「黒い衝撃」

彼は、走っていた。

 「生きるためなんだ、生きるためなんだよ!」

そう言って彼は走りつづける。手で胸を押さえていた。その手のは、赤く染まっていた。

 「そう・・・生きるためだったんだよ!仕方なかったんだよ!!」

荒い息づかいで彼は叫ぶ。
生きも絶え絶えに、ねぐらにしているアパートに転がり込むと。彼はひとりごちた。

 「俺は悪くない、俺は悪くない・・・・」

シャツがどんどん紅くなっていく。それに気づいてないのか、彼の独り言は続く。

 「そうさ、俺は生きるためにやったんだ。なのに!あのガキ、俺を・・・!」

すると、彼はもう一人の誰かを感じた。

 「ソウダ、オマエハ悪クハナイ奴ガ悪イノダ、ダカラ裁キヲウケタ!!」
 「へへ・へ・・・そうだよな、奴が悪いのさ。へへへ・・」
 「サア、次ハダレダ?クックックック・・・」

彼の中の黒い物がどんどん膨らんで行ゆく・・・・
彼は立ちあがった、次の獲物を探すために・・・

 「クックックック・・・サア、次ハ誰ダ?」

もう彼はどこにも居ない。
赤い液体が止めど無くその男だった者の胸から吹き出ていた。

彼、いや、この者はどこへ行くのだろう・・・・・


ウエポンさんから頂いた短編です。
たまらなく素敵です!
クール……
これを読んで、紅い瞳の狼を連想したのは、
私だけでしょうか。

ウエポンの言葉の美しさは私にはとても魅力的!!
危険な香りにはどうしようもなく惹かれてしまうのです……

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