- RESEARCH 11-
考証 11

 この物語《クライム・オブ・デイスキャナー》は言わずと知れた、
原作《アーマード・コア》をベースとした非公式アフターストーリーです。

 これらの設定は二次創作作品ARMORED-CORE『CRIME OF DAY SCANNER 』におけるものであります。
作品描写の為に多少、オリジナルのAC設定とは一部は逸脱したものである事をご理解くださいませ。
逆に可能な限りACのゲーム内の表現にも合わせる方向で努力しており、実際の物とは違う機器名称の変更や事象の曲解も行っております。
これらの設定が現用兵器や機器、他のロボット作品にも当てはまらないフィクションでもあります。
本考証解説は特に機構などの説明において専門用語のみの記載を避け、可能な限りで『分かりやすく』を主眼としています。
それ故に長い説明や、かなり強引な例えなども行っている事もお分かり頂きたく存じます。
尚、「アーマード・コア マスターオブアリーナ公式ガイドブック」より後年発行の書籍の設定は参考程度に留め、前発行物との相違や矛盾点がある為 に統合が困難で、完全な遵守の方向性には無い事も、どうかご理解賜りたく存じます。
一応、意識はしていますがARMORED-CORE2とは直結する様にも、この作品をリリースした時期等の理由により残念ながら設定はしておりません。
また個人の好みも多分に含んではおりますが、これら設定のコンセプトは「AC世界の解像度を上げる」「この世界観を楽しむ」といった方向で誠意製作 しております。
世界、機構の設定等、オリジナルであるACを損なう目的の物では決してありません。
世界設定などは一部、都市設定募集の企画投稿にお寄せ下さった読者様方の設定も、当作品なりに解釈して使用させて頂いています。
それらの全てをご留意願って長い前置きとなりましたが、本作品をこれからもお楽しみ下されば何よりも幸いと存じます。



《連立都市レイヴンズ・ネストその2》

 アイザック・シティに本拠するレイヴンズ・ネストと、連立都市は完全に別組織である。
 レイヴンズ・ネストと言う名称を使用しているのは一般人に至るまでの都市民に組織の正体を隠す為にしか過ぎない。
 組織の目的はアイザック・シティ・ネストに変り、世界規模の管理・運営を行う処にある。
 予言者を意味する《プロフィット》と呼ばれる未来予測を行う人工知能と、数名の幹部が連立都市中を管理、運営していく自治組織でもある。
 幹部は世襲制ではなくプロフィットが一方的に選出し、あらゆる身分の者が就いている。
 彼等幹部は人数・任期すらも一定ではなく、不規則であり、唯一例外なく共通なのは、幹部を降ろされた時点で、その者は抹殺される事だけ である。
 下部組織《スレイヴ・クロウ》は本来の目的としてアイザック・ネストへの対抗と抵抗と言う最重要任務の為に存在し、その自衛と攻撃手段 としての切り札に成りうる物を常に探しており、当然、ゴンドラもその内の一つ。 彼らの任務は過去の失われた技術の独占にもあり、ネストに好ましくない技術を発見した企業や個人の直接的な抹殺も含まれる。
 更に諜報機関や中央ブロックの一部行政、連立都市企業へのエージェントなどを行う機関を傘下に持つ。


《スレイヴ・クロウその2》

 全員が連立ネストへの絶対の服従を強制されられる義務を科せられた集団。
 主に選別された戦災孤児や、他都市で賞金を掛けられて他に行く所のない者で構成されている。
 本拠地などは不定で、常にネストの命令で動いており、他都市などへの妨害や調査などは、これとは別系統の組織が行い連携する事は皆無である。
 アイザック・ネストへの対抗策の為、大破壊前の超兵器探索が現在の主な任務である。
 その次に連立都市の管理運営の手助けを行う為、破壊活動や抹殺を行う。
 メンバーは抹殺や破壊活動は低級な任務として嫌う傾向にあり、最も意義の大きい超兵器探索は名誉とされている。


《スレイヴ・クロウA・C》

 他都市・他企業の装備も、連立ネストは大量に所持している。
 特にかつてのクローム、ムラクモの精鋭部隊用のA・Cを両企業崩壊時に、かなりの数を接収しており、更に連立ネストが僅かながら温存する大破壊 前のテクノロジーを活かした独自の技術により、改造を施して様々な部隊で使用している。
 同様に通常のA・Cパーツも極限までチューニングを施して使用するケースも多い。
 この場合、可能な限り市場に流通しているA・Cパーツに外装を似せる傾向にあり、機体が万が一に目撃されても影響が少ないように考慮されている。
 しかしながらメンバーの中にはノーマルの状態で使用している者も多く、統一性は皆無であるが整備はA・C特有の方法で、丸ごとパーツを交換する事の方が多くそれ程問題ではない。
 中にはA・Cの外装をしているものの、全く違う過去の戦闘兵器に搭乗している物も若干であるが居る。


《アイザック・タイムス》

 主にナーヴを使用したニュースを流す新聞社。
 連立都市に支社は無く、業務提携した規模の小さな新聞社があるのみとなっている。
 この時代、カメラマンと記者は殆ど分業とされ、取材に出たカメラマンは映像を社へとリアルタイムで転送しサーバーと呼ばれる者が画像を選択して ナーヴへと流すシステムが主流となっている。因みにサーバーは責任も重く大変な高給取り。
 しかしながら、現在と同じく誌面による新聞も大変に人気があり、未だに存在し続けている。


○パルス兵器と、その他のE兵器について

 先ず、パルス兵器と呼ばれる《WG−XP1000》《WG−XP2000》《WC−XP4000》の3種についてです。
 このパルスと言うものは電磁パルスを本作品では指します。
 このカテゴリー兵器の特徴として、射程の長さがプラズマ兵器や暫定的に使用しているレーザー兵器などと比べて長い点にあります。
 これらの兵器自体は一種の《荷電粒子ビーム兵器》であり、前回のプラズマの項で述べましたが、分子を細かく分けた原子の、更に細かく分けた《粒子》 という物を電磁石などで超高速させてぶつける兵器です。
 かなり強引な例としてですが…砂鉄などの粉を磁石の並んだ中で磁力により吸い付く、離れるを繰り返して加速してやり、すさまじく高速になった段階で 射出する…そんな感じのイメージで捉えて下されば分かり易いかもしれません。 (実際は粒子は前述の様に鉄粉などより細かい物です。あくまで射出方法を説明するのに近いイメージとして捉えて頂きたいです)
 つまり荷電粒子兵器は加速された粒子による衝撃と熱によってダメージを与える兵器となります。
 この様に荷電粒子には質量があり、放射すると反動があったり目標物が破砕したりもします。 ちなみにパルスとは『脈動』や『断続的に』を意味していています。
 これを利用したロケットエンジンに大気圏外で使用する《イオン・ロケット》もありますが、AC世界では一般的ではありません。
 《イオン砲》なども、これら荷電粒子の一種です。また某有名ロボット作品の《ビーム・ライフル》もまた、このカテゴリーに入る兵器です。
 映像で見るにあたり荷電粒子砲はロボットアニメで一番よく見かけるエネルギー兵器とも言えますでしょう。
 ACにおける、このタイプの兵器はビームとして収束はせずに、断続・連続的に目標にぶつける物で、これがパルス兵器と呼ばれる所以になっています。
 最大の特徴は大気圏内では比較的長い射程を誇る点にあります。
 大きな特徴として、この荷電粒子兵器を大気圏内で使用した場合、断続・連続的な発振により、敵機との空気中に高熱によるプラズマで囲われたトンネルが 発生するという現象が起こります。これは弾がリング状に見える(FCSがディスプレイに映すイメージでしかないのですが)事にも繋がります。
 しかし、これでは只の荷電粒子ビーム兵器にしか過ぎません。ちなみに荷電粒子の一種が大気圏内で見える例にオーロラが挙げられ、肉眼でも見える事もあり ます。前述しましたが、これらを本作のAC世界で《電磁パルス兵器》とするのは以下からになります。
  作中での解釈として現状の荷電粒子自体の破壊力はそう高くなく、むしろ誘発された強力な電磁パルスの特殊な効果に重きを置いた兵器と設定しています。
 これは現代のテクノロジーで荷電粒子ビームが目標《主にミサイル》に命中せずとも至近を通過するだけで、電子部品に損害を与える機能の特化型です。
 このビームに伴う電磁パルスは荷電粒子ビーム本体の破壊力と比べて遠くまで影響を及ぼし、約3倍位の射程がある様です。
 効果として強力な磁場がコンピューターや制御装置やプログラムに極端な電荷と磁場を与えて破壊してしまう事になります。
 また一部機種は一定の距離敵機が離れると物理破壊主体から電子機器破壊メインへと攻撃方法をスイッチしてしまう機種も存在します。
  粒子の速度は通常、光速に近いという物なのですがAC世界では、携帯する装置自体の小型化に際して、そこまでの加速は不可能であると解釈せざるを得ません。
 余談ではありますがACのミッション《レイヴンズ・ネスト》に登場したナインボールは更に連射性を重視したチューンド・タイプを使用していたと思われます。
 言わば電磁パルスは、プラズマ兵器を矢と例えるなら、ACにとって電子機器を破壊する《毒矢》に相当する兵器なのです。
 実際、ゲーム中のミッション《制御装置破壊》などに同様損害効果をもたらす《電磁バリア》も登場しています。
 いわゆる一種のEMP兵器と呼ばれる敵のエロクトロニクス機器にダメージを与える物がパルス兵器と本作品では定義しています。
 蛇足にはなりますが、これらの電磁兵器の存在などが、この時代のACなどが超高性能で高密度な広域索敵器機やFCSなどを装備する事が出来ない理由にもな っています。デリケートな装置は当然ながら壊れ易く、戦闘機械への搭載は難しくさせているのです。
 故に耐久力や電磁、磁場など最も精密機器が苦手とする耐性の方を優先して求められる背景があるのです。
 コンピューター関連も頭部とコアへ分散配置され、FCSも索敵レーダーとは別に作動しているのもこれらの理由が大きい訳です。
 強化人間であるプラスもまた搭乗するレイヴンもまたAC最大の弱点とも言える部分をカバーしようとしているのです。
 コアのコクピットには、特に防御機能をACは過分とも言える装備しており、マテリアルも他とは違う専用の物が使用されるのが普通です。
 これら電磁パルス・電磁波攻撃を利用したと思われる兵器を挙げて行きます。
 先ずは《WR−RS7》 通称スペシャル・ロケットと呼ばれるMOAから登場した装備ですが、これは電磁障害効果を破壊目的でなく、更に特化させ、軽度の障害効 果が持続する様にした物と思われます。
 次に《WC−SPGUN》通称エネルギー・スラッグ・ガンです。理由として荷電粒子が、他のプラズマやレーザーを使用した兵器と大きく異なる点である《質量》 を持つ点にあります。つまり撃たれた場合、反動があるのです。他の荷電粒子兵器は、それに重きを置いていないのでACにとっては反動影響は出難い(スパイトフルな どの物には若干の反動はありますが、これはマイナー・バージョンとして定義しております)のですが、スペシャル・ロケット同様に、このスラッグ・ガンも質量放射に 重きを置いた特化兵器と考えております。
 そして最も解釈が難解かつ、自由なのが《WG−RF/E》通称エネルギー・スナイパ−・ライフルと《WG−MG500/E》同じくエネルギー・サブ・マシンガンと 呼ばれる二種の兵器です。前者であるエネスパ《略》は基本的には前回述べたプラズマ兵器の一種なのですが、プラズマの熱的破壊と共に、それを誘導する為の電磁波を 利用して熱と電磁の両面からACにダメージを与える《折衷兵器》(射程に特化したプラズマ・ビーム・ライフル)であると考えられます。
 これもパルス兵器と機構は、ほぼ同様ですが断続的に射出するのではなく、かなり収束してからビームとして射出する方式で、ある意味では最もビーム・ライフルの正統 的な兵器という事ができます。ビームの収束と発射後の機器の冷却に時間を要しますのでリロード・タイムが長くもなっています。
 そして残る後者のエネサブ《略》ですが、これも基本的にエネスパと同様に進化を遂げた《連射特化したプラズマ・ライフル》と考えています。
 通常のプラズマ兵器の収束を簡略化して、エネスパとは逆にプラズマビームを連射する様に造られた物で、上記のAC世界におけるパルス兵器と同様、断続しての 擬似連続照射を行うプラズマ・ライフルと考えて設定しております。一撃が与える熱ダメージや衝撃は小さい物ですが断続的にであれプラズマの熱弾を連続して発射しま すので擬似的なプラズマ熱線の連続照射を行っている事になります。故に敵機に当て続ける事が出来れば時間単位の破壊力はケタ外れの物となります。
 本作には未だ登場はありませんがバグと呼ばれる生体兵器が吐き出すスプライト弾というのもあります。
 スプライトとは雷雲上空で起こる発光現象の事で、飛行機のパイロットなどが空中で火柱状に光る発光現象を見かけた事により発見された自然現象です。
 ちなみにスプライトの語源は妖精で、雷などに近い物とお考え下さい。本世界観においては電撃攻撃としてバグの体内で(バグもまたナノマシンによる生体兵器)生成され た電撃などを吐き出す事で、強い電磁波でエレクトロニクスへのダメージを及ぼすと設定しております。
 これにより全てのエネルギー兵器は最終的にそれぞれのプロセスは違えど、熱と電磁波と衝撃による物と限定出来て、ACがそれに対する防御策もおのずと可能な限りで特 定出来る事になりました。以上に挙げた武装に共通して言える点は現代と加速器や冷却方法、省電力により《驚異的な小型化》に成功している点です。
 これらの小型化の技術はネストよりもたらされた技術なのは言うまでもありません。それと当然の事なのですが、これらは総じてACがジェネレイターの供給とは別に大電力 を貯える事を可能としていると言う前提にも基づいており、コンデンサーの技術とそれに付随する技術(24ボルトのバッテリーで車が動いてしまうのと似た)がAC世界には ある事と、ゲーム中ではE兵器には衝撃がほとんど無く、一部の物しか衝撃でACの脚は止まらないのですが、これら足止め効果の見られる兵器は特に一気に広い面積で衝撃 を与える兵器で接触センサーが狂いやすくなる物であるという設定を追記しつつ、この項目の説明を終えたいと存じます。



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