さらば第二トメアス

 今日は,午前中半日のみの観察の後,バスでベレンへ向かう予定である。軽い朝食を済ませ,再びいつもの沢に向かう。またトラップにフクロウチョウが来ていないか,と調べたが,残念ながら何も来ていない。トラップは熟成期間も短く,量的にも足りなかったようで,ほとんど効果はなかった。ふと,沢の脇から入った林の中の小さな日だまりに輝く小さな美しいシジミチョウ,すぐに飛び去ってしまったが,すぐに戻ってきた。裏面は独特の斑紋で,表はフジミドリシジミのような輝き。その個体がいなくなったと思ったらすぐにもう1頭,別の個体が現れた。もう,思い残すことはない。満ち足りた気分で沢から戻り,シャワーを浴びて出発の時間を待つ。

 南部さんの奥さんが,私が来てからすっかりイヌの行儀が悪くなったとこぼしていた。南部さんの家には3匹のイヌがおり,生まれて7カ月のサンボは,茶色い母犬と,ドーベルマンの血が入った黒い父犬の間に生まれた子である。生まれた直後,母犬の乳があまり出なかったので,ミルクを与えて育てられ,そのせいか,それともまだ子犬のせいか,とてもひとなつっこく,すぐ膝に前足を載せる。私は口では怒っても,実際は全然怒っていないことは犬にはお見通しのようで,うっかりすると,膝の上に乗って来て,顔をなめようとする。最後のお別れに,犬達にカロリーメイトを少しずつ与える。さすがにバランス栄養食だけあって,これは気難しそうな父犬も喜んで食べていた。

 バスが出るのは,第二トメアスから1時間弱のトメアスの十字路である。二ッ森さんの運転する車に南部さん,二ッ森さんの家に泊まった四人が乗り,南部さんの運転する車に二ッ森さんの娘さんが乗り,予定時刻より1時間近く前に着いた。製材所など,市内を時間まで案内していただき,バスに乗り込む。行きの車はトメアス村内を通らなかったので,村を見るのは初めてで,意外と多くの人が住んでいる。近くに戦前からの日本人の入植地もあるという。しかし,町中には日本人の姿はほとんどない。町に住んでいる日本人はほとんどいないそうだ。

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