てのひらの闇/藤原 伊織 文春文庫
ホントに久しぶりに読む作家さんです
前回が2000年と記載があるのでちょっと開きすぎ(苦笑)
あらすじ
主人公堀江は父が昔やくざの組長であったが,CMディレクターを飲料水の会社でやっていた
ところが会社から辞めないか?と話があり,入社する前に現会長石崎が自分の状況を知りながら雇っていただいた恩義は感じるもののCM関係の仕事はさせないという約束を破られたこともあり受け入れる
ところが石崎からあるVTRを見せられ,これをCMに使ってくれないか依頼を受けるのだが・・・
VTRがキーワードになって物語が進行していくのですが,物語全体を見てもとても無駄が少ない
必然性というところまでは行かないのだけれども,ここへ行ったら次はここへ・・・という感じでテンポがよい
そのため長編のはずですがとても短く感じます
ストーリでは堀江にとって昔の触れられたくないことが右から左へたくさん流れていくのですが,それに絡んでくる石崎の過去の女性関係,と政界との関係
そして堀江と部下の大原の関係が男女に流れそうなのを寸前で止まっている不思議な感じ
無駄が少ないと最初に書きましたが,伏線がたくさん張られていて,なぜ怪我しているのか?姉妹であるがあまり交流が無いが関係が悪くないのはなぜか?など疑問に思ったことが最後には氷解して行くのがちょっとすごい
ここまでプロットを考えている人もちょっといないかもしれない
最後に昔と決別するために突っ込んでいく感じはよかったです(2003.2.15記)