_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/ 第一幕 一章 ニ話 ミステリーワーズ _/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/ ……………………イン ……………ケイン …ケイン! ケイン?…ああ、俺の事か… 「ケイン!?」 ケインが目を開けるとそこで数人いるのがわかった。 フェンリース、ロバンス、ストレッサー、ミナロイド、ファイナン、マラッサ。 いつもの発掘屋のメンバーだ。 ケインの周りを囲んでいる。 ケインはフェンリースに起こされる。 「皆、どうしてここに…?」 「どうしてじゃないぜ、ケイン。いくらたっても帰ってこないんで探しに来たら倒れてるし」 「リースはリースでいつまでたっても本を読み終わらないし」 「悪かった。もう大丈夫だ」 まだ頭痛は残っているが、動けないほどではなかった。 「それからここに誰かいなかったか?」 ケインはあの女の事を言っている。 「何言ってんですか、この遺跡にはわれっち達しかいませんでよ」 「そうだぜ、その証拠に遺跡の扉も閉まってたじゃないか」 ケインはさっきの女の事が気になっていた。 ケインは立ち上がって女の指差したところを見た。 特に変わったところはない。 それでも気になったケインはロバンスに壁を壊してくれと頼んだ。 「いいのか?そんなことしても。この遺跡を壊すって事だろ?」 「全ての責任は俺が取る。だから頼む」 ケインはロバンスに頭を下げた。 ロバンスは慌てた。リーダーが自分に頭を下げているからだ。 グレジアではそう言った事はないに等しい。 「お、おい、ケインの旦那。頭上げてくれよ。やるからさ」 「無理を言ってすまない」 つくづく変わったリーダーだぜ、そう思うロバンスだった。 メンバーの顔が凍りつく。ケインもそうだが… そこには見たこともない光景が映っていたからだ。 いや、少し言い間違えたかもしれない。 映った光景はこの場所と変わらない。 ただ、新しい通路が見つかったのだ。 遺跡を重んじるために、こういった事をしなかったためである。 「ブレイクラビリンスだと思ったけど、違ったみたいね」 フェンリースが言う。 「何でだ?」 「考えてもみて。ブレイクラビリンスは自然現象だって言ったでしょ。 なのに壁で遮ってあった。どう考えてもおかしいでしょ」 「つまり、人工的に出来てるってことだな」 「先を急ごう」 ケインが開いた壁を通る。 「大丈夫だ、それより気になるんだ、俺は。何故こんな作りにしていたのかが」 「私もよ。ケインも大丈夫って言ってるんだから行きましょう」 通路は一本だった。 それは長かった。かなり長かった。気が遠くなるほど長かった。 行き着いた先はかなり大きな部屋だった。 いや、部屋というより空洞だった。 その中央にあったのは…黒いウェポンだった。 「な、なんだコリャ!」 誰もがその言葉を発した。 ウェポンは置いてあっただけではなかった。 さすがに古びてはいたが、メンテナンス中であったように見える。 「ほ、保存方法が完璧だ…」 誰かがそんな事を言った。 「こんな事ってあるのか…」 発掘屋として与えられた使命は、大抵が埋もれているウェポンを見つけ出す事だった。 それを発掘するしないはまた別だったが… そのため見つける時はウェポンが埋まっている状態だった。 それが今回は埋まっているわけではなく、完全に露出されていた。 誰もが頭を悩ませていた。 「しっかりしろ、悩んでいる場合じゃないぞ。帰って報告しないと」 ケインだけはしっかりとその状況に対応していた。 まずしないといけない事、それが報告なのだと。 「ロバンス、ストレッサー、ミナロイド、ファイナン、マラッサ、 リース帰るぞ…っておい、リース!」 なんと、いつの間にかフェンリースがウェポンのヘッドの部分にいた。 何やらいろいろと触っている。 「これは今まで見た事のない物だわ!あ、この部分は今までのと同じだわ。 ウフフ…これはみんな私のものよぉ。オッ〜ホッホッホ!」 「何やってんだ…」 さすがのケインもうなだれるしかなかった。 「仕方がない、リースは置いていこう。さあ、いくぞ」 ホントに置いていった一行はまたまた驚いた。 行きに開けた壁の穴…それが塞がっていたのだ。 いや、塞がっていたのではない。 その先が完全に無くなっていたと言った方が正解かもしれない。 壊した壁の先が土だったのだから。 「…………………」 すでに誰も声を出す事が出来なくなっていた。 「どうやらこれは本格的な迷宮のようね」 振り向いたその先にはフェンリースがいた。 「リース、やっと正気に戻ったか」 「何よ、その言い方。それじゃあ、私がキチガイみたいじゃない」 横目でみんなを見るフェンリース。 同じようなものだろう、と誰もが思ったが声に出す事は出来なかった。 「さて、どうしたものかな。このままここにいるわけにはいかないが…」 「とりあえずさっきの場所に戻った方がよくないか?」 ロバンスが提案する。 と言うか、それ以外の行動は無意味なのである。 ただ、さっきから奇妙な感覚が、ケインにはあった。 来た道を戻る一行。 だが、やはりさっきと同じ、道が無い。 「どうなっているんだ、ここは」 「このままじゃ永遠にここに閉じ込められるぞ」 出られない、どうしようもない。そう思うとまともな思考が出来ないものだ。 意味の無い事を次々と声に出している。 ケインは辺りを見回していて、フェンリースは相変わらず持ってきた本を読んでいる。 「いや、必ず何処かに出る場所があるはずだ」 それまで何も口に出さなかったケインが言う。 出る場所がある、その言葉で皆の視線が集中する。 そう言うと振り向いて、ナイフを通路の角に投げつける。 すると壁に届く前にはね返る。 一行の全員がざわめく。 「やはりな、さっきから奇妙な感覚があったが、これだったようだな」 「どういう事だ?」 ロバンス達男共は何もわかってなかった。 「つまり、今見てるものはある機械か何かで作られた映像で、本当の形では無いという事だ」 「だから見た目に惑わされたらいけないってわけ」 「惑わされるなって、どうするんだ?目を瞑って歩くってのか?」 ケインとフェンリースはニヤっと笑う。 ケインの視線はフェンリースの背中にある大きな筒に向いている。 一目見ただけで普通の武器ではない事がわかる。 彼女は何かしら改造するのが大好きであった。 95%は失敗に終わるが5%は大きく生まれ変わる。 というか、ただの殺戮道具になるのだが… そしてフェンリースは壁に、背中に乗せていた筒を向ける。 「ちょっと待った。いいのか、そんなので壊しても」 構えたフェンリースの後ろからファイナンが声をかける。 彼はまだこの遺跡がわかった無いらしい。 「かまわないわ。どうせ映像なんだから見た目には変わらないはず。 もし変わってもちょちょいといじってやれば戻るに決まってる」 すでに目の焦点は合っていない。 遺跡の事なんてこれっぽっちも考えてない言葉でを吐くフェンリース。 「ヤバイぜ、リースの奴すでにイッてるぞ」 「アイツも興味あるんだろうな」 「そこうるさい!」 構えていたフェンリースがくるりと向きを変える。 口に出してしまった哀れなファイナンとマラッサに銃口が向けられる。 「わっ、バカ!こっち向けるな!」 「問答無用!」 フェンリースの放った弾はファイナン達の側をすり抜けて 壁に当たり、大きな音を立て、その音が反響してさらに大きな音となる。 すると当たりの景色がぶれて今までとは違う光景に変わり始める。 今までは黒く、しっかりとした作りに見えたが 褐色で所々崩れ落ちている物に変わった。 当然フェンリースの一発も影響あるだろうが、 それを差し引いてもおつりが来るくらいの状態だった。 「お、おい、マズいんじゃないのか?おかしくなっちまったぞ」 周りをきょろきょろと見ているファイナンが心配そうに言う。 「心配する必要はない。多分映像を映す機械に何か影響があったんだろう。 それより見やすくなったようだな。…あそこがさっきの所だろう」 あたりの景色が鮮明になり、先ほどのウェポンが置いてあった部屋が 再びケイン達の目に入ってくる。 「どうする?このまま先に進むか?それともウェポンの方をもう少し見ていくか?」 「報告しに行くんじゃなかったのか?」 「興味が出てきたのさ。二重の造りをしてまで隠そうとしたあのウェポンに」 「…そうまで言うなら俺は何も言わない。他の皆はどうか知らないが」 そこに居た全員が頷く。 例によって例の如くフェンリースは一足先にウェポンの方に向かっていたが… 黒いウェポン…調べていくとルシェイフという名前で、 今から数百年以上前のものである事がわかった。 長さなどの正確な事はわからなかったが、 少なくとも、まだ造り途中ではあった。 そして、隠されてたようにルシェイフの足者付近に下へと続く階段があった。 そこにはグラジアと同じくらいの設備がしてあった。 いち早く降りていくフェンリース。 「ここの機械、グラジアでもそうそうないわ。見たことのない物がある。 特にこっちのコントロールパネル、何かを動かすものだと思うわ」 新しいものに飛びつく性格のフェンリースは、いろいろと触っている。 上ではケインが別のところを見て回る。 上を重点的に見ているようだった。 「何かあるんですか?さっきから上を見てばっかりじゃないですか」 ストレッサーが近づいてきて一緒に上を見上げる。 限りがないと思うぐらい、上には暗闇が続いていた。 「この場所、結構下にあるんですね。いつのまにかこんな所まで降りてたなんて」 「そうだな…確かに高い。………」 「どうしたんですか?何か気になることが?」 見上げていたケインが目線を下に戻す。 そして部屋から一本伸びる通路を見る。 「ここには言ってきた時に気がついたあの血。あれはどこで負った傷から出た血なんだろう」 「さあ…でもこの辺りにはそんな気配はないですよ。 何かあるとしても通路の先にあるんでしょう。 とりあえず今はここの調査ですよ、ケインさん」 「そうだな。まず、やれることを先にやる…か」 「ケイン!ケイン、ちょっと来なさい!」 下の部屋からフェンリースがケインを呼ぶ声がする。 なぜか命令口調になっているが… 何事かと思いながら歩いて行く。 「おっそいわねぇ。いそがんかい!」 ふう、とため息をつきながら、ケインは下の部屋へと走っていった。 驚く事に下の部屋ではすべての機械が動いていた。 いや、フェンリースが動かしたと言ったほうが正解だろう。 その部屋の中心、先ほどのコントロールパネルの所でフェンリースは手招きしていた。 コントロールパネルのディスプレイにはケインには見たことのない文字が並んでいた。 それはほんの2,3行であったが、よくわからなかった。 「これ、読める?」 思ったとおりの事を聞いてきた、そうケインは思った。 「生憎だ、お前の読めない文字は読めない」 やっぱりそうなの…そういう言葉が出そうなため息をフェンリースはついた。 「じゃあ、気を取りなおしてあのウェポンを動かすわよ」 物事の転換が早いのか、ほんの少しの落ちこみもなしにコントロールパネルを動かす。 「動かす?出来るのか?」 「出来ない事は言わない。正確にはここから出すって言うわね。 天井を見た?何も見えなかったでしょ。ここから地上まで一直線なのよ。 つまりこれで天井が開くってこと!」 フェンリースがあるボタンを押すと、ロバンス達の声が聞こえてきた。 『な、なんだ?上から光が刺してるぞ!』 「さあ、あのウェポンを動かすわよ。急ぐのよ!」 そう言うと一目散に上へ駆けあがって行った。 ケインは振りかえってもう一度ディスプレイを見た。 やはり読めはしなかった。 だが、何か見覚えがあったのも確かであった。 考えても仕方がなかったので、ケインも上へ上がっていった。 ディスプレイに書いてあった事、それはこういう事だった… 『終りにして始まり。始まりにして終り。届け我が呼び声。我が元に来よ。  我等が子達よ。この声を聴け。光と闇で覆われた世界に生きる我が子達よ』