通路奥
 
なぜ、わたしは、あの男と組まなければならないんだろう…?
あ…あいつは…今まで何度も、敵として私の前に現れてきた…。
リング上の戦いとはいえ、あいつを本気で憎んで戦っていた。
なのに急に、あの男とタッグを組め、だなんて…。
マネージャーは何を考えてるんだ…?

…だめだ…いっしょに戦える気がしない…。

男   :「おい」

…!キロール!
気がつくと、そばにあいつが立っていた。

キロール:「そこで何してる?」
女   :「なにって…、考え事してるのよ」
キロール:「ほお。戦いの前に考え事たぁね。お前、作戦なんて考えんのか」
女   :「ち、違うわよ!
      なんであんたと組むことになったんだろって考えてたのよ」
キロール:「そんなこたぁ、この大会の主催者さんに聞きなよ。
      俺だってやりたかないぜ。お前みたいな、マジメでつまらない
      戦い方しかできないヤツなんかとよ…」
女   :「なんですってぇ…?」
キロール:「へへへぇ、怒ったか。
      でもな、お前のマネージャーがこのタッグ試合を受けたのは
      これからのお前の戦い方を考えてのことだぜ」
女   :「なんで知ってるの…?」
キロール:「ただの想像。んなもん、考えりゃ分かるぜ」
女   :「………」

なんで、あんたにそんなことが分かるのよ…。
わたしは、あんたのこと全然知らないのに…。

スタッフ:「そろそろお願いします!」

 
通路先のスタッフ
 
通路の出口の方から、大きな声がかかった。

キロール:「だとよ…行くぜ」
女   :「うん…」

会場への通路を並んで歩く。
会場の光が近づくにつれ、人々の歓声が大きくなる。
そして体全体が光に包まれたとき、大歓声へと変わった。
わたしはこの瞬間が好きだ…。

二人でリングに上がる。

レフリー:「本日のメインイベント、ファイナルバトル!
      スカルハーツ、バーサス、エンジェルブリンガー!
      タッグマッチの時間無制限。先に2人とも戦闘不能になった方の
      負けとし、勝ったタッグに賭けた人への配当となります」

…賭博試合だ。わたしも、こういうのに出るようになってしまうとは…。

キロール:「ほらぁ女、コブシを前につきだして…」
女   :「!?…はぁ?」
キロール:「オレみたいにコブシを握って、親指を下に突きだして…そう」

あぁ、相手への屈辱のポーズね。
でも、そういえばわたし、今までそういう事したことなかった…。

キロール:「まっ…、オレはこうするけどな」

 
キロール、"FUCK YOU"
 
うわぁ…しゃがんで中指突きだしてるよ。はずかしい…。

キロール:「へへへ。やつら怒ってる怒ってる!キャハハー!」

………。でも、ちょっと面白いかも…。

キロール:「こまけーことウジウジ考えたってしょうがねぇだろ?
      とりあえず、これからの戦いを2人で楽しもうぜ…、な!」

なんだ…。こういうやつだったんだ…。
ふっ、ますますこいつが分からなくなったわ…。

『カーン!』 ゴングが鳴った。

キロール:「いくぜ、女!」
女   :「それとね!わたしの名前、ちゃんと覚えてよね!
      ”ウィニア”っていうのよ!」
キロール:「んーなの、どーだっていいよ…」

わたしも、これからの一瞬を楽しむことにする。

 
ちょっと微笑む
 
 
 

う…うわぁ、はずかしい…。特に最後の方(笑)。
前回の「舞台裏」と、イラストだけでは繋がらない
気がしたので、一応文章を載せてみました。
文章、考えを至らせて書いたつもりだけど…。
なんか、ありきたりな内容ですいません(汗)。

やっとキロールを正式登場させることができました。
ちなみにキロールの初登場&設定は「らくがき」
の方にあります。たいした設定じゃないけど…。



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