その事実に気付いたのは、死ぬほど恥ずかしい事がきっかけで。 「お前、背ぇ伸びた?」 ふとした事がキッカケで、俺の小さな恋人の身長が伸びている事に気が付いた。 「ちゃんと測ってねーけど、流石に伸びてんじゃねえ?」 エドは素っ気ない態度を取りながらも、内心は嬉しくて堪らないのだろう、口元には 隠しきれない笑みを浮かべている。 いやいや、伸びてる。 コイツの身長、絶対伸びてる。 前は俺の胸に頭が届いてなかったのに、今はほんの少しだけ頭のてっぺんが胸に かかってるから。 エドの背が伸びている事が判明して、なんだか我が事のように嬉しいワケだが。 ……しかし照れる。 何が照れるって…!! 「少ー尉っ」 エドが『えへへ』と笑いながらスリスリと頭を俺の胸板に擦り寄せる。 …いや、勃つから。 ………俺の乳首が!!! お前がすりすりする度に擦れて反応しちまうんだってば!! そんな俺の気持ちも知らずに、エドは嬉しそうに俺の顔を見上げながらこう言った。 「でも何でオレの身長伸びてるって気付いたんだ?アルだって言わなかったのに」 やめろ、純粋そうな瞳で俺を見ないでくれ! 『乳首が反応したから』だなんて言えるか!! (しかも微妙に気持ち良いとか更に言えねぇ!) 言ったら間違いなく俺は殺される。 いや、殺されるぐらいならまだマシだが、下手をすると好奇心旺盛なこのお子様は 『オレも少尉攻めてみたーい!』とか言い出し兼ねないワケで。 階級でも能力でも自分より格段にランクが上の恋人相手に、せめて夜の主導権くらいは この手に収めておきたいお年頃。 普段あまり使わない脳ミソをフル回転させて考えた。 「それはだなー…」 エドのふくふくっとした頬に掌を添え、琥珀色の瞳をじっと見つめる。 そして少し背を屈めてからエドの唇にキスを落とした。 「キスする時に、前よりもしやすくなったなー…って思ったからさ」 俺の全身に鳥肌が立った。 まさかこんな歯の浮くような台詞を口にする日が来ようとは、夢にも思わなんだ。 ややあってから唇を離すと、エドはさくらんぼのように頬を真っ赤に紅潮させ、 プルプルと小刻みに肩を震わせていた。 ……うーん。 これは見事に滑った。 いや、ある意味エドにはツボったと言った方が正しいのか? 「アーハハハハハハハ!!うひゃっひゃひゃひゃひゃ…しょ、しょーい!しょーい!! 可笑しいから!!たまんないから!!だぁーっはっはっはっはっ…」 俺のボロっちぃ安アパートにエドの爆笑する声が響き渡る。 ソファに突っ伏して勢い良くクッションをバシバシ叩いている。 …まぁ言った本人の俺ですら、死ぬほど恥ずかしくて笑い飛ばしてくれた方が寧ろ 助かったワケだが。 でもまぁ、なんつうの? 窓の外の天気は良いし。 実際、エドの身長は伸びてたワケだし。 理由はどうあれ、こうやって元気な恋人の笑顔が見れるってのは嬉しい事で。 「天気も良いから外にメシ食い行くか!」 「おうっ!」 何だかんだで俺達は上手くやってるように思う。 「んっ」 背伸びをしてキスを強請るエドは、それはそれでとても可愛し。 「少尉、だーい好きっ!」 ……だからスリスリすんなっつのーー!!! |