2003.9.21 追憶の情慾たちへ at 新宿LOFT

台風が接近する中、LOFTへ向かう。
インビシブルマンズデスベッドのライヴは開演時間が遅いことが多いのだが、今日もご多分に漏れずである。
開場20分前に着くと、中のバーで待っていても良いとのいことなので階段を下りる。
チケットを引き換える。今日のチケを引き換えてくれた人は明るかった。。
バーカウンターに座り、ただただボーっと過ごす。
カウンターの前の壁が鏡になっていて、そこに一人の人が映った。椅子を回して直にその人を見た。ら、その人はインビシブルマンズデスベッドのボーカル、デスベッド氏であった。
真っ赤な上を着て下はインディゴのGパン。「素」の彼を見るのが初めてだったので、知らず知らず凝視してしまった。きっと彼も視線を感じたのだろう、こちらをチラっと見て歩いていった。
私の隣にいた子たち(知り合いのファンらしい)が声をかけると、軽く会釈をしていった。
そんな彼はごくごく普通の青年であった。
少しして、今度はドラムの宮野さんが出入口を外へ出て行く。その時にも隣にいた子たちが声をかけた。すると宮野さんはとても明るい声で返事をした。イメージ通りの人だ。
彼らのことはステージとオフィシャルのBBSに書き込みをしてくれる以外、ほとんどわからない。
NHKのライヴビートのインタビューで話しているのを聞いて、「あぁ、普通なんだ」と思ったぐらいだ。そう、それぐらい彼らのライヴは狂気なのだ。

時間を少し過ぎて開場になる。9番だったのであっという間である。
電撃ネットワークが対バンなので、最前では見たくなかった。もちろんインビシも最前は避けた方が良いという説もある。
電撃だからかなりフロアが埋まるだろうと予想をし、埋まってしまうと見えないフロアより、上手側の一段高くなっている場所を陣取った。
少ししてもなかなか埋まらないのでドリンクを引き換え、たっぷり1時間ある待ち時間を、薄暗い会場で文字をライトに照らしながら貰ったチラシを見ていた。
だいぶ経ってから私の名前を呼ぶ声がする。友達が前から現れた。
彼女が対バンでインビシブルマンズデスベッドを発掘し、教えてくれた友達だ。
もしかすると、今現在は私の方がハマってしまっているかもしれない。
開演時間を少し押してオレンジのつなぎを着た電撃ネットワークの面々がステージ上に現れた。電動ノコで火花を散らしながらの登場。
出た!これが電撃だ!お初にお目にかかります!ここで見られるからということでフジロックは電撃を諦めたのだ。
この人を見れば電撃ネットワークだってすぐにわかる南部虎弾。PRODIGYのキースが南部さんの頭を真似たというぐらいの有名人?である。
一人が後ろで打ち込みをし、前に4人ならんで何やら叩いている。歌詞に「電撃」という言葉があるように聞こえる。電撃ネットワークのテーマなのだろうか・・・(笑)ちょっと楽しい感じ。
しかーし、この調子で進むと思ったら大間違い。この後はミュージシャン「電撃ネットワーク」ではなくタレント?お笑い?ある種の格闘家じゃなかろうか・・・
15pはありそうな活きたサソリを口の中にいれたり、ドライアイス食べたり、鼻から牛乳飲んで眼から牛乳出したり、お尻で蛍光灯を割ったり、酒屋の前掛けの中はすっぽんぽんな南部さんは、○を紐で結んで物をぶら下げられる金具をつけ、バケツに氷水をいっぱい入れてそれを持ち上げたり、あそこはどうやって鍛えるかなんて言って幅10pはあろうかのゴムを思いっきりぶつけたり(去っていく姿はかなり情けな気)、手のひらにアロンアルファを全面につけ30sのドラムカンを持ち上げたり、口にロケット花火を加えたり、、、とこんなことばかりがステージ上で繰り広げられている。
そんな中、ステージ後方で1名、ひたすら格好いい打ち込みをしている人もいるにはいるのだが・・・
これだけ読むとただのアホじゃなかろうかと思えるが、いやアホなのだろうが、あのステージを見て引いていた人なんているんだろうか。(いるよな)
もうバカすぎて、アホすぎて、笑うしかない。というか痛そうで強烈すぎて、見ている自分の顔が物凄く歪んでいるのが自分でもわかってしまった。
が、楽しすぎた(爆)合間合間に腕を上げる振りをみんなでやったりしてノってしまっている自分がいる。基本的にTVでこういうのをやっているのを見てもバカすぎて見る気にもならないのだが、何なんだろう、この差は。この勢いというか、大の大人が一所懸命バカをやっている姿に感動をしたとでもいうことにしておこう。
最後はラップ調の歌で締め。小道具はトイレットペーパーを器具の先につけ、スイッチを入れると風でトイレットペーパーが勢いよくシュルシュルっと飛ぶもの。
4ロールのトイレットペーパーはあっという間に客席に散乱したのだった(もったいない...)
こんな無謀な行為、姿を許してくれたLOFTは流石だな。
以上、約50分の電撃ネットワーク終了。

今日のメイン、インビシブルマンズデスベッド。
インビシ主催のイベントということもあって、インビシ目当てのお客さんも結構いるようだ。
メンバーが出てくると、いつも以上に盛り上がる場内。
最後にデスベッド氏が出てきて「摩擦」が始まる。
ん?いつもと何かが違う。
目の前にいるメンバーはいつもと同じ。格好もみんなパンタロン履いてるしビロードのジャケ着てるし動きだって・・・
違うものは、音。私がLOFTで初めて彼らを見るせいだろうか。音の歯切れが全然違く聴こえる。デスベッド氏の渇舌も良い(彼のマイクはほとんどエコーを効かせないので声が直接に届く感じがする)
どうやら「気合」の入り方が違うようだ。
2曲目、3曲目、、、やっぱり違う。横にいる友達にも「気合入ってるよねぇ」って言ってしまった。
電撃を見終わったとき負けた(勝ち負けか?)って思ったけど、インビシが始まってしまえばこの怪しげな、でもストレートな音楽に奇怪な(笑)パフォーマンスを見せつけられたらば電撃もぶっ飛んでしまった(って電撃と比べるなよ)
彼らの音楽は何度聴いてもズバっと突き刺さってくる。
恐らく新曲を織り交ぜながらステージが進む(いまだ曲が把握できていない;;)ライヴのタイトルが11月の新譜のタイトルだということも今更に気づいた。
「接触」私が一番好きな曲がきた。
メロも大好きだし、間奏部分でデスベッド氏のショータイム(?/笑)が入るのも楽しい。
今日は何故かその間奏部分に入り静かになったときに場内から笑いが起きてしまう。みんな、デスベッド氏が何をしてくれるのか期待しているのだ。
照明がフラッシュになり、ステージを映し出す。凄く格好いい。
どの部分でのパフォーマンスかは定かではないが、今日も色々と見せてくれた。
・ステージ上方にある柵に猿のごとく捕まり足もからませる
・傘を5、6本まとめて抱えて上手スピーカーに乗り1本1本ステージに投げる
・上手から走ってきて下手の壁上方につかまり蝉のごとく壁にペタっとへばりつき(壁に正座している形)、恐らく下の方に貼ってあったと思われる壁のクッション材を持ち出し勢いよく床へ投げつける(投げつけるという行為はめずらしい)
・上手フロアに置いてある電撃で使った大量のトイレットペーパーの上に膝を曲げて寝転んだかと思ったらそれを持ってステージへ上がり、自分の頭にからませる
・モニターに乗ってペットボトルの水を上の方からジャバジャバとこぼし、たまに飲んだり客席前方にこぼしたり(これがあるので最前は危険)
・スピーカー上で傘を開いて自分の肩にかけ「どう?似合う?」とでも言いたげにしたかと思うと傘を客席に投げ何事もなかったかのようにステージに下りる
・武田くんも下手スピーカーに登り、唾?を客席に吐いた
・西井くんも俺はここにいるぞとばかりに「オ゙ォ---」と叫ぶ(これはパフォーマンスでなく曲の一部だろ)
「デリー」「16秒」(確か)とクライマックスへ。
フロアも今日は一段と盛り上がりを見せている。
「16秒」が終わりデスベッド氏が袖に引き、今日は何を持ってくるのかと思ったら、白い長いすを持ってきた(LOFTさん、もう少し面白いものを置いておいてください)
下手のモニターに乗せて斜めに客席につきだしている。
ハイハットを持ってきてシンバル部分をクルクル回しだした、がそれだけ。今度はタムを持ってきて椅子に逆さにしてスティックで叩き出し、勢いよく後ろにスティックを放ったかと思ったら手でバコバコ叩き出した。
デスベッド氏はかなり満足気である。が、毎度宮野さんのスティックケースからスティックが散乱するのだった。。
武田くんも負けていません。彼は体の動きがいつも軽い。ギターを弾きながらモニターにジャンプで乗ったり降りたりはお手のもの。当たり前に出来ることなのかと思ったら、本日西井くんもやってみたが彼は背があるせいか、よたってすぐにモニターから落ちてしまうのだった。が今日はセンターに出てきたね、西井くん(ニヤリ)
で、武田くんはデスベッド氏が撒き散らした傘の一本を右袖口に、もう一本を左袖口に差してギターを弾いたり、トイレットペーパーをかぶったりしている。
かと思えば、下手へ行きお客さんのタオルで目隠しをし、頭の後ろで右手でタオルを抑えながらギターを弾く。何時でもギターはかならず弾くのだ。これには大爆笑。
そして最後の合図とばかりに宮野さんがシンバルをパコーン、パコーンと力をこめて叩く。
そしてメンバーがステージから去る。デスベッド氏は今日は下がらずにそのままアンプの電源をひとつひとつ消していく。
最後のアンプを消す前にタオルがからみついた武田くんのギターをウィンウィン言わせてから最後の電源を落とす。
フロアから歓声が起こる。私も声を上げた。今日のライヴは一段、いや二段、三段パワーアップした感じがした。
色々なパフォーマンスを見せてくれる彼らだが物を壊すということは絶対にしない。よくステージを見ていると彼らの礼儀正しさを見つけることができて、それを見つけるのも意外に楽しい。
私が最初に見てから1年弱。着実に伸びているのが目に見えてわかるからライヴに行くのが楽しみだ。