悪魔の唄/ 阿佐ヶ谷スパイダース
観劇日 2005年2月26日 14時00分 J列3番 東京・本多劇場(下北沢)
いつも突き詰めていく芝居が多い阿佐スパ
今回は?
あらすじ
ある洋館での出来事
サヤ(小島聖さん)は椅子に座っているところに愛子(伊勢志摩さん)が現れ,すぐ洋館から出てしまう
その後壱朗(吉田鋼太郎さん)が駆け込んできて,サヤに妻は来なかったかと問いかける・・・
何気ない感じで,物語がスタートしたのですが,コンセプトがホラーと聞いていたので,当初はどう展開するのかが心配でした
これから書くことはたくさんのネタバレがたくさんあることを予告して,一つ目は3つの時代が含まれていること
それは現代を生きている夫婦,霊として存在している夫婦,ゾンビとして生き返った兵士の3つ
霊として存在している夫婦がとてもわかりづらい
生きている者から見えるが,ゾンビからは見えないゾンビと霊の中間の者が見えるという構図に気づいてこの話の構造を理解
これがわかった人が,どの程度いたのかは難しい
これに気づかないと理解できないシーンがたくさん(サヤが元気なのに愛子に掘らせようとすることなど・・・)
役者に目を向けると,一番心に響いたのは,やはり中山祐一朗さん・・・
一途であるという彼のキャラクターを十二分に押し出して,伝わってくる心の動きがいい
戦争を扱った芝居はこれまでいくつか観ましたが,ホラーという切り口で狂気を描いているのが新鮮で考えさせられました
『戦争が残酷である』という言葉を理解していたとしても,個々の人間が思っていることを否定されることではない
すべてを否定するあるいはすべてを肯定するとしても・・・
それにしてもすごい作品
同世代の作家とは思えない
戦争反対,軍備増強賛成の人に一度原点を確認するために観ていただきたい(2005年3月19日 記)