■火村・アリス シリーズ(有栖川有栖)
「46番目の密室」(講談社文庫)「ダリの繭」(角川文庫)と続くシリーズ。講談社ノベルス分は、国名シリーズとも呼ばれています。推理作家の有栖川有栖を語り部、その親友で犯罪心理学助教授の火村英生助教授を探偵役として多数展開されています。
同作者には、大学生の有栖川有栖を主人公としたシリーズも存在しますが、こちらは「学生アリス」「江神もの」として区別される、別シリーズです。(こちらの探偵は江神先輩)
■屍鬼(小野不由美)
説明の必要もないでしょう、「十二国記」作者による長編ホラー。この後日談になりますので、未読の方は読まないで下さい(^^;) 思いっきりネタバレしてます。ので、これ以上の解説はなし。この作品は、読んで損しませんから、まずは読んでみて下さい。文庫本で5冊組、最初は延々と村人の描写が続くので疲れますが、これが後で生きてきますので、ちょっとだけ我慢を。
■覆面作家シリーズ(北村薫)
東京創元社刊、「覆面作家は二人いる」「覆面作家の愛の歌」「覆面作家の夢の家」の三部作より。本格ミステリの連作短編集ですが、とにかく可愛い。覆面作家でちょーお嬢様で、でも家の敷地を一歩出たとたんに人格が変わる千秋さんと、その担当編集者の良介との、日常の謎解き系です。基本的に男女CP萌え体質なので、この二人はツボでした(笑)
■炎の蜃気楼(ミラージュ)(桑原水菜)
コバルトで全40巻プラス外伝、今春14年目にして完結したサイキックアクション。
いちお、戦国時代の武将の霊が現代に甦り、それを400年前から換生(かんしょう/他人の体から魂を追い出してのっとること)しながら調伏し続けてきた、同じく戦国武将たちのSFアクションと心理的葛藤の話――というと、なんだか違う話みたいだな(^^;)ラノベにおけるボーイズラブ全盛期をつくったのが多分このシリーズだと思うので、そのへんうまく脳内処理できないなら、男性にはお奨めできません。
今回の話は、最初から最後まで最終巻ネタバレなので、未読の方は絶対目に入れないで下さい。
ちなみに私は、開崎×高耶には結構萌えましたが、他のカプは直江×高耶を含めて全く食指が動きませんでした。だからというか、この2人の確執は、まんま性別を無視した魂同士の確執だと思って読んでいたため、デキ上がらない方が良かったのになーと今でも思っている少数派です。
■闇に歌えば/聖霊狩り シリーズ(瀬川貴次)
スーパーファンタジー文庫から出ていた今は絶版の「闇に歌えば」と、コバルト文庫でシリーズ継続中の「聖霊狩り」シリーズより。ホープダイヤに代表される「呪い付きの文化財」を収集・管理する、文部科学省文化庁文化財保護部特殊文化財課・通称「ヤミブン」と、祟り神を御霊として祭り上げ、守り神に昇華することを使命とする、陰陽寮の流れを汲む通称「御霊部」のメンパーが、幽霊がらみの事件に巻き込まれるシリーズなのですが。闇歌が大学一年生の誠志郎を主人公に、御霊部メンバー(この時点で柊一は中学3年生)を脇役に置いているのに対し、聖霊は高校2年生になった柊一を主人公に、誠志郎をサブに置く形になります。
どちらも組織そのものは隠してますが、霊感少年としてバレている誠志郎と違い、柊一のほうは学校では完全に猫をかぶってます。
普段私が小説のパロ小説を書く時は、文体も似せようと(ムダな)努力をしているんですが、これに関しては、特にそんな努力はしてないです。
■李歐(リ・オウ) (高村薫)
講談社文庫「李歐」一冊のみで、よくここまで妄想できるな私、の産物です。もともと「わが手に拳銃を」の文庫化なのですが、設定が全く違うので、ここでは関係ありません。後日談onlyになり、実はメインは耕太(一彰と咲子の息子)の大学生編だったりしますけれど、こちらは長い上に未完だし、あまりにオリジナル度が高すぎるので、ここでは出せず…。
世界を股にかけるスパイ兼殺し屋の中国人・李歐と、大学時代に関わりを持った一彰との、殺伐としつつも壮大な夢物語、なのですが、これ人によって解釈違うんですよね。私は、李歐と一彰は、恋愛でも友情でもなく、家族愛だと思っているのですけれど。この本、テーマは家族と故郷だと思ってます。
※以下ネタバレです。ご注意※(読みたい方は反転して下さい)
パロで書いていたのは、3人が櫻花屯(インファトン)へ定住した後の話です。一応、耕太は李歐に帝王学を学びつつ成長しています、という設定になっています。耕太を利用して刺客がやってきたり、何気ない会話をしていたり、成長した耕太が同じ年のSP連れて「帰国子女」として日本の大学に入学してまた事件に巻き込まれたり、といった長々とした、…それ李歐のパロである必要性って何?と自問自答してしまいそうな話ばかりでした。けど、パロだから書きたいのであって、そんなオリジナルなら書きたくないので、仕方ないですね、こればっかりは。
それら以外に、李歐過去・シカゴ編で、高級娼婦を語り部にした話も未完のままでした。香港の幣(組織)が「一彰を殺せばナイトゲートの殺し屋が怒る」というネタをどこで入手したのか、という説明を勝手にパロディの中でやってしまうという、ある意味失礼な話でした(^^;)
■レディ・ジョーカー(高村薫)
毎日新聞社刊、まだ文庫落ちしていません。「マークスの山」(講談社、文庫化)「照柿」(講談社)に続く合田刑事シリーズ3作目。映画化の話が出ては消えしてますが。
日之出ビール(モデルはキリンらしい)に商品を人質とした脅迫状が届く、というグリコ事件を元にした話になります。冒頭の脅迫状で挫折する人多いのですけれど、これ読まなくても影響ないので、読めない方はこれを飛ばしてどうぞ(^^;)
こちらのシリーズにはあまり愛がなかったりするのですが、城山社長の一件だけは、原作でさらっと書かれすぎていて、ここはもっと突っ込んで書いてほしかった!という部分でした。誰も書いてくれそうにないので、自分で書いてしまったというだけです。
■時計を忘れて森へ行こう(光原百合)
東京創元社から、これも一冊のみですが、シリーズ化可能な中編集。日常の謎系の本格ミステリですが、当時流行り始めたばかりのヒーリング本としての能力も高い本です。
清里・キープフォレスターズスクール(日本の環境教育の草分け的存在)をモデルにした森で、身近な人の死に傷つく人たちを、謎解きによって癒すレンジャー・護と、彼に憧れる地元高校生・翠のほのぼのとしたミステリ。
■犀川・萌絵シリーズ(森博嗣)
講談社文庫より、10冊でいったん完結し、その後他シリーズともリンクしています。「すべてがFになる」から、現在は「四季」シリーズにつながっている、でいいのかな。一部を除いては無名だったウチの大学名を、一気に全国的に有名にしてくれました(^^;) N大工学部の犀川助教授と、その教え子萌絵の、ワトソン・ホームズの関係が定型にはまっていない本格ミステリ。理系ミステリとも呼ばれていたけど、今はどうなんでしょう。
なお、ナナちゃん人形というのは、実際に名鉄名古屋駅前にある巨大マネキン人形のことです。待ち合わせ名所。それと、「笑わない数学者」には韓国版がありまして、これは挿絵入りで、…すごいです。その挿絵をネタに使わせて頂いてますが、著作権が果てしなく不安…。(作家側には了解もらってるんですけど、画家側がどう思うやら(^^;))