「パパドンゆるしてワン」の巻


その日

いつもは閉まっている
パパドンの部屋のドア
開いていた。


この部屋は入っちゃダメ
と、いつもいわれているんだけど、
入っちゃダメと言われたら
入りたくなってしまうもの。

ボクは、
あたりに誰もいないことを
確認してから
こっそり
パパドンの部屋に入った。



そうしたら

そこには、これまでかいだこともないような匂いの
機械や楽器がいっぱいあった。


ボクは夢中で
それらの匂いをかいで回った。

あんまり夢中になりすぎて、
気がつくとボクは
機械に
オシッコ
ひっかけていた。



あわてて途中で止めたけど、
機械はもうすでに
びしゃびしゃになっていた。




えらいことしちゃった。
ど、どうしよう・・・。

ボクはあわててその部屋を出て
いつもの部屋にもどって
ソファーの上で
寝たふりをした。




その部屋に、
いきなりママポンが入ってきた。


ボクの心臓はドキドキ。

でもママポンは
何も気がついていないようで、
ボクのとなりにすわって
本をよみはじめた。



ボクはひたすら
寝たふりをつづけた。


しばらくすると、
パパドンが部屋にはいってきた。


ボクの心臓は
バクハツ寸前!!

が・・・

パパドンはきげんのいい声で、
「お散歩に行こう」
と言ったのだった。



まだバレてないらしい・・・。

もしかしたら
このまま一生バレないかもしれないぞ。
オシッコが乾いてしまえば
こっちのものだ。


ボクの胸に
一筋の希望の光が射し込んだ。


ボクはいつものように、
パパドンとお散歩にでかけた。

パパドンはこの日は
とくにきげんがよくて、
遠くの公園まで
連れていってくれた。

幸せだった。

この幸せが永久に続くことを
ボクは祈りつづけた。



お散歩から帰ったあと、

ボクはとっても気分がよくなって
ソファーでうとうとし始めた。


その時だった。


「このバカ犬〜!!」

という
パパドンのどなり声がした。


ボクはびっくりして目をあけた

すると、パパドンが
鬼のような怖い顔
ボクをにらみつけていた。



バ、バレたんだ・・・。

ボクは体中の血
一気に
ひいていくのがわかった。


そのあと、
パパドンに
ボコボコに怒られたことは、
ゆうまでもない。


ボクがおしっこをかけた機械は
パパドンがとっても大切にしていた
高いもので、
ボクが
オシッコをかけたせいで
こわれてしまったらしい。


パパドンはその後、丸一週間、
ボクと
口をきいてくれなかった。

その間、ボクは
身が切られるような思いだった。





パパドン、ゆるしてワン。(涙)


おわり

絵/文 ママポン


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