劇評/加藤健一事務所

観劇日 2002.7.24 13:00 D列2番 下北沢・本多劇場

最近のお気に入りの劇団になっているカトケン
通常の前売りでは買わなかったので3日前に急遽電話予約で購入
その時点ではチケットの席をよく確認せず(言ってくれたかもしれないが)
劇場へ行ってびっくり!
今回は池田成志さん(元第三舞台)の出演や,劇評という真似事をしているため身近な問題もあり,どのような物語か興味がありました




あらすじ

パーカー(加藤健一さん)は劇評家で,妻アンジェラ(日下由美さん),息子ジョン(宮田直樹君)との3人暮らし
ある日家族で劇評をしていたところ,アンジェラが突然親戚のお風呂屋の親父をモチーフにした『脚本を書く』と言い出したのだが,いつも根気がないためどうせ途中でやめるだろうとタカをくくっていた
またパーカーはたまたま妻が脚本を書くと言ったことをモチーフにして『演劇なんか書くな』というタイトルのコラムを,冷やかし半分で綴り始める
その後アンジェラはプロデューサーを見つけ,脚本を順調に書き上げ,演出家を見つけ,そして公演を打つことになり,パーカーは慌てる
ところが稽古場をジョンと一緒に訪問したところ,脚本のタイトルが変更になった上に,とてもじゃないが観れた代物になっていなかったものがますます壊れていく感じで,地方公演でさえ怪しいと感じであったのだが・・・




最初『劇評』というタイトルを聞いて劇評を戦わすのかな・・・と思っていたのですが,実際には家族劇で,『劇評』はその中のスパイス,あるいは夫婦の対立点という感じで,実際には作家対劇評家という図式よりも,相手にして欲しい妻と,ポリシーを守りたいという夫との戦いであるといえると思う。
まず,脚本から言うと最初人の名前がたくさん出てきて,それが次のシーンに繋がる枕詞になっているので,人の出演が少ない割りに話が細かい。そのため結構集中して観ていないと話の筋がわからなくなると思うので注意。あと,人の描き方が細かい人と,粗い人があるのが気になるのですが,これは役者&演出に左右されているかも知れないので何ともいえない。もう少し設定を役者さんに与えてもよかったかも・・・
演出的には今までより暗転が多いためかシーンとシーンのつなぎの部分がダレルのでもっと張りを与えて欲しかった。
役者ではやはり加藤健一さんはさすが・・・。特に最後の妻を説得するシーンの台詞にはジンときました。ホントに気持ちを曲げずに,相手を思いやる気持ちを表すような表現でほのぼのしました。演出家役の池田成志さんに関してはエロさを存分に出されていて(いつもの感じ?!),かつクールさを持ち合わせされていたのが私が観た中では初めて受けた印象でした。ジョン役はダブルキャストで今回は宮田君ですが初めて舞台に立ったということでありましたが,なかなか堂々としていてパーカーとの掛け合いが楽しく感じました。女優さんに関しては日下さんがちょっといいなあと感じましたが,ちょっとしっくりいっていない(台詞の噛んだシーンが・・・)点が気がかり。
ぜひ,この作品は翻訳劇ということなので原作を読んでみたいなあ(2002.7.24記)