- RESEARCH 7-
考証 7
  この物語《クライム・オブ・デイスキャナー》は言わずと知れた、
原作《アーマード・コア》をベースとした非公式アフターストーリーです。

 これらの設定は二次創作作品ARMORED-CORE『CRIME OF DAY SCANNER 』におけるものであります。
作品描写の為に多少、オリジナルのAC設定とは一部は逸脱したものである事をご理解くださいませ。
逆に可能な限りACのゲーム内の表現にも合わせる方向で努力しており、実際の物とは違う機器名称の変更や事象の曲解も行っております。
これらの設定が現用兵器や機器、他のロボット作品にも当てはまらないフィクションでもあります。
本考証解説は特に機構などの説明において専門用語のみの記載を避け、可能な限りで『分かりやすく』を主眼としています。
それ故に長い説明や、かなり強引な例えなども行っている事もお分かり頂きたく存じます。
尚、「アーマード・コア マスターオブアリーナ公式ガイドブック」より後年発行の書籍の設定は参考程度に留め、前発行物との相違や矛盾点がある為 に統合が困難で、完全な遵守の方向性には無い事も、どうかご理解賜りたく存じます。
一応、意識はしていますがARMORED-CORE2とは直結する様にも、この作品をリリースした時期等の理由により残念ながら設定はしておりません。
また個人の好みも多分に含んではおりますが、これら設定のコンセプトは「AC世界の解像度を上げる」「この世界観を楽しむ」といった方向で誠意製作 しております。
世界、機構の設定等、オリジナルであるACを損なう目的の物では決してありません。
世界設定などは一部、都市設定募集の企画投稿にお寄せ下さった読者様方の設定も、当作品なりに解釈して使用させて頂いています。
それらの全てをご留意願って長い前置きとなりましたが、本作品をこれからもお楽しみ下されば何よりも幸いと存じます。



《リップルについて》

 テトラ連立都市に存在する情報屋集団。
 通常ナーヴなどのネストや巨大企業による情報操作を受けない、ほぼ唯一と言える情報源。
 故に高額有料制で一般人は存在すら認識するのは困難である。 彼らの伝達方法は主に口伝であり、極めて機密性が高く信用度も同じく信憑性がある。
 メンバーは多種多様な表の職業があり、逆にリップルを専門職としている者は皆無に近い。
 その構成員は準市民から市政官まで幅広く、あらゆる情報を有しており、莫大な利益を稼いでいると噂 され、希にネストすら情報提供を依頼する事がある程らしい。
 詳細は不明だが、彼らを束ねる《ボス》と呼ばれる数名がおり、メンバーの規律と管理を行っていると され結束はネスト・メンバーに匹敵すると云う。


《カウンター・マフィア・ガード》

 五年程前に解散、壊滅したガードの一部署。
 当時、絶頂の極みにあった大別して四つの巨大マフィアがあり治安低下、汚職の現況となっていた現状を 重く見た都市ガード、都市運営政府が急遽発足させたのが始まりである。
 初期の頃は対暴力組織として有効に機能し、広く市民に指示され数々の功績を挙げる。
 派手な検挙と広報がなされ次第にガード内で花形部署として地位を上げ、エリート意識が芽生え出して しまった。隊の上層はガード内でも発言権、実行権が増していき完全に暴走を始める。
 彼らの行き過ぎた行動は苛烈を極め《粛正の金曜日》と呼ばれる一斉検挙で、犯罪組織の本拠地などを 強襲、多大な損害を組織側に与え検挙・粛清人数は二百人を越えた。
 しかし、その際に一般人をも巻き込んで隊の威信と信頼は地に落ちる事となる。
 後に、ゲリラ化した犯罪組織と新編成されたガードの双方を敵に回し孤立した形で壊滅した。
 現在も隊関係者数名が指名手配されており、逃走中で賞金首となっている。


《エスコート・リグ》

 元々はファンタズマに搭載される予定であった兵器。
 完成が間に合わず、未搭載に終わっているが、後にウェンズディ機関崩壊後、設計図が持ち出された事 と、技術者の企業への保身の為の身売りにより市場に出回った。
 機体概要としてはA・C用のジェネレイターを軽量化した物を搭載し大型ファンによりホバリングする。
 更に二基の小型ジェットを持ち、高速飛行も可能であり小回りと機動性に富む。
 本来、無人機であるが強化人間ならば遠隔操作が可能であり複雑な事象にも敏速に対応可能。
 機体制御管理が容易な部類に属する為、一人で複数を操る事も出来る。 本編に登場したタイプは、武装にライン・ビーム砲とタンケッテMと同型の電子戦装備を装備した上級機種 であり、レーダーの撹乱とロック・オン機能の妨害、通信機能妨害が可能なタイプであった。
※ちなみに、この兵器は名称のみの発表で《プロジェクト・ファンタズマ》に登場予定であった同名の兵器 設定を使用しており、完全なオリジナル設定では有りません。


○水素タービン・エンジンと燃料電池について

 ACは超小型の水素タービンエンジンをコアに搭載しています。
 主にACのダッシュ時とE兵器を使用する際の電力供給ユニットとなっており、エンジン本体とコンデンサ(充電器機の一種)、発電機のセッ トを《ジェネレーター》と呼び、通常はセットで販売されます。
 燃料に水素を使用するガスタービンエンジンで、その機構はジェットエンジンに似ています。
 ただACのタービンエンジンは、排気口に更に羽車(タービン)をつけて回し、その回転力の殆どを電気エネルギーに変えてしまう機構です。
 ですので推力として使用する事は出来ません。 (ACのジェネレイターにはデザインから判断して、このジェネレーターのみでの発電と飛行をさせる意図が見えますが、残念ながらその方式ではACの様な巨大な鉄塊が飛行するのにはかなり厳しく、やむなくこう設定しております事を追記致します) 更にかなり高温で発熱しますので蒸気を発生させ、その発電も若干ではあるものの電力供給の足しにもしています。
 特にブレードは全ての発電系統を瞬間的にフルに稼動させないと、充分な効果を持つ使用がままなりません。
 ヘリや戦車などはこの回転力を駆動力に換えておりますが、ACの場合は純粋に固定発電器機として使用されます。
 燃料電池とは、主に水素と酸素の化学反応によって発電した電気エネルギーを使います。
 一般に『電池』と言いますと乾電池を思い出させ『電気を貯めておく物』と捉えがちですが、実際は決して電気を貯めているわけではなく発 電しています。化学反応によって電気エネルギーを取り出す小型の装置なのです。
 乾電池は亜鉛と二酸化マンガンの反応で電気を得ていますが、ほとんどこのシステムと変わりはありません。
 また燃料電池は使い捨て式のものではありません 燃料電池もこれに準じて簡単に言えば、水に電気を流すと酸素と水素に分かれる分解という化学反応を起こします。
 その全く逆の化学反応である、水素と酸素を混ぜ、電気と水をつくるのがシステムの概要です。
 また燃料電池は何かを燃やすのではなく、燃料自体が持っているエネルギーを直接電気に変える意味で名前がつけられています ACは脚部にそのシステムを持ち、武装と飛行以外の電力をまかなっています。
 ただし超高効率発電の技術はネストが管理しており、一般のレイヴンなどは「凄い電池」程度の認識しかなく、車などの発電器機やバッテリー の様に壊れたら即、丸ごと交換といった消費方法で使用しています。
 他のパーツにも言える事ですが、人はその技術の詳細や機構を知る事はなくとも、その効果さえ分かれば乾電池で音楽を聴き、スイッチを入れて テレビを見る事は出来ます。ACの装備はそういった感覚に近い感じで整備、使用をされています。
 ある程度の詳細は分かってはいますが、一部企業などがその詳細を解明し、商品化した際にはネストの圧力や抹殺といった粛清の手段が講じられ る事があり、極秘にではありますが巨大企業の上層とネストは繋がっています。
 そして継承された技術の恩恵による社会の安定を維持する大きな要因ともなっています。
 それはネストが理想とする社会を創るという利害の一致と、企業の利益独占の循環でもあります。
 しかしごくまれにではありますが、企業はネストとは別のルートで過去のロストテクノロジーを発見、独占する事があります。
 例外的にこれらは発見してしまった企業の技術になりますが、それを極力防止する為に連立都市ではスレイヴ・クロウが暗躍と探索を行っており、 最悪の場合『ネストが望まない技術』を世に出すと、組織ごとの壊滅を余儀なくされます。
 しかしながらロストテクノロジーの独占は企業にとって大きな収益となる為に、探索や奪取を企業が怠る事はありません。
 最後に、この水素を使用したシステムや水素タービンエンジンが極めて優れている点は、何かを改質して水素にさえしてしまえば発電してしまう 点にもあります。資源の枯渇による石油などの化石燃料の使用を抑制する効果が見られるのです。
 更に水素は空気と混ざると着火しやすい性質を持っていますが隔離してしまえば、危険性は少ない点も追記しておきます。
 水素吸蔵合金といい、多量の水素を安定吸蔵する性質を持った物質も存在しますのでACの駆動用燃料は、さほど危険ではありません。
 ただしジェット推進用の燃料は戦闘機などの物に近い為に、これら程は安全とは言い難いものになっています。
 総論としてACはこれら二種のメイン発電器機と、発熱による蒸気発電、そして主に肩部に搭載されたバッテリー、ジェットエンジン使用による発電 など多種ハイブリッドな発電方法で起動しています。
 更に一部のE兵器本体にもバッテリーや燃料電池が追加装備されており膨大な消費電力を何とか現状は上回る供給をしています。
(ちなみに本作品ACのエネルギードレインは、これらをしてなお、管理や保持する為の消費電力と解釈しています)


BACK