鬼頭理三監督短編作品
池島ゆたかの紹介で鬼頭理三と会ったのはもう二十年近く前。横浜国大出の風変わりな助監督だった。以降「女力士物語(公開題名:ボディ・スペシャル 調教)」から「お天気お姉さんR」にいたるまでのほとんどの作品で助監督を務めてくれた。今や彼は立派な監督である。

2003年から2004年頃にかけて、鬼頭監督は某プロダクションが主催する演技ゼミの講師を務めた。その時に俳優志望の生徒たちを起用して7本の短編映画を監督した。いずれも鬼頭監督の心情がダイレクトに反映された作品で、テレビや映画などの商業作品とは違った独特の味わいを持っている。細山は全作品のサウンドデザインおよびMA(音声処理作業)を担当した。


鬼頭理三(きとうみちぞう)

1963年名古屋生まれ。横浜国立大学経済学部卒業後、フリーの助監督として「どついたるねん」(監督:阪本順治)、「病院へ行こう」「病院へ行こう2」「僕らはみんな生きている」「眠らない街 新宿鮫」(監督:滝田洋二郎)、「あの夏、いちばん静かな海」(監督:北野武)、「僕が病気になった理由」(監督:大森一樹)、「バタアシ金魚」(監督:松岡錠司)などで汗を流す。1998年に「少年サスペンス」(テレビ朝日系)で演出家としてデビュー。脚本家としても活躍している。

主な作品:

「少年サスペンス」演出(出演:松尾れい子、筧利夫)
「プリズンホテル」演出(出演:武田鉄矢、松本明子、大杉蓮)
「平成名探偵 坂田京介」共同脚本(監督 麻生勝巳)
「ユーラシアエクスプレス殺人事件」共同脚本(プレイステーション)
「演技者」演出(出演:相葉雅紀、村上信五)
「チャイニーズ・ディナー」共同脚本(監督 堤幸彦)
「映画『ケイゾク』メイキング」演出・編集
「雪月花」監督(出演:森洋子、吉岡美穂、滝沢涼子)
「トリック2 #4」演出(出演:仲間由紀恵、阿部寛)
「トリック 堤幸彦式演出研究序説」演出(出演:矢島健一、堤幸彦)
「映画『ピカンチ』メイキング」演出・編集
「ご近所探偵TOMOE」堤幸彦と共同監督(出演:宮藤勘九郎、野波麻帆)
「DAY AFTER TOMORROW」監督(出演:園田順三 片山裕介 根本岳人)
「ヴァンパイアホスト」演出(出演:小向美奈子,松田悟志)
「H2〜君といた日々」演出(出演:山田孝之、石原さとみ、田中幸太郎)

THE END
世界の終わりが近づいていることを察知した若い男。だが、謎の男が現れて抹殺されてしまう。鬼頭監督の終末感が端的に表現されている作品。
ENDLESS
女が朝目覚めると、どこか昨日と同じような感じがする。やがてその予感は的中し、昨日起きた恐ろしい出来事が再び起こる。救いようのない描写の連鎖が逆に爽やかな朝日を感じさせる作品。
LAST INSTANT
この世の最後の日が近いことを知った若者たち。それぞれの想いを胸に秘めてその日を迎える。THE ENDの変奏曲とも言えるが、本作では終末と希望が同位置で結ばれている。
TERMINATE
知人友人を部屋に呼び集めた女。実は余命数ヶ月の病にかかっていた。女は全員を殺害し、自らも果てる。シンプルな設定と衝撃的な展開が詩を感じさせる不思議な作品。
ACCIDENTAL REUNION
昔の彼女と偶然再会した男。また以前のように付き合いたいと思い、食事に誘う。二人の距離が再び近づいたと思った時、彼女はもうすぐ結婚することを打ち明ける。もしかしたら最も鬼頭イズムが出ていると思われる、淡いセンチメンタリズムに溢れた小品。。
LIVE UNTIL DIE
女が二人、なにやら思案している。話の断片から、死体の処理に困っている様子だ。過去と現在がフラッシュバックされる。二人は白衣の殺人者なのかもしれない。だが、彼女たちも蘇った死体に殺される。人間の狂気をシュールにかつダンサブルに描いたリミックス感覚の異色作。
MARIKO
マリコは不可解な出来事に悩まされていた。時々、記憶が消えるのだ。だが友人たちの証言から、マリコには別の人格が宿っている疑いが濃くなる。マリコの記憶の外で、普段のマリコからは考えられないような行動に走っていたのだ。マリコは本当の自分が何なのかわからなくなる。アイデンティティの喪失がもたらす哀しみを叙情的に描いた一作。