Dance Tune

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 踊るための音楽です。別に珍しいものでは無いですよね、世界中のどこに行ってもあるもので、ワルツやタンゴもこの仲間ですね。また、ワルツやタンゴなんかがそうであるようにアイリッシュやその他のケルト圏のダンスチューンもダンスの伴奏につかわれるだけでなく、その音楽そのものが純粋に価値を持って鑑賞の対象となってきました。音楽とは付加価値から出世して音楽になるんでしょうな。クラシックなんかみればわかりますが・・ってこんな話はええか。

Irish Dance

 アイルランドで最も特徴的なダンスといえば上半身は使わず足だけで踊るあのステップダンスでしょう。ダンスといっても単に飛び跳ねるのではなくステップで鳴らす音がパーカッションになってるんですよ。よく知っているダンスにそんなのありますな。そう、タップダンスやフラメンコ。どちらもあきらかにダンスでありながらパーカッションでもある。特にタップはアイルランドからアメリカに渡った移民たちが持ち込んだアイリッシュダンスが原点という話。似すぎるぐらい似てますしね。このアイリッシュステップダンスがうまれた背景というものがあるんですがまあそれはまたそのうち。


Dance Tune

どんなもんがあるかちょっとだけ紹介。かなりいいかげんです。文章で説明しても結局聴いてみないとわからないんですけどね。で、説明については CD を聴いた範囲ではこう思うということなんで、参考程度に。

jig

ジグ。楽譜にすると8分の6、12で記され、それぞれシングルジグ、ダブルジグといいます。一般的に8分の6は2拍子ってやつで1、4拍目を頭に数え、同じように8分の12は4拍子にかぞえます。しかしこのジグってやつは単純にそう数えるとすごく違和感を感じます。どうというのは言えないんですがダンスのステップの音なんかが入るとうへーってな感じでクラッシック畑の私にはこりゃ8分の6や12じゃ無いぞ、と思えてしまうんですな(そういえばウィンナーワルツなんかきっちり4ぶんの3じゃないし、アンデスのフォルクローレもへんな拍子だったりしますよね)。

まあ頭拍の考え方は間違いではないんで(実際演奏する時はその拍で足踏みして拍子とったり、その拍を強調したりする)とりあえず最初はそのまま数えてみましょう。私は結局どうすればしっくりくるか判らないんでそのまんまやってます。

slip jig

ジグなんですがこれは8分の9で書かれ、つまり3拍子ということになります。同じ3拍子のジグにホップジグというのもあります。同じものなのか違うものなのかはよく知らないのですが、ホップというからやっぱりホップな感じなんでしょうね。 一応私は区別してませんが、スリップジグと明記してある楽譜なんかはあまりダンサブルではない曲が多いように思います。

 

 

reel

ハードロックばっかり聴いてた私には最も好きなチューンです。基本的に4分の4拍子で標記され、8分音符を中心に動きます。裏拍にあたる2、4拍目にアクセントをおくことが多くロックっぽいのりを感じます。演奏する時奏者は1、3拍目にステップで拍をとることが多く、裏拍でとる人は見たことがありません。4分音符ごとに踏む人もいますが貧乏揺すりみたいでちょっとね。ちなみにライブなんかで裏拍で手拍子なんかされるとめちゃくちゃひきにくくなるのとちょっとのりがかわるのでやめましょう。

Hornpipe

楽譜はリールと同じく4分の4拍子で、ぱっとみるとほとんど違いはありません。楽譜上の違いを強いて言えばホーンパイプの曲は跳躍の多い曲が多いように思いますが、これはなんとなく程度で跳躍が全然ない曲もあるし跳躍の多いリールもたくさんあります。ところがいざ演奏するとなるとこの2つは全く違うものと考えないといかんのです。ホーンパイプの明確な特徴はまず必ずズンカタッカという感じではねた演奏をします(最初からそういうリズムでかいた楽譜もある)。これ自体はリールも軽く跳ねることが多いので似ていますが、リールとの大きな違いはアクセントの位置です。ホーンパイプはあきらかに頭にウェイトのあるひきかたをします。いなたいですが楽しい気分になります。

 

 

とりあえず上にかいたのがよく耳にするもので、上記以外は私自身あまり知らないのでやることが少なく、出版されている楽譜なんかでもあまりたくさんのっていません。ということで以下はもっと雑な説明で、もっとええかげんです。

polka

ヨーロッパ各地で聴かれるあのポルカで、クラシックでもよく登場します。発祥はよく知りませんがイギリスを通じてアイルランドに伝わったものだったと思います。4分の2拍子であまりのりのりなものでは無いと思っていたんですがバウロン(その他の楽器参照)を16分音符でダコダコやると聞いてやってみると結構激しいものになりました。ま、結論はよくわかってないということで・・・。

mazurka

walz

どちらも4ぶんの3拍子で標記されます。ワルツはみなさん御存じのとうりズンチャッチャです。マズルカは、ワルツが1拍子に近い数え方をするのに対し、マズルカははっきりと4分音符のビートが感じられます。8分音符が特徴的な動きをしていますが聴かないとわかりませんな。よくわかってません。

 

 

strathpey

リールから派生したと思われるスコットランドのチューンです。なんというか流れが悪く直線的というか鋭角的というか・・・にわとりにたいな感じです。いかにもスコットランドといった感じです。ちなみにストラスペイって地域名やと思います。スペイ川ってあるしそのへんでしょうな。

highland

これもスッコトランドのもん。楽譜上はたぶんホーンパイプと同じだと思いますが実は楽譜見たことありません。ホーンパイプと似ているんですがアルタンのアルバム聴いた限りではホーンパイプとは逆で裏拍にかなり重いウェイトがあり、あまり前のめりな感じはしません。たぶんリールから派生したんじゃないでしょうか。これも地域名ですな、地図にあります。

 

 

全体について。楽譜とは便宜上のもので記されたものと実際演奏されるものとはかなりの違いがあります。少しジグで書きましたが拍子自体かかれたとうり感じると全く違うものになるし、リズムも楽譜にできないとりかただったりとやっかいなことがたくさんあり、またクラシック以外ではあたりまえのことですが楽譜どうりの音をずっとひくということはありません。まあこれからやってみるという人はまず耳コピから。

 

とりあえず以上。気が向けば増やしたり直したりします。


地方性

 もともとどんな音楽でも個人差というものがあり、アイリッシュトラッドも例外ではないんですが、その演奏スタイルの地方性をクローズアップして聴いてみると結構おもしろい発見があるかもしれません。地方性というのはその土地ならではの特徴で、私らが一口にアイリッシュといっても同じアイリッシュとは思えないぐらいの違いがあります(アイリッシュに限ったことではないですが)。それは単純にひきかただけの違いではなくどこにこだわっているかなどの違いが見えてきます。誰が聴いても違いのよくわかるクレア地方とドニゴール地方のフィドルをちょいと比べてみてください(CDさがそう)。

クレア : マーティン=ヘイズあたりがよろしいかと

ドニゴール : アルタンかな。

 聴いてみると表面的な違いがよくわかると思います。北のドニゴールスタイルは(私が聴いた限りでは)ダンスチューンなんかでは他の地方に比べて装飾を左手より弓でいれる傾向にあり、又スラーを多用せず弓をかなりマメにかえすひき方をしています。悪くいえばギコギコやるわけです。それからアクセントなどをかなり強烈に入れる人が多いように思います。右手左手の強烈なアクセントや装飾でリールなんかのドライブ感がすごく、まるでメタルを聴いてような・・・ノリノリですな。

 西アイルランド、クレアの音楽は日本ではかなり好まれてるようで、同じダンスチューンを比べてみると一様にみなさん静かです。繊細といった方が良いでしょうか。ノリもんでもなにかこう正装をして踊っているといった落ち着きがかんじられます。実際装飾的な音が他の地方と比べて極端に少なく、アクセントなどあまり強烈につかわないようです。表面的にはおとなしい、穏やかな音楽という感じです。

 とこんな感じの違いがあるんですがあくまでこれは表面的な違いを書いただけ。聴いてどう感じるかは又別の話ですし感じ方は人それぞれですからね。まあ、聴いてみてください。他の地方の音楽もね。またそのうち更新します。

*スラー:音をつなげるという意味。ヴァイオリンの場合弓をかえさず、同一方向に動かしながら左手を動かす。

 

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