍音の強さの割合が異なるためです。またドレミファソラシの音階とは、このように倍音関係にある音の高さを組み合わせてオクターヴ以内に収めたものが始まりです。

非ピッチ音
 非ピッチ音の周波数成分は右の図のように、周波数成分がほとんど切れ目なく連続的に出ます。このような音は長く鳴らすとザーッという雑音のように聞こえるので、雑音成分という言い方もあります。合唱(人の声)では無声子音の部分が非ピッチ音となります。

音の用語

音域と周波数成分域
  • 低音域と高音域 ピアノでいうならば、より左側のキイほど低音域、右側のキイほど高音域と言います。相対的な言い方なので「周波数いつくから上が高音域」という言い方はできません。
  • 低域と高域 低音域の音であっても周波数成分として低い部分から高い部分まであります。そこで周波数成分的に低い部分を低域、高い部分を高域と言います。これも相対的な使い方です。

    音質の表現
  • 明るい音暗い音 イメージとしては、高域まで多く含む音をオーディオ装置で聞く時に、トーン・コントロールのTREBLEを上げた時に聞こえるような音を明るい音、TREBLEを下げた時に聞こえるような音を暗い音と言います。
  • 太い音痩せた音 イメージとしては上の逆で、低域まで多く含む音をオーディオ装置で聞く時に、トーン・コントロールのBASSを上げた時に聞こえるような音を太い音、BASSを下げた時に聞こえるような音を痩せた音と言います。
  • 素直な音癖のある音 イメージとしては、平坦な特性のオーディオ装置にて聞いた音を素直な音、あるところにフォルマントがある特性(長い筒を通して音を聴いた場合など)で聞いた音を癖のある音と言います。