- RESEARCH 16-
考証 16

 この物語《クライム・オブ・デイスキャナー》は言わずと知れた、
原作《アーマード・コア》をベースとした非公式アフターストーリーです。

 これらの設定は二次創作作品ARMORED-CORE『CRIME OF DAY SCANNER 』におけるものであります。
作品描写の為に多少、オリジナルのAC設定とは一部は逸脱したものである事をご理解くださいませ。
逆に可能な限りACのゲーム内の表現にも合わせる方向で努力しており、実際の物とは違う機器名称の変更や事象の曲解も行っております。
これらの設定が現用兵器や機器、他のロボット作品にも当てはまらないフィクションでもあります。
本考証解説は特に機構などの説明において専門用語のみの記載を避け、可能な限りで『分かりやすく』を主眼としています。
それ故に長い説明や、かなり強引な例えなども行っている事もお分かり頂きたく存じます。
尚、「アーマード・コア マスターオブアリーナ公式ガイドブック」より後年発行の書籍の設定は参考程度に留め、前発行物との相違や矛盾点がある為 に統合が困難で、完全な遵守の方向性には無い事も、どうかご理解賜りたく存じます。
一応、意識はしていますがARMORED-CORE2とは直結する様にも、この作品をリリースした時期等の理由により残念ながら設定はしておりません。
また個人の好みも多分に含んではおりますが、これら設定のコンセプトは「AC世界の解像度を上げる」「この世界観を楽しむ」といった方向で誠意製作 しております。
世界、機構の設定等、オリジナルであるACを損なう目的の物では決してありません。
世界設定などは一部、都市設定募集の企画投稿にお寄せ下さった読者様方の設定も、当作品なりに解釈して使用させて頂いています。
それらの全てをご留意願って長い前置きとなりましたが、本作品をこれからもお楽しみ下されば何よりも幸いと存じます。



ARMORED-CORE CRIME OF DAY SCANNER  世界設定(外伝)


○OUTER MISSION 3 〜暴徒殲滅〜 追記

 この作品はラスティが連立都市にたどり着くまでのお話です。
 彼がジルコニアで改造されて脱走したのが十七歳、その後に彼は約一年かけて連立都市にたどり着いています。
 その間、追手や野党の襲撃を受けていたので他の都市にも補給などで立ち寄ったりはしていました。
 彼が冒頭に傷ついていたのは襲撃にあったからであります。
 ラスティもまた逆に生活の糧や、弾薬、燃料を得る為に潜伏するテロリストの拠点や企業の隠密部隊などを襲撃していました。
 その間の特にレスヴァークの右手武装は奪った物を使用していた為、一定はしていませんでした。


○OUTER MISSION 4 〜無題〜 追記

 カシスの母親はシスター・ルラエ。連立都市では『聖女』と呼ばれる偉人です。
 カウンター・マフィア・ガード(C・M・G)の無慈悲な行動を非難して狙撃による暗殺をされました。
 通常の都市エリート・ガードであったワイルド・カードは彼女の護衛役だった事もあります。
 享年三十五歳、誰からも敬愛され慕われる人物でした。
 因みにワイルド・カードはカシスがシスター・ルラエの娘である事は知りません。
 父親は無差別テロにより爆死しており遺体の判別不可能である為に準市民の共同墓地に葬られています。


○OUTER MISSION 5 『宇宙ステーション推進システム破壊』
 〜デイスキャナーの世界における時代背景の説明〜


 組織・企業について
 この当時、アイザック・シティのクロームが絶世の極みにあり、世界の中心でした。
 それに対抗する為に、他のクローム独走態勢を良しとしない企業は連携して《新企業連合体》として対抗していました。
 その中で最も力のあるムラクモ社が新企業連合のリーダーとなります。
 もともとクロームは企業連合のリーダーとして百年計画を推進させて来ましたが、最終的にほぼ全ての連合参加企業を傘下に収めました。
 同様にムラクモ社もそれに倣って連合を統合しムラクモ・ミレニアムとしてクロームの百年計画を揶揄しつつ、千年王国の名を冠する巨 大企業へと成長を遂げ、対抗するに到ります。
 技術屋集団であり、経営や都市運営にやや弱い傾向にあるムラクモ社が急速に躍進したのはこういった背景がありました。
 この時期、単なる弱小都市の一つであったアバロン・ヒルが急速に発展して新興都市アバロン・バレーとなりました。
 ムラクモが本社をここに移転する頃には、アイザック・シティの市場を近い将来に脅かすだろうと言われる世界第二の都市までになります。
 そうして《アイザック・シティ=クローム》対《アバロン・バレー=新企業連合体(後に併合、吸収でムラクモ・ミレニアム)》の図式がここに出来上がる事となります。
 当時、アイザック・シティに本拠があった関係からレイヴンズ・ネストは、ややクローム側に肩入れしていました。
 連立都市ネストは逆に当時、水面下で新企業連合に協力してアイザック方面の弱体化を促進させるべく暗躍していました。
 これより更に後年に、「イレギュラー」と称される謎の伝説のレイヴン(初代ACをクリアした貴方)により、ネスト及び二大企業は解体と なりアイザック・ネストまで壊滅となるまで抗争は絶えず続く事となります。
 デイスキャナー世界では、この後にアイザック・シティとアバロン・バレーを制したのがプログデック社と、新興のバージュ社になっています。
 しかし過去の企業の様に強大な統率力もこの二社になかった為に、各地で紛争が絶え間なく起こり、徐々に大深度戦争の道を辿ってゆく… という設定になっています。
 伝説のレイヴンや、イレギュラーは確かに世界を動かす偉業を果たしましたが何も変わる事はありませんでした。
 むしろ世界の世情を不安定にしたとさえ言われており、イレギュラーに関しての功罪意見は永らく後年の歴史家の間でも意見が分かれています。
 なおOUTER MISSION 5の当時、ACのパーツは本編の頃より少なく、その殆どがネストからの技術提携の賜物による物でした。
 初代AC時に新パーツとして紹介される報酬や、ショップに後から並ぶ物は全てこの時期には当然ながらありません。
 強化人間についても、この時代にはまだムラクモが遺跡や朽ちた戦艦や基地などから技術を発掘しておらず居ません。
 公式的には資料により過去の経緯があやふやであり(本によってはページ毎に)一定ではありませんが年表にすると一応…

○新西暦100年頃 
 世界規模の大戦争《大破壊・カタストロフィ》終わる。国家壊滅・戦争終結・企業支配体制が始まる。
 世界復興の為の《百年計画・センティニアル・プラン》の開始・企業連合が発足して地下複合都市アイザックシティが建設 されて実質的に全世界の首都になる。

○新西暦110年頃 
 主に反クローム社企業が提携・同盟を結び合ってアイザックで企業連合体に対抗する。
 このアイザック・シティ内抗争が世界中に飛び火して各地で武力衝突の域に。この頃にACが戦場では姿を現す。
 企業間抗争激化に伴い企業連合体がレイヴンズ・ネストなる組織を発足させる。その後、間もなく企業連合体が解体となる。
 反クローム勢力、新企業連合体としてそれまでの中立を保っていた企業を抱き込み、その勢力を急速に拡大させる。(クロームが完全に百年計画遂行機関を一手に担う様になり、企業体連合参加の企業がクロームに殆どが接収された形となる為、企業連合体は消滅してクロームの名の元に併合される。ネストも名目は企業連合体の開設だが同様にクロームが行った)

○新西暦120年頃 
 地方小都市アバロン・ヒルの開発主導権争いにクロームと新企業連合体が同時に参入、これが事実上の宣戦布告となり更に抗争は激化。
 強大なクロームに対抗すべく新企業連合が統廃合され、当時最有力企業であったムラクモ社が主遂行機関となり《ムラクモ・ミレニアム》となる。
 ここに二大企業間抗争が始まる。
(OUTER MISSION 5の頃の世界)
 レイヴンズ・ネストは各企業からの運営融資を表面上は一切受け取らなくなり、完全に独立した組織となる。

○新西暦130年頃 
 アバロン・ヒルがアバロン・バレー(アヴァロン・ヴァレー)として再構築されて新興都市が誕生する。
 一応、ムラクモ・ミレニアム側がアバロン・バレー闘争では勝利を掴む。(実はレイヴンズ・ネストの肩入れによる処が大きい)
 ムラクモ・ミレニアムがアイザック・シティから本社を早々にアバロン・バレーへと移動させる。
 クロームは警備を口実に軍事基地や工業・農業施設を残してアイザックへ撤退。事実上の敗北をする。

○新西暦140年頃 
 大きな戦争や抗争、歴史の流れはなく一般的には一応の冷戦状態に。
 水面下では各地で小競り合いが連日の如く行われ、傭兵組織であるレイヴンズ・ネストが暗躍し、その地位を確固たるものにする。
 (クローム、ムラクモ・ミレニアム共に下部組織や企業に攻撃を委任・支援する形で営業妨害や施設破壊は各都市で延々と継続)

○新西暦150年頃 
 アイザックシティおよびアバロン・バレーでのクロームとムラクモ・ミレニアムのシェア争いが激化する。
 二大企業間抗争が最大規模になり、周辺の各都市でも関連・提携企業が武力衝突する様にまでなりレイヴンズ・ネスト登録のレイ ヴンも過去最多に。
 レイヴンズ・ネストが名実共に各テロ集団や企業を凌ぐ世界最大のA・Cを擁する組織にまでなる。
(A・C、PSゲーム3作品の世界)

 イレギュラーと呼ばれる一人のレイヴンの尽力によりクローム、ムラクモ・ミレニアム、レイヴンズ・ネストが壊滅する。
 アイザック・シティ、アバロン・バレー共にプログデック社、バージュ社が規模こそ縮小するも二大抗争を、ほぼ引き継ぐ形となる。
 世界中の各社が覇権を巡って乱戦状態となる。アイザック・シティ、アバロン・バレーが急速に勢力、影響力を失い、新西暦156年の大戦である《大深度戦争》に至るまで各地、各社の抗争が絶え間なく続く。
(CRIME OF DAYSCANNERの世界)

 というのが公式の設定を整理したものにデイスキャナー設定を足しこんで補足した大まかな世界や時代の流れとなっております。
 いささか大破壊より50年と急な世界復興ではありますが、これらはすべて旧世界の遺産を管理するレイヴンズ・ネストの影響が大きい ものと解釈して設定しております。それに反比例してA・Cなどの軍事に関する技術進化が、いびつで緩やかなのもその為です。



《カール・シュベルト》
斬撃を得手とするアイザック・シティで当時、近距離戦闘最強のレイヴン。
レイヴンネーム公式登録はカールとなっている。
そのアッセンブルは極めて特異で、現在のアリーナ・スタイルACと変わらない装備のACであらゆるミッションを遂行していた。
妻はクロームがらみのミッションで新企業連合体に惨殺されており、娘は後にムラクモ・ミレニアムのエリート・ガード隊員として義兄であるテッド・クロサワの護衛にあたっている。
 彼はこのミッションの後、世界中を逃げ回りつつ、新企業連合体に仇なし続けたがムラクモ・ミレニアム発足後は、彼の行動や足取 りも消えて現在は行方不明。
 ただ、彼の乗る友の形見のAC《アンクレット》だけが傷ひとつない状態で成人したテッド・クロサワの元に送られた。
 彼もまた伝説とされるレイヴンの一人である。

《エディ・クロサワ》
 射撃を得意とする凄腕のレイヴン。
 カールとはアイザック・シティ貧民層の出身時代からの親友で、弟分であった武涙ともども家族同然の間柄であった。
 レイヴンズ・ネスト発足当時においてナインボールなどと並び『伝説のレイヴン』と称されたレイヴンの一人。
 豪胆にして緻密なミッション遂行や戦闘は完璧を誇り、実質的な敗北はただの一度も無かった。
 後にジルコニアに接するムラクモ・ミレニアム主幹テッド・クロサワの父親で、妻とは数年前に離婚している。
 その伝説的な活躍とは相反して、徹底してプライベートでは他人との親交も殆どなかった為に不明な点が多い。

○アルベリオ
 アイザック・シティのレイヴンであるカール・シュベルトの駆る超軽量級のAC。
 ブレードとハンド・ガンしか持たないアリーナ・スタイルに近い装備であり、この装備で 彼はどんな困難なミッションであっても装備を変更する事はなかった。
 近接攻撃の性能では当時流通していたパーツの中では最強を誇るアッセンブルである。 ただし軽量・近接戦闘力と引き換えに機体の防御性能とAPなどは極端に低く、特に間接 部などがデリケート過ぎて整備を含めた保守管理面で極めて扱い難いという欠点を持つ。
 またレーダーの範囲も狭く戦場の適応性には大きく欠けると言わざるを得ない。
 機体のオフ・ホワイトのカラーはわざと敵機に視認させ先制攻撃をさせる事で索敵能力の低さ を補う意味があり、回避能力が絶技の域に達していたカールならではの戦法の一環でもある。
 対地攻撃時の低速とはいえ飛行する航空機はおろか、飛来するミサイルを起爆させずにブレー ドで両断する妙技も備えており近隣で接近戦においては完全無敵を誇っていた。
 ムラクモ・ミレニアム発足前の当時においてレイヴン間では知らぬ者なしの超フェイマス・ACであった。
 最終的なアイザック・ネストの記録によればアルベリオは落下して大気圏で破砕した宇宙ステ ーション『クスノキ』にて任務遂行時に損壊し、その際に放棄されたとなっている。

○アンクレット
 レスヴァークのベースとなったA・C。
 ムラクモ・ミレニアム発足当時にエディ・クロサワ(レイヴンネーム登録はクロサワ)が 搭乗していたA・Cで当時最高の索敵能力を持ち、右手に装備されたプラズマ・ライフ ルであるKARASAWAを装備した上に、接近戦闘も最高のブレードを装備した超高 性能機体であり、当時では対抗可能な兵器やA・Cはごく限られた程であった。
 機体本体の整備性や保守管理も比較的容易で、特にフレームの剛性は中量A・Cとして は破格に高く兵器としてのトータル・バランスにも優れている。
 頭部はアイザック方面の生産ではなく連立都市のライセンス生産品であり、コアはアバ ロン・ヒルで生産された仕様になっている。
 搭乗するクロサワはアイザック・ネストから特例として重量違反認可を受けており、近 隣都市では伝説のレイヴンの一人として称される腕前でもあったが宇宙ステーション落下 阻止ミッションの際に死亡、本機も大破して放棄されたと公式には記録されている。
 その後、よく似たA・Cを僻地の戦場で見かけたとの報告があり、クロサワ生存説も囁かれるも、次第に時の流れの中でこのA・Cを知る者も減り、真偽の程は定かではない。
 後にムラクモ・特殊ガード隊員のマリアがこのA・Cを継承し、所有している。
 一般に破損率も高く、パーツを丸ごと交換する事が多いA・Cが、数代に渡って継承される 事は非常に稀にしかない。
 マリアが使用していた際も、度重なる戦闘で各部(特に四肢部)は、ほぼ完全に同型の新規パ ーツに交換されていてベースとなったオリジナルのパーツは少なくなってしまっていた。
 ちなみにマリアはレイヴンではない為に本機は正式にネストへの登録はされていない。
 現在は右手に装備されていたKARASAWAは連立ネストのデリンジャーが奪取して所有。
 肩部の大型ミサイルは失われ、その他の本体はラスティが譲渡されレスヴァークとして連立都 市にて細部パーツを変更の後に使用され続けている。



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