■第9回 ニクラスさんについて■

ということで、何か状況が動いたら出そうかなと思ってちまちま書いていたんですが、今後載せるのも嫌になる可能性もないとはいえないので(涙)、今のうちにまとめて一回出しておこうと思います。トビーの時と同じように夏からのいろんな想いのまとめがメインなのですが、トビーの以上にロングでヘビーなので、いよいよ暇な方だけどうぞ。

私がニックを始めて個人の選手として意識したのは、W杯が終わってずいぶん時間がたってからになります。7月になって、アンデシュメインでいろいろスウェーデン代表の記事を読んでいたときには、あくまでも代表メンバーの1人としてみてたぐらいで、彼の個人的な動向は全く気にしていませんでした。なので、W杯後のプレシーズンマッチのエバのスケジュールも全然頭になかったし、そのプレシーズンでニックがどういう状態だったのかも、一切わかっていなかったりします(今でもプレシーズンの記事とか見直していないのでわかっていない・・・プレの頃から今にいたるようないろんな兆しが実はあったんだろうか)。

そんな私が目を彼にとめたのは、シーズン開始直前の8月からスカパーで始まった、2001-2002シーズンのプレミアハイライトの再放送&ベストマッチ再放送でした。といっても最初はぼんやり見てた程度だったんですが、そのハイライトの最後数週間分ぐらい、エバに割いてる時間が妙に長い時が続いていたんですね。今に思えば降格ゾーンから脱出するあたりだったからかもしれないのですが(苦笑)。そんな中、多分、昨年度のニックを見てる人だったら誰もが覚えてる試合であろう3月のボルトン戦のハイライトがありました。この試合のニックってめっちゃよい状態だったんだと後で知りましたが、そんなこと当時の私は知る由もなし。けれどそんな素人目でもわかるぐらいにいい感じだった記憶があるので、「アレクサンデション(←まだ当時は名前の方を呼ぶ意識もなし!)ってこういう感じの選手なんだー、いいかも!」という感想を持ったのが最初です。

このシーズンのエバは最終戦がアーセナルで中継があり、しかもこの試合は各国の代表メンバーが決まった後の試合なため、結構スウェーデン代表ということでニックを映像で抜いてくれてる場面も多かったような記憶があります。すでにアーセナルが優勝決まっていたので、フレディは控えだったんですよね。この試合のニックの出来とか、実は内容を全然覚えていないんですが(今に思えば録画しておけばよかった!アーセナルもエバも前のシーズンのユニフォームのが好きなので・・・あの群青色だけでも今期に引き継いで欲しかった)、解説が金子氏で、割とほめられてたようなうろ覚えな記憶があります。これぐらいの頃に初めて「もしかしてこの人、めっちゃ男前なのでは・・・」とかも思ったような。ここまで全然ルックスなんぞに目を配っていなかったんでしょうね、W杯のビデオも今見ると「ほんと、かっこいいな」とか素直に思えますが、当時は見るべき部分としてはルックスは二の次だったと思われます。まあ、見る人だったらイングランド戦ぐらいで既に「お!」とか思うものなのでしょうね。誰が見てもかっこいいというタイプというか、さわやかさん、U21の頃の写真とかないのか?!とかミーハー魂がちょっとだけ騒ぎます。バルセロナのオリンピック出てそうなので、そこらあたりが探すならねらい目?個人的にはEURO2000の頃のスナップが好きかも(今は今でいいけれど)。

というわけで、アンデシュやフレディも楽しみだけど、ニック見るのも楽しそうだ!と思いながらプレミアのシーズン・イン。ちなみに当時はトビーもノーマーク。トビーに意識がいくのは、このシーズン・イン後の「試合に出さないなら移籍させてくれ」と言ったとか言わないとかのあたりから、やっぱり名前でよぶという意識がなくて「リンデロート、大丈夫かな」とか思っていたり(苦笑)。そんな開幕試合、フタをあけてみたら思いっきりスタメンじゃなくて「あれ?」とか思いはしたんですが、途中からは出場してるし、中継もないので状態はわかんないしで、この時には全く危機感を私は持っていませんでした。まあ、スタメンの日もあれば途中交代の日もあるよねぐらいで。なので8/21の親善試合、9/7のラトビア戦ともに、代表チームそのものに対しては「今ひとつだなあ」と思って憂いてはいたんですが、ニック個人を憂うことは9月になってもありませんでした。憂うとすれば9月半ばぐらいに「トビー、全然出れないよなあ」とトビーをむしろめっちゃ心配していたかもしれません(結構当時はスウェファンの他の人もそうだったと思います)。

そんな私が「ちょっとまてよ」と思い始めたのは9月末のフルハム戦を欠場するあたりから。軽い怪我と体調不良が重なってしまってフルハム戦、ワージントン、マンUと3試合連続でトビーとともに欠場が続いてしまったままのEURO予選の合宿に突入。それでも代表では大丈夫だろうと楽観していたときに、ふいに若手さん(キムをはじめ数人)が代表キャンプで頑張ってるぞという記事が目に飛びこんできました。この時期になると、夏からちまちま勉強していたスウェーデン語が少しは成果が出てきてるのか、比較的記事に書かれてることも辞書と格闘しながらも、ある程度理解できるようになってきていたので、10/12の前には試合に際しての結構な数の記事に目を通していたんですね。するとaftonbladetのページ内に掲示板があって、そこに現地の方がスタメン予想をしてたりしたのを発見、ついつい覗いてみたら・・・圧倒的にニックとトビーをはずせという考えの人が多かったんですね。「ええ?そういうものか?」とか不安に思いながら迎えた10/12のハンガリー戦の結果はあの通り。そして一斉に出た「ニックをなぜスタメンで使う!」といった論調の記事。「W杯の頃にあれだけ持ち上げといて、よく言うよ」と内心憤りを覚えつつも「これは本当にまずいことになってきてるのでは!?」と私が本気で思ったのは、この時からだったと思います。しかし確かに状態悪いなとは思いますが、あそこまで辛辣に書かれるほどかというのは今でもあったりして。もちろん私の欲目もありますけど。せめてチームが勝っていたら、もう少し違ったのでしょうね、ああ、あと雨が降ってなかったら・・とか・・(言い出すときりがない)。

そして、こういう状況の10/12のEURO予選の後、立て続いて10/16には親善試合ポルトガル戦があったというのもなんだか凄いことのような。つまり、あの散々なEURO予選の後も代表合宿は続いていたということで、選手達も当然新聞の論評とか見てると思うんですよね、それってめっちゃきつい状況なような。まあ、普段の時は報道によって持ち上げられても叩かれても、結構選手たちはうまくかわしてるなと日々思っているんですが(持ち上げられた質問された時のアンデシュの冷静なかわし方が、私は結構好きだったりします)。一体、10/16のスタメンとかメンバーってどうなっちゃうんだろう?と思ってしまっていたので、ふいに3-5-2というフォーメーションの話が出たときには、びっくりしました。どういう意図だったのか結局詳細はわかんないままでしたが、監督さんの頭のどっかにはニックをそれでも外さないようにするというのはあったんじゃないかなと思っています。なので「そんなにニックがお気に入りなのか」という感じの記事が出ちゃうのは、最もかなとも思うんですが、監督さん達がずっと代表でやってきた彼を「なんとかしてやりたい」とかばう気持ちもとてもわかるような気が。この10/16って中継なし、採点結果もでないわで、全然どんな感じの試合だったかがよくわかんないので、ニックは本当のところどうだったんだろうというのは実は今でも知りたくもあります。多分MF5人の中でも後列っぽいなと思ったんですが(メルベリの前ぐらい)、それでよしとするか、もっと前に行けとするかで評価が割れてる感じです。

そんな代表戦が終わって、再びリーグ戦。ベンチには戻ってこれたものの、試合に出れない日々が続いて、見てるこっちも「誰かなんとかしてあげて!」と苦しくて死にそうだった10月後半でした。この10月ってエバは4週連続でずうっと中継があったんですね。でもまさかその4週で一回も見れないとは私は夢にも思いませんでした。エバのチームスケジュールを9月半ば頃に確認した時に「これからフルハム、マンU、アーセナル!あと、ちょっと待てば中継で見れる!」とわくわくしてたんですが、まさかその10月にこんなことになるとは夢にも思いませんでした。この頃の救いといえばトビーが鮮やかにポジションを確保しつつあったことでしょうか?あれがなかったら本当にもう見る気力がなくなっていたかも(このあたりの詳細はトビーの方で。そんなトビーも故障中ですが(涙))。チームが非常に調子よく、ニックと同ポジションのカーズリーがこれまた非常に調子よく、「今はどうしようもない」というのは頭では嫌ってほどわかっていたんですが、それでも本当に見ているのが辛かったです。いっそ「エバなんてもう知らない!」と言えてしまえば楽だったのかもしれないけれども、エバというチームを8月の下旬から、きっかけはニックとトビーを見たいということではあったけど、ずっと応援しながらここまで見てきて、せっかく選手を覚えて好きになってきつつあったからこそ、チームそのものをどうだこうだとは言いたくなかったし、カーズリーの不調を願うなんてことも絶対にしたくありませんでした。なので、辛いなあと思いつつも、エバの順位がどんどんあがっていくのを嬉しさ半分、辛さ半分で見ていました。

そんなこんなで時間が流れ「もういいかげんどうなってんだ!」と私が日記でキレる直前になって、故障で離脱ということになるわけです(ニックもきれる限界まできてた感じだったと思います)。最初に思ったのは「4週間ずっとってことは、最初に9月末頃に聞いた故障をずっとひきずってたってこと?」。本当にそうだとしたら、代表戦は無理してたのかもしれないなと、ふと思います。真剣勝負の予選で、故障者が無理して出るのはチームのためにならないことだと理性では思いますが、トビーが昨年度から出れないときに事あるごとに漏らしていた「代表でのポジションを失うことが怖い」というのはニックの中にもあるんでしょうね。彼らは本当に代表である自分というのを大事にしたいと思っていて、だからこそついついそういう言葉を漏らしてしまう、それが時としてクラブチームのサポーターのカンに触ってしまうというのは、彼らの気持ちもサポーターの気持ちもどっちもわかるだけになんともいえません。

そして、そんな故障の一報を聞いてから、そろそろ3週間になります。当時は「少なくとも二週間は休みが必要」と言われてましたが、ここにきても余り状態は思わしくない模様。進展があるわけでもないので、ニュースにもならないし、ちょっと前とは違った意味で「どうなってるんだろうな」と思っている最近だったりします。せっかく12月の頭のニューカッスル戦、ワージントンのチェルシー戦と続いて中継があるのだけど、トビーはともかくニックは間に合わないだろうなと思っています。過去の経歴をたどっていたのを思い出すと、ニックってこの時期って故障してることが本当に多いんですよね。昨年も確かそうだったはず、だからこそサポーターさんも「ちゃんと働いてくれ!」と他の人よりついつい彼に対してのアタリがきつくなってしまうんだろうなとも思います。一部現地の方の彼に対するアタリのきつさに最初は参ったんですが、いわれもない中傷はさておいて「代表で見せているパフォーマンスがなんでうちでは出来ないんだ」というのは、ちょっと考えさせられるところでもあります・・・なんて、私、本当にエバでのニックのプレイを知らないので、このあたりはコメントしようもないのが悔しいところ。ただ、エバに来てからは本当に故障がちな模様なので、怪我さえなければなあともったいなく思います。

ということで、なんだかクラブにせよ代表にせよ、光が見えてくる日は本当にくるのか?とお先真っ暗な気分にもなります。そしてこういう状態になって初めて気づかされたのが「私、こんなにも好きになっていたんだ」ということですね(苦笑)。ずうっと気になる、気になると言いつづけている中で、いろんな情報を読んでいるうちにどんどん情がうつっていったというか、なんというか。いかんせん今のプレイが見れないので、10/20のトビーのようにプレイに「見惚れて」好きになったというわけではありません。なので、こういう状態でスポーツ選手に対して好きっていうのはどうなんだと正直思いますが(やっぱりスポーツ選手はプレイありきだと思っているので)、こんなのもたまにはいいか思うことにしています。私がスウェーデン語にもちょっと自信があれば、それなりに読んできたニックのいろんなエピソードを細かに紹介できるんですけども。なので、暗い話ばっかりでもなんなので、ちょこっとだけでもせっかくなので人柄のわかりそうな温かめのエピソードの紹介を少しだけ。

とにかく気立てのいい人なんだなというのは、どの記事を読んでも伝わってきます。私が見た中で記録みたいなもの以外で一番古いと思われるのが、1997年頃にとってるインタビュー記事、まだスウェーデンリーグにいた頃ですね。この頃はまだ結婚前、なんとまあその時点で今の奥様とは6年も同棲してたということです。当時は相手は仕事してて自分はサッカーしてて、同棲してるとはいえど一緒にいる時間がめっちゃ少なくて半同棲気分だったとか言ってました。結構プライベートインタビューっぽいので「料理とかしますか?」「ほとんどしないよ」みたいなやりとりがあったりします。「少女達のアイドルですよね」と聞かれて「お世辞だよ」と答えてるあたり、今年の夏のアンデシュを思わせてくれます、多分ほんとは人気者だったと推測(苦笑)。結婚する際にはスウェーデンって男友達だけで盛大にお祝いとかしてくれたりするらしいですよね(女の子に対しては女友達が同じようにするらしい)、結婚決まったときには当時のチームメイトがみんなで盛大にお祝いしてくれたそうな。

この後、プレミアに移籍することになるわけですが、最初の移籍先のシェフィールド・ウェンズディでも本当に愛されてたみたいなので(1999年だっけか、チーム内での一番人気だったそうな)、このチームが降格さえしなければな・・と、たらればの世界をちょっと思います。エバに移籍する動機とか経過を私は実は知らないので、それはちゃんと知りたいなと思いつつ。このシェフィールド時代に最初のお子さんに恵まれるわけですが、なんと試合でスタジアムいかなきゃーって時に生まれそうという状況になって、本人は気もそぞろなまま試合に臨んでしまい、案の定出来が悪くて前半で交代。そこで粋なはからいだと思うのですが、監督さんが帰ってよし!と言ってくれたので、チームは試合中だというのにダッシュで病院に向かったそうです。しかしそこまでして駆けつけたのに、一向に生まれる気配のないままなんと2日間が経過、その間「眠れなかった」などと言っているあたりが微笑ましいですね。その女の子は今年で3歳なのかな、今は試合に出かけるときには頬にいってらっしゃいのキスをしてくれるそうです、かわいいですね。

家庭の話じゃなくて、サッカー選手らしく代表系の話でいえば(苦笑)、W杯前にあったメルベリとフレディのあの練習中のとっくみあいの後の話が印象的。メルベリとフレディがとっくみあってるのをニックは横目で見て通り過ぎてしまうというクールな態度だったんですよね。まあ、カメラの入っている場でやってしまったものはしょうがない、メルベリとフレディは練習後とにかく申し開きじゃないけどプレス向けにコメントを出すというので会見の場を設けたんですが、全然二人に関係ないのにニックもその場に同席してたそうです。別に彼に質問がくるというわけでもないのになんで?と後で記者さんが聞いたら、メルベリとフレディは気持ち落ち着かずという状態だったので、並べて会見したら一発触発にもなりかねなかった、だから間にニックを置いて、そういうことがないようにしたらしいんですね(緩衝役って感じ)。そういう役回りの出来る人、ということで記者さんもこのエピソードをのせたのかなと思います。実際にチーム内では自己主張は殆どしない人らしいのですが、そういうことはなくてもチームにいてほしい、そういう人だろうなと思います。

他にもまあ、あるのですがこのあたりで。表面的には叩きだったり批判だったりがどうしても目立ってしまう最近ですが、それ以上にスウェーデン本国でもエバのサポーターでも「頑張れ」と思っている人は多いだろうと思っています。そしてそれは、側で見ているトビーをはじめ、チームメイトみんなも思っているんじゃないかなと。本当に考えるだけで苦しい状況なんですが、今年フレディがとっていたスウェーデンの最優秀MFの賞を過去にとるぐらい、ちゃんと力のある人だし、伊達に代表キャップ数をあれだけ重ねてないんだろうから、本当に頑張って!と心から。いずれにしても悔いのないようにしてほしいです、うだうだこんな風に考えていたことを笑いとばせるような日が来ますように。