- RESEARCH 14-
考証 14

 この物語《クライム・オブ・デイスキャナー》は言わずと知れた、
原作《アーマード・コア》をベースとした非公式アフターストーリーです。

 これらの設定は二次創作作品ARMORED-CORE『CRIME OF DAY SCANNER 』におけるものであります。
作品描写の為に多少、オリジナルのAC設定とは一部は逸脱したものである事をご理解くださいませ。
逆に可能な限りACのゲーム内の表現にも合わせる方向で努力しており、実際の物とは違う機器名称の変更や事象の曲解も行っております。
これらの設定が現用兵器や機器、他のロボット作品にも当てはまらないフィクションでもあります。
本考証解説は特に機構などの説明において専門用語のみの記載を避け、可能な限りで『分かりやすく』を主眼としています。
それ故に長い説明や、かなり強引な例えなども行っている事もお分かり頂きたく存じます。
尚、「アーマード・コア マスターオブアリーナ公式ガイドブック」より後年発行の書籍の設定は参考程度に留め、前発行物との相違や矛盾点がある為 に統合が困難で、完全な遵守の方向性には無い事も、どうかご理解賜りたく存じます。
一応、意識はしていますがARMORED-CORE2とは直結する様にも、この作品をリリースした時期等の理由により残念ながら設定はしておりません。
また個人の好みも多分に含んではおりますが、これら設定のコンセプトは「AC世界の解像度を上げる」「この世界観を楽しむ」といった方向で誠意製作 しております。
世界、機構の設定等、オリジナルであるACを損なう目的の物では決してありません。
世界設定などは一部、都市設定募集の企画投稿にお寄せ下さった読者様方の設定も、当作品なりに解釈して使用させて頂いています。
それらの全てをご留意願って長い前置きとなりましたが、本作品をこれからもお楽しみ下されば何よりも幸いと存じます。



《地上戦艦クレアド》

 アンバークラウン出身のレイヴン傭兵集団《フィーレン一家》の所持する陸上戦闘艦。
 元は大破壊前の陸上戦艦であったが現在は改修され、どちらかと言えばA・Cの陸上空母的な用途で使用されている。
 全長130メートル、全幅50メートルで大破壊前の陸上戦艦としては平均大と思われる。
 武装には対要塞用180ミリ実体電気主砲、対空・対A・C用KARASAWA型レーザー副砲×8、対M・T用ミサイルポッド×8、対戦 車120ミリガンランチャー×6、ミサイル迎撃用20ミリ機関砲・及びミサイル×4、その他対人用機関砲、榴弾砲など多数武装を装備し ている。駆動系は超大型無限機動を4機装備しており、それぞれ独立していてホバー機能をも有している。
 更にジェットエンジンによる推進も併用して最高時速は平地で時速100キロを叩き出す。まさに陸の移動要塞といえる。
 原動力はソーラー発電と、この世界には極めて珍しい原子力。防御面ではオーバーテクノロジーによるE兵器を屈折させる超電磁フィールドと 実体弾を減衰させる斥力波フィールドを装備しているが、回数に制限がある為と作動が不安定である事から滅多に使用される事はない。
 同型艦にベルウィッツとタウトの2隻の艦が未だ現存するらしいが、所持している組織や団体は不明。 ロストテクノロジーの塊であり整備不可能な部位を有する。


《フィーレン一家》

 アンバークラウンを根城とするレイヴンを含む傭兵集団。
 全盛期は8人のレイヴンを擁し、全員がエース・レイヴンで《プラス・ハンター》の異名をとる程の凄腕集団であり付近で知らぬものの無い程 に有名な集団であった。しかしながら、ウェンズディ機関抗争に参加し、同組織の精鋭部隊と正面から衝突。殆どのレイヴンと首領を失い、大 幅に戦闘力を削がれ現在に至る。現頭目は先代首領の孫のスー・フィーレン。
 アンバークラウンでは最早、再起の見通しが皆無な為、連立都市タブレット・コミューン有力企業のティンク・エンシェント社と期限付き専属 契約を結び、連立都市入りを果たす。
 ちなみに前頭目を殺害したのはアンバークラウン・レイヴン時代のゴディバである。


《ゼクシェイド》

 連立都市ネストの実動部隊、スレイヴ・クロウのメンバーであるケイ隊長の乗機。
 薄い青竹色のカラーリングが施された旧ムラクモの不知火に酷似したA・C。
 最大の特徴は格闘戦が行える点にあり、通常のA・Cでは到底不可能な至近距離の肉弾戦を得意とする。
 外装以外の殆どは大破壊前のA・Cの原型となった戦闘用ロボットをベースにしており、ネストが現在の規格に合わせたデ・チューンを施してい ると思われる。
 左肘装甲を兼用した《電磁ナックル》は電磁破砕方式の格闘武器で分子の繋がりを緩ませて、装甲構造の根本から破壊する驚異の武装。
 さらに強電磁波はエレクトロニクス機器にダメージを与え、掠っただけで致命傷になりかねない恐ろしい物である。
 因みに、この機体は酷似した物を含めて50年以上前から活動が確認されておりアイザック・シティのナインボールと並び不気味な憶測による諸 説が連立都市レイヴン間で囁かれている。



○ミサイルについて

 今回はAC世界におけるミサイルについて考察したいと思います。
 先ずAC世界のミサイルというのは『敵を追尾して独力で飛行する飛翔武器』という分けかたをしたいと思います。
 ロケットやバズーカ弾同様に推進は主に固形燃料による物で、特にミサイルは撃ち出して後に母機が完全に独立移動可能な《アクティブ・ホ ーミング》式の物であるとしています。
 ロケットは『目標に向って直進するだけの武器』で、追尾能力が無い点がミサイルと区別するポイントです。
 内蔵する炸薬や推進剤の量により、ネストが定めたサイズ規格に基ずく大・中・小の別が有りますが基本機構は全て同じです。
 また急激な方向転換を行うACに対して飛翔の速度を抑えて、追尾性能を上げる方向で進化しています。
 これによりACには『見て何とか避けれる』レベルまでにはなってしまいましたが、高速で飛翔させるよりもトータルでは、この世界においては命中率 は上がっています。また、攻撃が外れた際に都市などへの被害が若干は少なる為に企業間で低速ミサイルは推奨されています。
 弾頭は着弾の後、熱噴流により装甲を溶かす《対戦車榴弾》方式と、着弾時に弾頭が潰れて面積が広くなり衝撃波で主に内部を破壊する《粘着 榴弾》が連立都市では流通しており、ミサイルやロケットも同様の物が多く使用されています。
 これら全てに言える事は地下都市でレイヴンと言う個人が使用するにあたりセーフティが働いており、必ず何かに着弾しないと爆破が起きない様になってい るという点です。つまり近接信管方式と呼ばれる、ある程度目標に近い距離で爆発すると言う命中率の高い方式は採用されていない点と、同じく飛翔速度の 制限などもある事にも注意なさって本編をお楽しみ頂きたいと存じます。
 AC用ミサイルは《大・中・小》の大きさによる区別と、拡散する様に飛翔する《特殊》と言う飛翔形態に区別されています。
 基本的な構造は現用よりも超小型に進化した赤外線シーカーがA・Cが機動中のジェット・エンジンなどの熱による自然界現象とは明らかに桁が違う《赤外線》 の量を捕えてこれを追尾するのが一つの基本と考えます。
 ただ、これだとフレア(赤外線を極めて多く放つ機器)などの囮に引っ掛かってしまう為、ジェット・エンジンの排気煙まで捕える様に検知機能は拡大されています。
 近くに溶岩などがある場合でもFCSは温度差を検知して、後述しますがミサイルへと目標のインストールを行っています。
 因みにシーカーと呼ばれる検知機には硫化鉛を主に検知する素子が用いられているのが普通です。
 これは現用の物とそう大差ありませんが、AC世界で特筆すべき点は極めて小型化している点が挙げられます。
 更にこれは、あくまで補助的な物でありAC世界の追尾システムは下記の更に優れた物との2重システムと本作品では考えています。
 AC世界のミサイルは総じて『画像認識クルージング・システム』と思われます。
 これはACが捕えた映像をFCSのコンピュータが処理し、目標のある程度の形状を数値化して記憶、それをミサイルへと短時間でインプットして形状を記 憶させてしまう追尾方式です。これは欠点もありミサイル1機に搭載出来る記憶媒体がスペースやコストなどの面で限られてしまう事と(近接信管を廃してい る為に少し余剰スペースがあり、その部位が2つ目のシーカーに占有されていると言う解釈です)その性能の劣化に伴い短時間で射出しないといけない関係か ら限定された画像範囲でしか数値化してインプットが行えない点があります。ただし素早く動く敵をロックするのに時間が掛かる欠点も持ち合わせます。
 これは各FCSに関わる事で、自ずと範囲解析の性能に個々機器の差が出来る事になります。
 これが所謂『ロックオン・サイト範囲』と言う事になり、画像の大きさによるコンピュータ処理の関係からの『ロックオン距離』と言う問題が発生すると解釈 しております。更にインプットの速度による『ロックオン・スピード』と言う事になるのです。アクセラレータと言うロックオンのスピードを増す装置は当然 ながら画像の解析アクセラレータと言う事になる解釈で、これから幾つかのミサイル発射前の制限の説明と致したいと存じます。
 超小型赤外線検知機と、形状認識装置の2つが合致しないとACはミサイルの発射を行えない様にネストから規制が行われている点も重要でミサイルの一部機種 には極めて破壊力が高い物が存在する為に、レイヴンという個人の傭兵による乱用を防ぐ意味合いからセーフティとしてこのシステムがあると本作では考えてお り、一方の赤外線検知の方を前述のフレアや、細かい金属コートした糸などをまいて電波を乱すチャフ、そしてレーダー電波などを狂わせてしまうジャミング・ ポッド、或いは強い電磁波で画像処理を乱してしまうのが《ロックオン・ジャマー》と呼ばれる機器の構造であり、これらに対する防護や例外措置によるセーフ ティ解除機能が《ノイズ・キャンセラー》と言う事になります。
 これらはレイヴンの意識しない水面下で秒ごとの激しい妨害と修復の攻めぎあいを繰り返しており、これに密かにACは電力やコンピューターの能力を大きく割り 振っている点も追記したいと思います。現状では修復能力が一部強力機器を除いて若干勝っており、それがジャマー妨害間隔の約5秒と言う数字になって表われて いるとも解釈しております。
 ACのミサイルで小型と呼ばれる物は8機種あり、同時発射の発数でグレードが分かれている物が4種類(一部と同一機種だが腕武器が2機種)と、炸薬を減らした 弾数装備が極めて多い物が1種に、推進燃料を増加させて追尾距離を延長した物が1種存在します。
 総じてこれらは《マイクロ・ミサイル》と呼ばれ、対地・対空など用途を選ばない点が他のカテゴリーの物と同様に極めて優れています。
 小型にカテゴリーされる武装は比較的攻撃力が低い為、ネストによる規制も緩く、この世界でのミサイル本来の性能に極めて近い物となっている点も特筆すべき事で しょう。本来は歩兵が持つ対戦車ミサイルが進化の元で、反動も少なくACという巨大兵器ならば大量に搭載する事が可能な点が最大のメリットと言えるでしょう。
 ただ、余りに搭載量の多い機種は一部マガジン式になっており、ACの腰部などにマガジンをフックしている機体も連立都市では多く見られます。
 弱点は比較的、歩兵用のミサイルに端を発している事から射程が短い事があげられます。加えてACの使用するミサイルは比較的低速であります。
 これは、この時代に地下都市において高速戦闘機による戦闘が殆ど行われないからであり、長距離で高速なミサイルよりむしろ低速で追尾能力の高い物が必要とされ ていた事に起因します。逆に航空機もまた主に対地攻撃機が主流となり、ACなどと同じ兵器を搭載した機種が大多数を占めています。
 ACのミサイルが優れた点は対地、対空など用途に限定されない点も挙げられます。
 中型ミサイルは、この3種類の中にあって最大の特徴を持つ《垂直発射式》の存在が極めて特徴的といえます。
 この装備は元々、やはり対戦車ミサイルに端を発しており、戦車の比較的装甲の薄い上部装甲を狙う《トップ・アタック》をするべく開発された機種と解釈しております。
 複次効果として戦場を選んでしまう欠点があるものの、遮蔽物に隠れたままでの一方的な攻撃を可能とする点で他と一線を画しており、一時期レイヴン間でも絶大な支持を 受けた装備です。この装備の存在によりACは開けた地形でも武装において決定的に従来型の戦車に単機でアドバンテージを誇る事が出来ています。
 比較的に小型よりも規制が強く働いており、対空用に使用するには少し飛翔速度に難のある規制があり小型機種に一歩譲る形になっている点も捕捉しておきたいと思います。
 大型に入る機種は2種類しかACは搭載出来ません。 これらは本来、他の強力な兵器達が装備していた装備でACにもそれらとの対抗の必要性から、ネストが許可した例外とも言える強力な武装です。
 いずれも飛翔速度に制限が大きく架せられ、極めて進んだAC世界の迎撃システムの前では真価を発揮出来ないケースが多いのですが、ACの持ち前の機動性を主軸とする 柔軟な運用で充分にカバーする事が可能になっています。元々は対地上戦艦用の大型弾頭でACでも搭載数が限られてしまいます。
 それを補うべく《ATミサイル》と呼ばれる機種は広範囲に効果を齎し、かつ強力な炸薬が搭載されており、直撃の威力は凄まじくACはもちろんの事、小型の戦艦などで も本作品では数撃で撃沈する事も可能となっています。 ただし最もネストの規制が強く働き、搭載数と射程、それに飛翔速度は最低の物となっておりセーフティ機能が高くなっています。
 本作品のACは核ミサイルは装備する事はありません(公式書籍に核ミサイルの記述がある為に、存在はしますが)連立都市ネストやアンバークラウンでは、これらの規制が 極めて緩かった初期ロット製作分も少数ながら流通している事も追記しておきます。
 そして最後に特殊ミサイルと言うカテゴリーの説明に入りたいと存じます。
 これらは両肩武装を含めて全部で6種、更に大別して同時に同一弾頭を複数発射する機種と、発射後に親ミサイルと分裂して目標へと向かう機種に分けられます。
 まず前者ですが、これらは進んだミサイル迎撃システムとジャミングに対応すべく瞬間攻撃力を特化させた機種と言えます。
 更に多対一を余儀なくされるレイヴンにとってロックオンスピードなどの規制のある中で少ない攻撃チャンスを最大に生かせる様に与えられた装備でもあります。
 単純に一度に数発のミサイルを射出して迎撃を不確実にすると言う対抗策ですが、かなりの効果を持ち命中の確実性においては他に大きく勝っています。
 もう一方の拡散型(マルチ・ミサイル)と呼ばれる機種は大陸間弾道ミサイルの思想を受け継ぎ、飛翔距離などで難のある小型ミサイルの航続距離を稼ぐ手段としての二段ミサイ ルとして生まれましたが、前者の同時発射型同様の効果が見られ、分離前の撃墜がリスクとして残りはしましたが極めて優秀なシステムとして完成に至っています。
 更に拡散の意味合いとして、上側を飛翔する数発は固定目的ならば、着弾時に装甲に対し最適角度で熱噴流が起こる様に工夫されており、これらもトップ・アタック同様に戦車な どの薄い上面装甲を狙える様にもなっています。
 いずれも着弾せず推進剤を使い切ったミサイルは信管が作動しなくなる工夫もされており、後に都市側が回収して再度使用可能にする事もあります。
 これによりミサイルのコスト・ダウンも図っているともされます。またACには特殊な機構が存在しており機体の挙動とミサイルの飛翔が連動しています。
 つまり、前後移動しての射出や、斜め移動などで飛翔ルートが大きく変わります。
 これはより敵機へとミサイルを効率よく命中させるべくレイヴンに運用させる為の仕様で、これらを上手く使いこなす事で命中率が上がる様に製作側が意図してFCSのミサイル へのインプットの際に機体の挙動情報を加味している物です。当然ながらこれらを使いこなすレイヴンはミサイルでの撃破率が上がります。
 この技術に長けたミサイルに対しての『使い手』と称されるレイヴン達も、この作品の世界に居る事も追記いたします。



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