台風ぱにっく!?


 とある8月、キンモク星は温暖な気候なのでいつもぽかぽかだった。
 ファイターが『地球へ遊びに行きたいね』と言い出すと、他の3人も賛成してくれた。火球が『それじゃ、ルナに連絡をとりましょう』と言った。そして地球と連絡が取れた。しかし応答に出たのは意外な人物だった。
「あれ?今、通信に出ているのはうさぎ?」(ファイター)
「そうだよ。今、ルナは通信にはちょっと出れないの。」(うさぎ)
「どうしてですか?」(メイカー)
「実はね今、台風が東京上空で停滞していてひどい状態なの。風速30mの風が吹いていて、ルナとアルテミスがその風で飛ばされて壁にぶつかってたんこぶ作っちゃって・・・」(うさぎ)
「えー!?ルナとアルテミスは大丈夫なの?」(ヒーラー)
「大丈夫だよ。たんこぶ作っただけだし。」(うさぎ)
うさぎはヒーラーを心配させないように言った。
「司令室に他のみんなは居るの?」(火球)
「亜美ちゃんと美奈子ちゃんが居るよ。だけど風速30mのうえにひどい雨だから家に帰れないからここで避難中。食事は全然大丈夫だよ。おにぎりとサンドイッチがあるから。」(うさぎ)
 うさぎと話していると、ルナとアルテミスの手当てをしていた亜美と美奈子が話しに加わった。
「こっちでは2人の仲間が台風で怪我をしているわ。」(亜美)
 亜美の言葉を受け、メイカーは誰が怪我をしたのか聞いた。すると怪我をしたのがなびきとほたるの2人だと解った。 ほたるは左足を骨折し、なびきは右足を骨折し、ただいま入院中という返事が美奈子から返ってきた。
 キンモク星では、その場に居た通信士・火球・スターライツの3人がでっかい汗をかいていた。しかもそのでっかい汗をかいた理由がなびき=ギャラクシアに対してだった。ギャラクシアらしからぬ怪我だったからである。
 火球は気を取り直して、そっちにいつ行けるかを聞いた。『台風による影響が治まったら』と言う応答が帰ってきて、さらに『大丈夫になったらこちらから連絡する』と言う応答がきて、それに答えた後通信を切った。
 そして通信を切った後、しばしの沈黙が流れた。
 その3日後地球から『もう大丈夫』と言う通信を受け、地球に行き、病院でなびきとほたるのお見舞いをした。
 そこでなびきにちょこっと、からかった人物が居たことは言うまでもないが、なびきは怒る気にもなれなかった。
 病院から出てきたうさぎ達。するとうさぎが足早に司令室のある方向へと行こうとした。
 美紀が足早に司令室に向かう理由を聞いたら、4日前、通信を切った後、水が入ってきて、慌ててブレーカを落としてクラウンに避難して数時間後、地下司令室は見事に水没したらしい。
 そして台風が去った後、全部水を吸い出した後キンモク星に通信したとうさぎは言った。
 だけどまだ掃除が残っていると言ったら、火球たちが手伝ってくれることになったが、いざ行って見ると凄い状況になっていて、6時間後すべて片付き、全員放心状態になったことは言うまでもない。

 そして全員が放心状態から開放されて3時間後・・・・・火球は未だに流れてくる汗をミニタオルでぬぐっていた時、美紀が台風で稽古が中止になっており、その場に居たはるかに聞いた。
「ねえ、私ずっと気になっていたんだけど、はるかは何故レーサ−じゃなくてミュージカル女優になったの?」(美紀)
「そうだな、何て答えたらいいんだろう・・・。4年前の1996年にエイルとアンとの戦いで正体ばれただろう?その3日後に親に呼び出されてレーサーになることを禁止されてさ、服飾デザイナーになるかミュージカル女優になるか選択を迫られてね・・・」(はるか)
「それで、ミュージカル女優の道を選んだと言うわけだ。でもなんでその2つなの?他にもたくさんあるじゃん」(明日香)
「はるかのお父さんは服飾デザイナー、お母さんは元宝塚の月組のトップスター遥尚子今は、ミュージカル女優として活躍中。まあ、簡単に言えば安全などちらかをはるかにして欲しかったのね。」(みちる)
 明日香の疑問をみちるが吹き飛ばし、明日香はその答えに納得した。(って納得していいの?)
「いやー今回の大型台風は凄かったー。今さー自分の家に行った帰りまた病院によって来たんだけど、ここに来るまでの間ビックリしたよ屋根が吹き飛ばされている家を2−3件見つけちゃった」(うさぎ)
 再び病院に寄って司令室に戻って来たうさぎが、育子ママに作ってもらったホットケーキを紙皿に分けながら言った。
「家の屋根が吹き飛ばされた家が2−3件・・・自然の力って凄いわね」(めぐみ)
 めぐみはうさぎの言葉を反芻した後、感心したような口調で言った。
「ところで皆さんはどのくらいこっちに滞在するんですか?」(せつな)
「うーんとね・・・2週間ぐらいだね。」(明日香)
 せつなの質問に明日香はちょこっと考えたが、すぐに思い出して答えた。
「だったらちょうどいいじゃないか」(アルテミス)
「じゃあ、明後日にはるかさんの出演するミュージカルの東京公演が始まるんだけど見に行く?」
「はるかさんに4人分のチケットも頼んであったんだけど、もし来なかったらあたしとアルテミスが人間体になって見に行くことになっていたのよ。チケット代がもったいないから、残りの2枚はなるちゃんと海野君にあげる予定だったんだけどね」(ルナ)
「せっかくチケットを貰ったので、見に行かせてもらいますね」(火球)
 ルナからチケットの話を聞き、はるかの行為に甘えて4人は行くことに決めた。
「ところで、どんな役で出るの?」(美紀)
「あれ?今年のセラミュの冬公演見たよね?その続編だから同役のルフェイだよ」(まこと)
 美紀はまことにはるかの役を聞いて納得した。するとみちるがアルバムを取り出し、地方公演で撮った写真が出来たと言い、みんなで見た。そこには舞台衣装や化粧をしたままのはるかがキャストと写っていたり、他の人がはるかを撮ったものがあった。
「ところでうさぎちゃん。ついさっき2人のお見舞いにまた行って来たんでしょ?どうだった2人とも」(亜美)
「なんかね、2人とも明日には退院できるって」(うさぎ)
「すごーい!!良かったじゃん」(美奈子)
 亜美はうさぎが再び病院に行った事を思い出し聞いた。すると2人が明日には退院できることを聞け、そばに居た美奈子は素直に喜んだ。
 そして次の日、ほたるとなびきは退院して司令室にやって来た。すると昨日なびきをからかった人物『明日香』が骨折した理由を聞いた。
「まあ、一言で言うと風で吹き飛ばされたルナとアルテミスを助けた時にバランスを崩して骨折したいうことよ」(なびき)
「なびきが人を助けるなんて珍しい」(明日香)
「明日香それはどういうことだ?」(なびき)
「まあまあ・・・それより2人はいつギブスがはずれるの?」(うさぎ)
「あたしもなびきさんもやま明後日(4日後)にとれるの」(ほたる)
 なびきが松葉杖で明日香を殴りそうな雰囲気だったので、うさぎがなびきをなだめ、いつギブスが取れるかを聞いた。するとはるかの出演するミュージカルを見る3日前に取れることがわかった。
 そして時が過ぎ、はるかの出演するミュージカルをみて4日後、4人がキンモク星へと帰る2日前、台風がまた上陸した。しかし、すぐにジェット気流に乗り被害はなかった。
「台風って怖いわね」(火球)
 キンモク星では、台風が年に4−5回しか発生しなかった。しかも、発生してもそれほど大きな台風になることはなかった。
「でも、『備えあれば憂いなし』ですよ」(美紀)
 キンモク星に帰った火球が、台風体験施設を作ることを指示したのは、わざわざ言うまでもない。

END

注意書き1:はるかの母親の名前は私が考えました。
 〃  2:もし、はるかがセラミュに出ていたら多分河崎美貴さんが演じた役が一番似合うだろう・・・・・(笑)
 〃  3:私の小説に出てくるはるか髪に長さは『セミ・ロング』です。
 〃  4:司令室の広さは縦10m・横15m・高さ5mの広さです。