- RESEARCH 17-
考証 17

 この物語《クライム・オブ・デイスキャナー》は言わずと知れた、
原作《アーマード・コア》をベースとした非公式アフターストーリーです。


 これらの設定は二次創作作品ARMORED-CORE『CRIME OF DAY SCANNER 』におけるものであります。
作品描写の為に多少、オリジナルのAC設定とは一部は逸脱したものである事をご理解くださいませ。
逆に可能な限りACのゲーム内の表現にも合わせる方向で努力しており、
実際の物とは違う機器名称の変更や事象の曲解も行っております。
これらの設定が現用兵器や機器、他のロボット作品にも当てはまらないフィクションでもあります。
本考証解説は特に機構などの説明において専門用語のみの記載を避け、
可能な限りで『分かりやすく』を主眼としています。
それ故に長い説明や、かなり強引な例えなども行っている事もお分かり頂きたく存じます。
尚、「アーマード・コア マスターオブアリーナ公式ガイドブック」より
後年発行の書籍の設定は参考程度に留め、前発行物との相違や矛盾点がある為に
統合が困難で、完全な遵守の方向性には無い事も、どうかご理解賜りたく存じます。
一応、意識はしていますがARMORED-CORE2とは直結する様にも、
この作品をリリースした時期等の理由により残念ながら設定はしておりません。
また個人の好みも多分に含んではおりますが、これら設定のコンセプトは
「AC世界の解像度を上げる」
「この世界観を楽しむ」
といった方向で誠意製作 しております。
世界、機構の設定等、オリジナルであるACを損なう目的の物では決してありません。
世界設定などは一部、都市設定募集の企画投稿にお寄せ下さった読者様方の設定も、
当作品なりに解釈して使用させて頂いています。
それらの全てをご留意願って長い前置きとなりましたが、本作品をこれからもお楽しみ下されば何よりも幸いと存じます。



ARMORED-CORE CRIME OF DAY SCANNER  世界設定


○《セラフ》

 
人間形態と飛行形態に変形する、大破壊前大戦かそれ以前のテクノロジーにより作製された兵器。
 МoAに登場したナインボール・セラフはこれをベースとしてチューンされたモデルと思われる。
 両腕にブレード、チェイン・ガンを内蔵し、更にレーザーキャノンを装備している。
 本作に登場したタイプはジルコニアがサルベージした物で、上記の物とは細部が異なる。
 (「対戦特化。マスターオブアリーナを一生楽しむ本」に記載されているNGデザインを参照)
 腕部チェイン・ガンの炸薬や弾頭はサルベージしたジルコニアにより無理やり口径を合わせて装填
 している為に旧時代の物より威力は低化している。
 頭部に精巧な人工知能を搭載しており不気味な程にその動きは人間に近い。


○《ドライブ・ディフェンサー》

 
ゼクシェイドの肩に装備される独立して稼働する防護盾。
 電磁フィールドを盾部に形成して、主に電磁誘導されるプラズマ弾や電子ビームを屈曲させる。
 装甲材質も多重複合素材で堅牢であり、一応は塗装に対レーザーコートもされてはいる。
 猛烈に電気を消費する為と、盾とボティの連動、更に盾から発生する電磁波の防護が難しい為に現行のA・Cでは装備が適わない。
 旧大戦では強力なレーザー砲が主力兵器であった為に作られた数は決して多くはない。


○《ショック・ラム》

 ドライブ・ディフェンサーの下方先端に装備されている打突兵器。 
 強烈な電磁波を直接、敵機へと流し込む。
 シールド機能が余程完全でないと敵機は電子機器に深刻なダメージを被る。
 電磁ナックルとは違い、破砕能力は並であるが与えるダメージが敵機全体に及ぶ為に、こちらの方が強力とも言える。
 元々は戦艦に装備されていた接近装備をスケール・ダウンした物とされるが、装備した船が現存しない為にその詳細は不明。
 電磁ナックル同様、プラズマ刀身のブレードは大きく威力を減衰させられる為に接近戦において強力な武装と言える。
 一応、A・Cにも技術的に装備可能な武装ではあるが、ネストのパーツ・リリースの許可が下りていない為に使用不可となっている。


○《マッド・クライシス》

 
対A・C弾を打ち出す拳銃。
 A・Cが戦場に現れた頃に多用された対ACライフルを無理やり拳銃サイズにまで切り詰めた物。
 ここまで無茶なカスタム銃はさすがに一丁しか存在せず、名称もケイ隊長が勝手に呼称した。
 上下に大口径の銃口を持ち、装弾数は二発で弾丸はACの持つWG‐МGA1の物を主に使用する。
 反動が凄まじく肉体を強化した人間でもない限り使用する事は不可能。
 余談ではあるが現在はミサイルやバズーカ砲が対A・Cとして主流である為に対A・Cライフルも殆ど戦場では見かける事はない。


○《クルセイダーМKU》

 
自律戦闘ガード・ロボット。
 A・Cに登場するクルセイダーの後継、改良型で、武装がパルス砲からプラズマ砲に換装されている。
 センサーや稼働プログラムもバージョンが上がっており、より高度な戦略を集団で行える。
 本編登場の物はジルコニア製品で同種モデルとは機動面で劣り、火力が強化されたタイプである。
 因みにクルセイダーの原型機はこの時代、最古参の部類に入る大破壊前の設計である。



◎レーダーやステルスなどについて

○はじめに


 まずレーダーの仕組みをごくごく簡単に説明致します。
 レーダーは目に見えない電波などを空間に放出させ、その波が物体に当たり跳ね返ってくる事で対象を感知します。
 例えるなら、池の水面に石を投げ込こむと波紋が拡がります。(送信)
 その波紋は水面に何か浮いていたり、杭があったりするとその部位は拡がりを留めてしまいます。
 つまり波紋が物体に当たり跳ね返ってくるという事です。(受信)
 レーダーはこういう風にして離れた位置にある物体を感知しています。
 ちなみに蝙蝠などもこうして暗闇の中を視力に頼らず障害物をレーダーの様に感知して飛んでいるのです。


○ACの装備するレーダーのあらまし

 まずコクピットのインターフェイスの部分です。
 ACのレーダーは特別に教育を受けた者が使用しない関係から通常は情報表示がかなり簡略されています。
 我々がゲーム中に目にするレーダーは敵との距離や大きさ、数といった物が厳密には表示されません。
 これは瞬時に判断が要求される場合の措置との解釈であります。
 ゲームでは表現されては居ませんが勿論、詳細モードにする事もACには可能です。
 ただレイヴンの搭乗するACはFCSにより武装のロックオンは自動で行われますので敵機との距離というのは余り気にしない者が多く、普段は見づらくなる事をレイヴンの多くが嫌う為に通常モードでの使用が一般的です。
 ただ通常表示モードは簡略化の余り、極めて接近した機体がこのモードでは見落としがちになる欠点を有しています。
 またかなり遠方の敵機はこの時代、ジャミングが激しくAC単機ではあまり正確な感知が出来ません。
 地上で遠方の索敵は企業などが有する人工衛星で行われるケースが多く、使用が許されるミッションではACはそれらとリンクします。
 また他に策敵機器を装備した車両などを企業が用意するケースもあります。
 主に地下都市で運用されるAC本体には広大な範囲の索敵は不要であり、限られた範囲での正確性に重点が置かれています。


○ACのレーダー

 ACが装備するレーダーは非常に特殊なものであり狭い範囲を詳細にかつ、簡潔に探知・表示する物となっています。
 このレーダの極めて優れたところはビルや壁の向こう、地中、水面などの影響を受けない点が挙げられます。
 通常、レーダーは《クラッタ》と呼ばれるレーダーの電波が海面や雨などによって反射されて発生する不要な電波反射を完璧には処理しなくてはなりません。
 ACのレーダーは極めて優れており、これらを空中、地中、水面を問わず一台で全天候でやってのける性能があります。
 もちろん前述した別の策敵機器とのリンクも行いますがその精度やコンパクトさたるや現在の物の比ではありません。

 デイスキャナーにおけるACのレーダーは単一レーダーではなく複合レーダーです。
 磁気、電波、赤外線、ミリ波、などのセンサと熱画像などを感知しており、酵素を感知するバイオセンサーなども機種によって(頭部の)装備している物もあり、それぞれの欠点を補いあっています。


○ステルスとは

 レーダー等などのセンサー類から探知されたり発見され難くする技術の総称です。
 似た技術にジャミング、チャフ、フレアなどといった電子的欺瞞技術がありますがこれらはステルスではなくソフトキルと呼びます。
 これに対しステルスとは敵レーダーへ自機が電波を反射しない。あるいは電波を反射し難く吸収する。といった技術の事です。

 ACにおいては塗装にレーダー波を反射する薄膜をコートさせるのがまず一般的です。つまり反射波がレーダーに戻らない様に工夫する訳です。
 このコートの主な主成分である磁性電波吸収材料は電波を吸収できますが鉄やニッケル、フェライトや鉛などを使用しており、機体全体に塗装を施す為にどうしても重くなってしまうのが大きな欠点です。
 ちなみに航空機のステルス機と言えばダークカラーの印象が強いですが、これは単に発見され難くする為のチョイスであり基本的にはどんなカラーであったとしても色によるレーダー波を反射させる能力はACでは殆ど同じです。
 しかしながら流線型の戦闘機とは異なり人型であるACはどうしても機体に凹凸があるので、そこでレーダー波を反射してしまい敵機のレーダー検知から逃れる事はそれ単体ではかなり困難です。

 そこでACは敵機レーダーに対し能動的なステルスとは違う、受動的な方法で検知を妨害もしなければなりません。
 つまり反射波を相殺して検知されない様にする必要があるという事です。
 その為の装備が両肩にラッチされているあの円形の装置で、これは前述のソフトキルを行う装置という事になります。
 つまりデイスキャナーにおいてP-77STはこのステルス塗装とソフトキルのセットなのです。
 厳密に言えばこれらをステルスと呼ぶのはおかしいのですが、レイヴンは通称としてこれらの装備を総じてステルスと呼んでいます。

 ただし以前の設定で述べた通りACのFCSはカメラの画像による形状認識検知がメインですので、これには殆ど効果をもたらしません。
 これが『レーダーには映らないがロックオンは出来る』といったゲーム中における奇妙な現象の理由となります。
 当然ながら射出されたミサイルなども形状認識追尾なので逃れる事は不可能です。
 P-77STの円形装置は送信された入射波と、全く逆の反射波を人工的に偽造して作り出し相殺してしまうのが主な役割です。

 更にゲーム中の敵MTなどにP-77STは効果がない点についてですが、それらは単機で索敵を行わず他の策敵機器とリンクしている事が殆どであるのと同時に、一機が視認している状態であればACが存在する座標を画像認識で検知し、更に他機とリンクしてしまう為にミッションでの効果は殆ど期待出来ないという訳です。
 しかしながらアリーナなどの一対一の戦闘、あるいは多対一の戦闘においてはその効果は絶大です。
 レイヴンは孤立無援での戦闘を余儀なくされる事がままある為に、この装備はそういった対レイヴン用に戦場において使用されるケースが殆どです。

 また余談にはなりますが初代ACでタンケッテEという機種が強力なジャミングを行い、ACのレーダーをFCSを含み完全に無力化していましたが、これはECM(エレクトリック・カウンター・メジャーメント)で電子妨害装置を装備という設定にデイスキャナーではなっています。
 強力な電波などを発射して電磁的な目潰しを行っているという事になります。


くれぐれもこの設定はARMORED-CORE『CRIME OF DAY SCANNER 』における作品描写の為に
多少、オリジナルのAC設定とは逸脱したものである事をご理解くださいませ。
また逆に一部、ACのゲームに合わせた実際の物とは違う機器名称の変更や事象の曲解も行っております。



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