なぜ、養殖モノのカブトは小さいのか?

’99−’00世代も元気に発育中。

カブトムシは「普通に」飼っていると、容易に卵を産む。読者の中にも、卵を孵した、もしくは卵から育て、翌年無事成虫にした、という経験をお持ちの方も多いかと思う。

筆者も、毎年30〜50匹を育て、いま5世代目が3令幼虫として秋を迎えている。

子供も可能なカブトムシ飼育。しかし、そこには容易に解決できない問題が存在する。

「幼虫が大きくならない!」

幼虫が大きく育たねば、当然成虫も大きく孵らず、「あら〜、小さなカブトムシ」となってしまう。実際、夏の店先を飾る「養殖モノ」のカブトムシも、「一般の方」が孵したカブトムシも総じて小さい。

これは、すべて幼虫時代の栄養不足に起因しているのだが、実は筆者もこの問題を解決するまで3世代を要した。 

「オカシイ、おがくずも、腐葉土もペットショップで買ってきたのに…」何度も繰り返したせりふだ。

実は、カブトムシの幼虫は、おがくず、腐葉土そのものを食っているのではなく、バクテリアがそれらを分解したものを食べている。よって市販のおがくず、腐葉土には、バクテリアが存在せず、カブトムシを大きくするという目的においては不可となる。

じゃあ、何がいいのか?「有用バクテリア」をキーワードに探してみると、意外なものが浮上してきた。

「クワガタの幼虫のたべかす」

これが、功を奏した。湯気が出るような腐葉土の中に眠る「天然モノ」の幼虫ように、大きく育った。バクテリアが分解した栄養分が、まだ充分残っていたのだろう。

その他、効果があったもの。オオクワの菌糸ビンの食べかす。これは前記した、普通のクワガタが食べ残したおがくずより、更に効果的だった。

早期に肥大化するという点において、これに勝るものはないのだが、注意しなければならない点が一点だけある。菌糸自体はいれないこと。オオクワが食した、菌糸の白が「茶色」になったものだけをいれること。

去年、これを誤り、ケースごと幼虫を死なせてしまった。菌糸が劣化し、オガクズもダメにしてしまった。これだけを注意すれば、満足いく結果が得られると思う。

しかし上記した2つのモノには量に限度があり、大食漢のカブトの幼虫を満足させることはできない。そこで不足分を補うのが、「薄力粉」を5〜10%入れたオガクズだ。

普通のクワガタの幼虫はこれで充分、筆者宅のヒラタ、ノコもまずまずの成果を上げている。

「クワガタのたべかす」「菌糸ビンの残りかす」そして「薄力粉入りのオガクズ」これら3つを使い、定期的に糞を取り除き、補給する。これで来年の夏は、天然モノに見劣りしないカブトムシが誕生するはずだ。

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