1.ブラジルヘ(2月5日

 19:00発のロサンゼルス経由のサンパウロ,リオデジャネイロ行きの飛行機が定刻どおり成田を出発する。いよいよアマゾンに向け出発。まだ旅は始まったばかり,今やっと日本を出るのだというのに,奇妙な達成感があった。

 アマゾンという言葉にはいろいろな思い入れがある。有馬記念で二着に入り,30万円ほど損をさせてくれた名牝ヒシアマゾンはともかく,アマゾンは昔からの憧れであった。そんな古い話は別として,今回,アマゾンに行こうと決めてからのさまざまな紆余曲折を思い出す。

 まず,ホームページでアマゾンでの蝶採集経験のある人からの情報を待った。3カ月ほど待ったが,応答は0。いつも思うのだが,インターネットは確かに普及してきたし,そこで得られる情報の量は確かに膨大であるが,質はまだまだ玉石混淆で,大きな本屋に行って書物を調べた方がよほど確かな情報が手に入ることも多い。本当にそれぞれの分野で一流の人間は,ホームページを作ったり,ネットサーフィンなどをしている暇はなく,それぞれの分野のことだけに専念しているのだろう。アマゾンで採集経験のある人はいても,その人たちが私のホームページを見つけ,情報をくれるまでに何年かかるかわからない。 

 次に,アマゾンのエコツアーを企画している旅行会社にメールで尋ねる。何度目かのメールで,「蝶の採集は違法なので(illegal)できない」という返事。この会社の施設の中での私的な決まりではなく,ブラジル全域でだという。

「採集禁止ということは,種の同定,したがって,まともな研究は一切できないということだ。未知の知見の眠る広大なアマゾンで,そんな馬鹿げたことがあるか」

 喧嘩腰の英語のe−mailに,軽くいなされてしまった。

「君の言うことは理解できる。ブラジル政府の環境局に問い合わせてくれ,そのうえで,君の旅行のサポートをできることを希望している」

 指定されたところにメールで尋ねたが,何の応答もなかった。ここで,一つの糸が切れてしまった。

道が開けるに進む  

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